★寺山修司記念館に関する次のような記事を見つけた。 三沢市寺山修司記念館(寺山孝四郎館長)の来館者が5年ぶりに年間1万人を突破し14日、同館で記念セレモニーが行われた。 (中略) 同館は1997年に開館し、これまでの来館者数は約17万6千人を数える。客層の半数以上が県外観光客といい、同館では「今年は広報体制を充実させたのが奏功した。イベントも充実させ、今後は地域の人々にも積極的に来てほしい」としている。(「記事」以上) ★記事を読み、わたしのうちに、2つの短い、ぼんやりとした感慨が(――「感慨が」と打ち込んだところで思考がストップ。 感慨が……「どうしたのか?」という部分の、適切な述語がみつからない。 いつも、こういうことで、逡巡し、修業不足を痛感し、ひたすらに落ちこんでしまう。 「感慨が生じた」でいいのかもしれない。 だが、「生じた」では、その感慨がわたしにとって重要なものなのか、いや、どうでもいいものなのか、その度合いがわからない。 ま、自分でもわからないから逡巡しているのだろうけど……。 逡巡を振りはらい振りはらい、手探りしつつ、なんとかことばにするとすれば、雲=感慨が頭上を通過し、その影が野に映り、その映った影が、結構、鮮明に目に焼きついた……というところだろう。 では、それを一言で何といえばいいのか?^^; ここでまたまた逡巡。 でも、いつまでも立ち往生しているわけにもいかないから……、このあたりで妥協。 で、結局――)生じた^^;。 ★感慨の1つは、ああ、寺山修司記念館を訪れる人は1年間に1万人前後ということなのだから……365日で割ると1日30人弱……ほう、わたしのホームページと同じくらいなんだ……おお、今、わたしは、わたしの現在の精神拠点(=現時点を離れ、過去記事の世界に突入。その後、再び現時点に戻ろうとして、戻りきれず、現時点からも、過去からも、微妙にズレた「時空間」)のカタチを、より鮮明に、より具象的に顕現させるために「メタファー(metaphor)を創出しよう」としているが、寺山修司記念館は、その創出の参考になるかもしれない……というのが1つの感慨だった。 もう1つは、この感慨を打ち消す方向で、2008の冬に訪問したときのわたしの印象が蘇った……という内容だ。 ★パンフレットによると、記念館の竣工は平成9年3月だから、わたしは開設12年目に訪問したことになる。 12年間のあいだに、わたしは、何度か(いや、何度も)記念館の近くを通過している。 毎年のように近くのキャンプ場に来ている。 同じく近くの市民の森温泉にも来ている。 そのたびに「寺山修司記念館」という案内板が目に入った。 気にはなる。 が、どうしても「よし、入場しよう!」という気には至らない。 これがわたしと寺山の関係の象徴であるともいえるのだが、2008年冬は、三沢市出身の亜紀さんにポンと背中を押される格好で、遂に訪問したのだった。 ★記念館そのものについての説明は省略する。 直接、行かれるといいと思うし、ステキなHPもあるので、ぜひご覧になるといい。 一歩踏み込んだ瞬間、わたしは(きわめて狭い経験から)この記念館は、花巻・太田山口の高村光太郎山荘&記念館とは対極にあると感じた。 わかりやすくするために、高村記念館から先に説明すると―― 高村記念館は、ごく一部の例外を除き、展示の対象は、高村光太郎が太田山口の山小屋で独居自炊生活をした1945年~1952年までの7年間に限定されている。 留学生活を送ったニューヨークも、ロンドンも、パリも、さらにはパンの会の時代も、さらにはさらには戦争詩(←わたしは高く評価しているが……)の時代もいっさい展示の対象になっていない。 限定して限定して展示し、あとはあなたの中に存在する「高村光太郎」と組み合わせて、あなたの「高村ワールド」を創ってください……というのが高村記念館のスタイルだ。 ★これに対し、寺山修司記念館は、まさしく寺山ワールドだ。(だから、どうだというのでは決してない。記念館のめざす方向性が違うのだ。) 詩に、短歌に、俳句に、映画に、演劇に、写真に、スポーツに、メルヘンに、さらには寺山が興味をもったもの、集めたもの、かかわりのあった人々等々……さまざまな足跡を展示し、訪問者が寺山ワールドに侵入できることを展示の基本方針としている(のだろう……)。 さらに、記念館は、迫りに迫り、寺山はいったいどこから来たのか?(←寺山自身もきづいていないこと)、あるいは、寺山はどこへ行ったのか?(←もちろん、死んだ寺山が知っているはずがない)、それを突きとめるきっかけをつくることを展示のもう1つの基本方針としている(というふうに、わたしには思える。) これはこれでスゴイ。 特に、わたしが「もう1つの基本方針」といった部分にしびれてしまった。 ★中途半端だが、これで終わる。 つづきは、現在、追究中の、「わたしの現在の精神拠点のメタファー」との関係が明らかになった段階で書くことにしたい^^;。 ★関連記事 ・寺山修司の作品や愛用品等を題材にした「僕の職業は寺山修司です」切手シートを購入というか衝動買い^^; ・文学館は民間の営利・非営利組織の出番
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