無題

降雨という気象を実体験するには
乾ききった砂漠のような心ではなく
湿らせたスポンジ状の
いたって目の粗い心を用意する必要がある
それでも多くの雨雲は
雨季にかぎらず
コースから逸れて行くものだが
たまたま運よくスコールと遭遇したならば
雨は慈雨として
海綿の心にこそ浸みわたり
やがては満たされた海と化すことであろう

新しき春を迎えるのに
必要なものが
真新しい革袋というのであれば
さらにさらに
祝うという人並みの気持ちが昂ずるのであれば
猛り狂った雄牛の一頭も殺せるかどうかの
にがい勇気の試される歳となるにちがいない

生まれ変われるかどうかの