大川学園高校NOW!(校長室から)

合言葉は「顔晴れ!(がんばれ!)」。
大川学園高等学校の「今」を、校長室からお伝えします。

「奇跡」…それは必死になって挑戦した者のみが、出会えるもの…。(全校集会「校長講話」)

2024-04-22 19:02:41 | 日々のできごと

全校集会で「奇跡に出会うこと」をテーマに、話をさせていただきました。
自身の卓球部顧問時代の思い出話を紹介しつつ…。

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神様がくれた逆転勝利(「のさっち」のこと)

「のさっち」という子がいた。もちろんニックネームだ。カットマンだった。飯能一中時代のことである。

彼女の学年は、部員が4人。その下の学年は、たった2人。4人+2人で合計6人。団体戦戦うにはピッタリの人数。別の言い方をすると、1人も欠けることができないギリギリの人数での関東・全国への挑戦だった。

冬はたいへんだった。風邪をひくこともできない。人数が足りなくて団体戦に参加できなくなってしまうからである。

キャプテンの「キタちゃん」は腰痛に悩んだ。「先生、きょうは無理です。プレーできません。」そういう日は「キタちゃん」を5番においた。そして、他の5人に言った。「キタちゃんまでまわすな。3対0か3対1で勝て!」

厳しい冬を乗り切り、やっと春の日ざしが感じられるようになった、3月のある日のことだった。2年生のまとめの保護者会で学校に来ていた「のさっち」のお母さんが、その帰りに体育館にやってきた。「先生、お話があります。実は主人が4月から甲府に転勤することになりまして、家族で引っ越すことに…。」耳を疑った。「のさっちが転校してしまう。メンバーが1人足りなくなってしまう…。」でも、そのとき、私は優しくほほえんで(実は少し表情が ひきつっていたかもしれないが…)お母さんに言った。「さみしいですけど…。甲府でも卓球を続けてくれるといいですね。」

数日後、お母さんから連絡が入った。「娘と私は、もう1年飯能に残ることにしました。娘が『私が転校しちゃったら卓球部の人数が足りなくなってしまう。どうしても6人で関東大会に行くんだ!!』と言うものですから…。」

「えっ?」うれしかった。ジーンときた。でも同時に「ホントにいいのかな?」とも思った。卓球のせいで家族がバラバラになってしまう。お父さんはものすごく寂しいに違いない。でも、こうなったからには、「のさっち」に、そしてご家族のみなさんに「飯能に残ってよかった」と思っていただかなくてはならない。そうでなくては、申し訳ない。私は熱いものがこみ上げてくるのを感じていた。

5月の埼玉県大会。やっとのことでベスト8に入った。でも正直、もうひとつ勝つのは至難の業だと感じた。

「とにかくやるだけのことをやってみよう。」休みの日はすべて試合に出かけた。必死で練習した。ほんの少しずつだけれど、心のどこかに小さな自信が芽生え始めていた。

7月。関東大会予選会。埼玉県から関東大会へコマを進めることができるのは、5チーム。組合せ抽選の結果、我がチームは予選リーグで5月の埼玉チャンピオンチームとあたることになった。強敵だ!でも、この試合に勝てば、関東出場が決まる。私たちは「あたって砕けろ」という気持ちで強敵に挑んだ。

1番、エース対決。相手はシングルスの埼玉チャンピオン。しかしこの日は我がエースが2-1(第3セットは21-19!当時は21点制)で勝った。2番、3番は健闘むなしく敗れた。4番、相手は準エース。ウチは2年生のカットマン。相手の攻撃を無心で拾い、奇跡の大金星。そして5番、「のさっち」登場。

相手もカットマン。長いラリーが続く。まさに、ねばりあいだ。1セットずつをとりあっていよいよ最終セット。「6人で関東大会に行くために、飯能に残りたい」あのときのことばが私の脳裏をよぎった。

……がしかし、ふと気がつくと6ー17。相手が大きくリード。あと4点で相手の勝利。私たちは敗者復活リーグで今一度苦しい戦いをしなくてはならない。「まあ、それもしかたがないか。」私はすでに心の隅で、敗者復活リーグであたることになるであろうチームのこと、そしてどんなオーダーで臨むかなどを考え始めていた。

一度はあきらめかけていたベンチの応援の声が、元気を取り戻してきたことに気づき、得点板を見ると、そこではまさに「奇跡」の大逆転劇が展開されていた。10点以上あった得点差を 「のさっち」は、ねばり強いプレーで1本1本挽回し、ついに 19ー19に追いついたのだ!

「関東大会に行くために飯能に残る」そう決めたことに対して、そしてきょうまで無心で頑張ってきたことに対して、「卓球の神様」が微笑みかけてくれている。そう思えた。胸が熱くなった。夢中で応援した。「のさっち」の姿がぼやけて見えなくなった。(こうしてパソコンに向かっている今でさえ、思い出すと目頭が熱くなる。)そして、ついに 21ー19。ゲームセット。大逆転勝ち!バンザイをした。「のさっち」と握手をした。ベンチのみんなと握手をした。…でも、本当はよく覚えていない。

「のさっち」、元気かい?「奇跡」って、本当に起こるんだね。そのことを教えてくれた君のこと、いつまでも忘れないよ。

今年度も合言葉は「顔晴れ」!(入学式を挙行しました)

2024-04-09 14:41:55 | 日々のできごと


冷たい雨にうたれながらも、たくましくしなやかに咲き誇る満開の桜…。

飯能市市民会館大ホールにおいて「令和6年度(全日型)入学式」を挙行しました。
ようこそピカピカの1年生。今年度も合言葉は「顔晴れ(がんばれ)」です。

以下、校長式辞の一部を掲載します。

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 42名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんは、きょうから大川学園高等学校の生徒です。

 大川学園高等学校では、「自律・協調・奉仕」を校訓として、生徒も教職員も、自らの可能性を信じ、それを伸ばすことに、全力で取り組んでいます。
 大川学園高等学校の生徒は、学習はもちろん、学校行事や部活動、ボランティア活動等にも前向きに、一生懸命に取り組みます。
 ぜひ、新入生の皆さんにも、一日も早く「本物の大川学園生」になっていただけるよう、お願いしたいと思います。

 さて、突然ですが、大川学園高等学校では、生徒のみなさんと私(校長)との合言葉があります。早速ですが、2、3年生と私とで合言葉のやりとりをしてみますので、新入生のみなさんもぜひ覚えてください。

 では、まず2年生!
 みなさんはきょうから「先輩」と呼ばれる立場になります。1年生の良いお手本になれるよう、がんばってください。→がんばります。

 次に3年生!
 みなさんはいよいよ最上級生です。これからの1年、自らの進路決定に向けて、力一杯、がんばってください。→がんばります!

 さて、今、2、3年生と交わした「がんばる」という言葉について、話したいと思います。

 13年前、東日本大震災に見舞われ、たいへんな思いをした宮城県塩釜市に、「顔」という字と、天気の「晴れ」という字を書いて、「がんばれ」…、この言葉をスローガンにして、復興に向けて、まさにがんばってきた、いや、がんばっている地域があります。
 今はきっと、北陸の被災地の皆さんも、同じような気持ちで、前向きに生きていらっしゃるのではないでしょうか。

 「顔が晴れる」とは、「笑顔になる」ということ。つまり、たいへんな毎日だけれど、笑顔を大切にして、前向きに生きていこう!という思いが、そこにこめられているのだと思います。
 あるいは、「一生懸命にがんばっている人の顔は、晴れ晴れとしている」というようにも、解釈できるかもしれません。

 私は、「大川学園高等学校は笑顔があふれる学校でありたい」と考えています。生徒も先生方も、いきいきと、晴れやかな顔をして、一生懸命にがんばっている、そんな学校でありたいと思います。

 たとえば授業中、今までわからなかった問題が解けて「やった!わかった!」というときのとびっきりの笑顔、部活動で強敵から必死で一ポイントを取ったときのガッツポーズ、あるいは、行事に本気で取り組むときのキラキラとした瞳…。

 ぜひ、どうか、今年度も、みなさんの笑顔を、そしてがんばる姿をたくさん見せてほしいなあと、心から願っています。

 では、新入生のみなさん、誓いの合言葉です。きょうから、大川学園生として、勉強に、運動に、そのほかの活動に、前向きに取り組み、自らを磨くことができるよう、全力で、がんばってください。→がんばります。

 新入生保護者の皆様に申し上げます。お子様のご入学、まことにおめでとうございます。本日より、大切なお子様をお預かりいたします。ご家庭と学校とが手を携えて、子供たちの成長を見つめていければいいなと考えています。どうぞよろしくお願いいたします。

 結びに、42名の新入生一人一人が、高校生活3年間の中で、自らの可能性を見いだし、それを信じ、磨き上げることで、大きく成長してくれることを心より期待し、入学式の式辞といたします。

令和6年度がスタート!

2024-04-08 15:11:27 | 日々のできごと
この気持ちは何だろう
この気持ちは何だろう
目に見えないエネルギーの流れが
大地から足の裏に伝わって…
(合唱曲♬「春に」より)



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令和6年度がスタートしました。

■去る4月6日(土)には「一般コース前期入学式(新入生14名・於:仲町校舎体育館)」を行いました。校長式辞の一部を掲載します。

 きょう、ここに大川学園の仲間に加わってくださった皆さん、あらためて入学おめでとうございます。
 皆さんは、3月に中学校を卒業してきょうの高等学校入学の日をむかえた人、また、ほかの高等学校から転学し「再出発」という形できょうをむかえた人など、ここまでの道のりはさまざまだと思いますが、きょうから、この大川学園で、どうぞ今一度じっくりと自分を見つめ、未来を思い、そして自らが描いた夢や目標に向かって歩みを進めてくれることを、心より願っています。

■そして本日(4月8日)、全日型の新2,3年生を対象に「令和6年度1学期始業式」が行われました。校長あいさつの中で「心のコントロール」という話をさせていただきました。

「心のコントロール」という話をします。
昨年度の全校集会で「YOU CAN」という詩を紹介したのを覚えていますか?
どんな詩だったか、思い出してみましょう。

もし、あなたが負けると考えるなら、あなたは負ける。
もし、あなたがもうダメだと考えるなら、あなたはダメになる。
もし、あなたが勝ちたいと思う心の片隅で、無理だと考えるなら、あなたは絶対に勝てない。
もし、あなたが失敗すると考えるなら、あなたは失敗する。
世の中を見てみろ、最後まで成功を願い続けた人だけが成功しているではないか。
全ては「人の心」が決めるのだ。
もし、あなたが勝てると考えるなら、あなたは勝つ。
向上したい、自信を持ちたいと、あなたが願うなら、あなたは その通りの人になる。
強い人が勝つとは限らない。
すばしこい人が勝つとも限らない。
「私はできる!」、そう考えている人が、結局は勝つのだ。

この詩の中盤に出てくる「全ては人の心が決めるのだ」という1行、私はその通りだなと思っています。
勉強を頑張るのも、スポーツを頑張るのも、そのスタートは「がんばろう!」と思う心。
周囲の人々と良い人間関係を築くのも、そのスタートは「友だちと仲良くやろう」と思う心。
心が動いてこそそれが言葉や行動にあらわれ、いつか成果に結びつくのです。
しかし時には冷静さを欠いて心のコントロールが上手くいかなくなると、やる気を失ってうまく行動できなくなったり、カッとして口にした一言で周囲の人たちとの人間関係がうまくいかなくなってしまうこともありますね。

今、震災復興にむけて日々必死に生きている北陸の人たちの姿も、「前向きに生きよう!」という強い心に支えられているものであり、また逆に地球のどこかで悲惨な争いを続けている国々の現状を考えると、そこにはその国のリーダーの心の乱れを感じずにはいられません。

このように考えると、気持ちよく充実した毎日を過ごすためには「心のコントロール」こそ全ての源ではないかと思えるのです。
きょうから始まる新年度、ぜひ「心のコントロール」というキーワードを常に忘れずに毎日を過ごしていきましょう。きっと楽しい一年になるのではないかと思います。