辛口KOJIの 「キリリ」 といこう!!

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台湾のエイズ事情 ②

2007年03月02日 | エイズの活動
台湾のセックスワークをめぐる話です。知人の東京大学研究員の水島希さんのレポートからご覧下さい。


● いきなり職場が奪われる

 台北ではこんなことが起こっていた。97年9月4日、当時台北市の市長だった陳水扁(現在の台湾総統)が、50年続いてきた公娼制度の廃止を決め、なんと2日後の9月6日には台北市の公娼館をすべて閉鎖してしまったのだ。

 当時、台北では128名の公娼が働いていたが、彼女たちの意見は聞き入れられず、一方的に公娼は「違法な仕事」にされてしまった。最初に聞いたときは、公娼たちの生活をいったい何だと思ってんの!?、21世紀も間近という時代にこんな人権無視が通るわけ?と唖然としたものだ。

 その後、99年の市長選で陳水扁が敗退し、新しい市長になってようやく、公娼が次の職に着くまでとして、2年間の猶予が認められた。しかし結局は、その期限である01年3月28日、台北市の公娼制度は廃止となり、台北市ではすべてのセックスワークが非合法になった(※1)。

 一言で「セックスワーク」と言っても、そこには様々な職種・業態が含まれている。セックスワークの種類と法律の関係は次回に説明しようと思うが、多くの国/地域では、合法な範囲から非合法なものまで混在している。台北市の場合は、マッサージパーラーや街娼といった許可されていない業態がある一方で、公娼たちは市が発行した許可書を持って働いていた。つまり、公娼は台北市お墨付の合法的な仕事だったのである。それが、急に禁止され犯罪とされたのだ。

 それまで合法的に毎日働いていた職場が、国や地方自治体の方針で閉鎖され、同じ仕事を続けると逮捕の対象になる、などということは、普通の生活では考えにくい。しかし、セックスワーカーには、このような事態がしばしば起きる。取り締まりが厳しくなったり緩められたり、その時々の権力者の思惑によって翻弄させられてしまうのだ。

 セックスワークの是非については、さまざまな立場がある。しかし、たとえセックスワークはなくなるべきだと思っていたとしても、すでにその地域に、法律上合法と認められている職種がある場合には、仕事としての保障をするのが当然ではないだろうか。

「セックスワーカーの働く権利」と聞くと、非合法から合法にすべきだという主張を想像される方が多いと思う。が、台北市だけでなく、日本を含めた多くの国/地域では、合法とされている職種でさえ、働く側の権利は保障されていないのだ。これを知った私は、セックスワークの議論は、現実に働いている人が存在する以上、その人たちの生活を抜きにしては語れないと強く思うようになった。


● もう1つは、台北市の公娼廃止が、日本の売春防止法を見習って行われたということにある。陳水扁の主張では、台北が一流の都市になるには社会をクリーンにしなければならず、その模倣すべき対象として日本が筆頭にあげられていたのだ。

 自分たちが見過ごし放置していた日本の売春防止法が、隣の国/地域のセックスワーカーたちに迷惑をかけている……と思うと、いてもたってもいられない気持ちになる。台湾の公娼制度が、日本が占領していた時代に日本側の主導で作られたという歴史を知れば、この問題はさらに複雑なものとなる。

 台北で公娼館を案内された時、私はどんな態度でCOSWASメンバーの説明を聞いたらいいのか戸惑ってしまい、始終ドキドキしていた。日本の売春防止法の問題は避けて通れない、と強く思うようになっていった。

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これはいったいどういうことか。陳水扁総統と言えば、今回の台湾での会議の主賓。現在の台湾のセックスワークをめぐる話は分からないけれど、ちょっと水島さんに聞いてみる必要がありそうですね。

まさか、非合法化し取締りを強化しているのではないかと心配ににります。

ただでさえ、立場の弱いセックスワーカーさんたちなのに、非合法化されれは、ますます奥に追い遣られる。HIVも静かに深く潜伏し広がるという構図ですね。

客、経営者双方から弱い立場に追い遣られて、更に法律で取り締まられたら、どうにもならない。

ここからも、台湾のエイズ事情が垣間見られる思いがします。


● 水島レポートの詳細は、こちらからご覧下さい。

http://www.medical-tribune.co.jp/ss/2006-2/ss0602-2.htm



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