7月25日(木) 「草原の椅子」(上・下) (宮本輝著)
単行本の画像がないので‥‥ 映画化作品のちらし
遠間憲太郎は長年連れ添った妻とも離婚し、五十歳になりさらに満たされぬ人生への思いを募らせていた。富樫重蔵は大不況に悪戦苦闘する経営者だが、愛人に灯油を浴びせられるという事件を発端に、それを助けた憲太郎と親友の契りを結ぶ。真摯に生きてきたつもりのふたりだが…。人間の使命とは?答えを求めるふたりが始めた鮮やかな大冒険。
フンザは、パキスタンの北西部に位置する伝説的な地域。7000m級の山々が連なる渓谷に、現地の人々が慎ましく暮らす同地は、その圧倒的な景観から“世界最後の桃源郷”と呼ばれることもある。一説では、宮崎駿監督の代表作『風の谷のナウシカ』(84)のモデルになったとも言われており、この地を目指す旅行者やバックパッカーは後を絶たないという。
芥川賞作家の宮本輝が、自身のシルクロードへの旅を基に綴った小説を原作とした本作。現実離れした美しすぎる光景に触れ、次第にそれぞれの人生を取り戻していく人物たちの姿には必ずや心を打たれてしまうだろう。(トライワークス)
遠藤憲太郎役の佐藤浩市、富樫重蔵役の西村雅彦、そして篠原貴志子役の吉瀬美智子が気になってます。<見るものの心を洗うような美しい風景が見ものだ>と書かれていた映画化記事の一文が見たくさせる。
7月27日(土) 「濡れた砂の上の小さな足跡」 (アンヌ=ドフィーヌ・ジュリアン著)
夫と4歳の長男、まもなく2歳を迎える娘。なに不自由のない幸せな家族を思いもかけない病魔が襲う。2歳の誕生日を迎えたその日、娘タイスが異染性白質ジストロフィーという難病に冒されていることがわかり、「2年から5年の余命」という宣告を受ける。しかもそのとき、彼女はすでに3番目の子どもを身ごもっていた。
あらゆる運動機能を侵され、視力、聴力、嗅覚といった五感も奪われて死に至る、非常に過酷な病を前に、彼女は決心する。長く生きられないのであれば、残された人生を、それがどんなに短いものであれ、精いっぱい生きさせたい生まれてきた次女にもまた同じ病気が見つかる。すぐに骨髄移植を行えば助かる見込みがあることを知った彼女は、新生児の移植手術に挑む一方で、目に見えて衰えてゆくタイスの生活を支え続ける。彼女の周囲には、多くの人びとの支援の輪が広がる。しかし、この輪を支えていたもの、それは輪の中心にいたタイスの愛であったことに著者は気づかされる。2011年、フランスでベストセラーとなったノンフィクション。すでに17ヵ国で翻訳、出版されている。
訳者自身が偶然見つけて背中を押されたようにして本書と向き合ったというレビューをあとがきにあったのを載せておきます。<この本はけっして悲しいだけの本ではない。絶望の淵にあってそれでもなお最後まで共に生き続けることの喜び、なにより、辛い結末がそれまでの時間すべてを台無しにしてしまうわけではないのだという希望をこそ描いている>
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