1960年代生まれの音楽メモ。

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伝統。

2013-11-09 05:02:25 | その他
今回は、ちょっと面白くない話を。

最近、ラジオで、「日本の食の伝統は食べる人への思いやりです」という言説を聞いた。
ところで、食べ物屋さん関連で近年時事を賑わしているのは、高級料亭やホテル、品位で売っているデパート(※)の品名偽装・産地偽装や、ファミレスなどチェーン店のアルバイトさん達の、体ごと冷蔵庫に入ったり、土足で厨房の調理台に上がったりして写真に撮る行為だ。ともに、「食べる人への思いやり」とは正反対の行為だ。利用する人にとっての高級さ・作る人たちにとってのプロフェッショナル度という尺度で見れば、頂点と裾野の両方、ということになる。そしておそらく、状況からいって(ニュースの広がり、展開からいって)、それは 発覚した件・個社 特有固有の問題ではなく、“その分野その世界全体の問題”という雰囲気だ。

これは、現在(いま)日本の食の伝統が失われている、取り戻さなきゃ、と理解すればいいのか?それとも、ラジオで聞いた件の言説はギャクです、風刺でした、と理解すればいいのか?それとも、現実がそうでないからこその希求を聞いた、と理解すればいいのか?それとも、件の言説は臭いものへの蓋(目を逸らしたい、目を逸らさせたい)だった、と理解すればいいのか?それとも、世の主流には居ないけど、探せば、日本のどこかに、その伝統を守っている人たちが息づいているのだ、と理解すればいいのか?それとも、個人経営のレストラン(個人シェフがオーナーの店、みたいな)はがんばっているということなのか?

伝統には、良き伝統も悪しき伝統もあると思うけど、「今」私たちが引き継いでいる伝統は、どの伝統だろう。それはどこに現れ、どのような形・表現で表出しているだろう?


※「管理の問題」:会見で、デパートの経営陣の口から出てきた言葉だ。食の問題に限らず、何か不祥事が「発覚」すると、当事者だけでなく、報道の人の口からもよく出てくる言葉だ。でもこういう事件というか事象は、社会現象としてみた場合には(会見を見て強く思ったのだが、固有の出来事としてみた場合にも?)、これは「管理の問題」ではなく、「個々の当事者の、携わっている仕事に対する責任感やプライド、愛情や丁寧さといったものの欠如の問題」なんじゃないかなあ。「管理の問題」といわれると、何かはぐらかされているような、目を逸らされているような気がしてしまう。

注:あのラジオの中の人は、事実を踏まえたうえでの現実を喋ったつもりではなく、個人の思いを口にしただけのことだと思っています。ニュースとか報道とかドキュメンタリーの類ではなく、娯楽番組ですし、この項は、「あの喋った人」を批難するつもりではまったくありません。いっぽうでこういう話があって、でも現実はどうか、という話です。誤解無きように。

面白くない話でした。


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