埼玉新聞から
■攻撃機能も詰め甘く練習試合で大分に敗れる J1大宮
【グアム=友清創】7日はJ1の大分と今合宿最後の練習試合を行い、0―2で敗れた。合宿中に4試合行った練習試合は2勝2敗だった。
大宮は前半に主力組が出場。2トップはエニウトンと小林大が組んだ。中盤の両サイドにはこの合宿で好調を保つ島田とアリソンを起用。橋本をボランチ、斉藤を左SBに置くなど、本職とは違ったポジションで試された選手もいた。
失点は前半13分、GK荒谷が相手のミドルシュートに対する反応が遅れた。同32分にはボールを持ち過ぎたレアンドロが相手にボールを奪われて追加点を許した。
攻撃は5日の仁川ユナイテッド(韓国)戦からは向上した。島田とアリソンがチャンスをつくり、小林大とエニウトンもボールによく絡んだ。しかし、フィニッシュの精度が甘いことに加え、大分のGK下川がエニウトンのPKを止めるなど好セーブを連発。好機をものにできなかった。
●アピール不足に不満
グアム合宿の総決算として臨んだ練習試合は大分に0―2と敗れた。合宿も終盤という時期で選手たちには疲れがあったこともあるが、ロバート監督はミス絡みで失点したこの日の内容には非常に不満そうな表情を見せた。
「正直、頑張った選手もいたが、何人かは良くなかった。集中していなかったし、モチベーションも百パーセントではなかった選手がいた」と渋い表情を見せ、「リーグ戦でこのような態度で臨んだら、きょうのような結果になる。ということを学習できたという意味では収穫だ」と皮肉った。
これらは前半に出場した主力組に向けた言葉。特に守備の場面で集中力を欠いて決定的なピンチを招いていた。ベンチからは指揮官の怒号が何度も飛んだ。「今はアピールする時期なのに、それができない。選手自身の問題だ」
この日は橋本をボランチに回し、好調の島田を主力組で初先発させた。加えてブラジル人トリオがそろい踏みしたのも初。前半は斉藤を左SB、後半は佐伯を右SBと本来はボランチの選手を違う位置で試した。奥野、小林慶ら故障者が出ている中で、将来的にもこのような場合を想定したものである一方、ロバート監督は「DFからの攻撃の構築を求め、それを実行できる選手を起用してみた」と説明する。
5日の仁川戦では、パスワークの際の判断の遅さやミスが目立ち、攻撃に滑らかさを欠いていた。そこでテクニックのある選手を多く起用し、ポゼッション率を高めようという狙いがこの試合にはあった。
前回に比べ攻撃は機能した時間帯が長かった。前半20分にゴール前に迫ったエニウトンが倒されPKを獲得した場面は小林大からのスルーパス。2人の連係も向上している。ただサイドバックの攻撃参加がほとんどないなど課題も多い。まだまだ時間が必要だ。
●ボランチ起用も何度も好パス橋本
この日は本職の左MFではなくボランチで起用された。「朝のミーティングで言われました。1年目の練習試合とかでやった記憶があるけど、公式戦ではない」と話す。本人はあまり出来は良くなかったと評価するが、中盤の底から何度も好パスを出し、タイミングよくゴール前へ走り込み決定的なシュートも放った。
昨季のリーグ終了間際にようやく先発出場し、4年目のことしはレギュラー定着が目標。5日の仁川戦では利き足とは逆の右でゴールを決め「ことしを予感させる」と自信満々のコメントを残した。左サイドでは島田とのレギュラー争いも士気を高めている。
●「ことしに懸ける」 復活へ勝負の2年目吉原
「ほんま楽しく、フレッシュな気持ちでやれている」。移籍2年目のことしは表情が明るい。
2年前、G大阪での最後のシーズンはほとんど活躍の場を与えられなかった。もう1度、プロフットボーラーとしての輝きを取り戻したい。そんな思いで昨年大宮に加入した元日本代表だったが、昨季はグアム合宿後に腰を痛め離脱。その後も度重なる故障に苦しみ、夏以降、先発出場した時期もあったものの、チームの8試合勝ちなしという悪いタイミングも重なり、終盤はベンチスタートがほとんどだった。
わずか2得点。満足できる数字ではない。「去年は空回りしていて頑張り過ぎた。やらなきゃいけない気持ちが強過ぎて、その割にはやらなあかんことをやっていない部分はあった。出場して点を取ったら使ってもらえるし、その意味でも信頼を勝ち取れなかった」と不本意だった昨季を振り返る。
ことしはここまで「心身ともにバランスがいい。今のところ調子よくやっている」と順調のようだ。高い技術と戦術眼。ゴールへの嗅覚(きゅうかく)はチームの力として十分だ。「大宮に来て2年目。言い訳はできないし、サポーターも自分も裏切りたくない。サポーターから大宮に来て良かったと思われる選手になりたい。ことしこそ大宮の宏太(こうた)になります」。端正な顔がきりっと締まった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます