原作の展開が、DQNすぎる。
「継承篇」では、いきなりシモン・リングという、新しいアイテムが伏線無しに飛び出して、その論理的なフォローがない。
パラレルワールド支配を成功させかけるほどの実力者・百蘭を倒した主人公ご一行が、なぜか、シモン・ファミリーに大苦戦。
マグマの風呂に平然と浸かるような連中を倒せて、なぜ中学生を倒せないのか。
「重力を操り、ブラックホールを作りだす」 という能力に至っては、珍妙過ぎて大笑いしました。
シモン・ファミリーのネーミングも、なにやら微妙。
( 作中で、クロームというキャラが、なぜか 名乗りを上げる際にだけ 伊語を使ったりすることからも、そういったことには あまり こだわらない方向なのか。)
創設者を、「シモン=コザァート」 と表記していますが、この表記でいくと、普通なら「シモン」・「コザァート」 ともに家門を表しているということになる。
けれど、ファミリーの当代が「古里炎真」(コザト・エンマ) という名前からすると、「シモン」 を個人名、「コザァート」 を家門名として使っているようにも。 作中でも、初代個人を「シモン」 と呼んでいる。
表記方法は、欧米は アジアと違いかなり融通無碍ですけれどもね… ちょっと奇妙な使い方だワッ。
そう考えると、「シモン・リング」 は、あくまで、初代シモンという個人が作ったリングとしたいのか。
「ボンゴレ・リング」 が、「アルコバレーノ・おしゃぶり」、未来篇で登場した「マーレ・リング」 との三種で、「世界創造に関係したアイテム」 とされているのに比べて、シモン・リングの位置付けは 貧弱というか、現れるタイミング自体 唐突過ぎる。
なのに、そんな格下のシモン・リング所持者によって、ボンゴレ・リングが砕かれるという―― 暴走ぶり。
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「シモン」 は、たぶん、聖ペトロ―― いうまでもなく、ヴァティカンの初代教皇ですが、そこから取っているのでしょう。
ペトロは、イエスについて 三度も「知らない」 と否定した、教団初期における、いわゆる罪人。
主を、三度否定したという「罪」 がある。
リボーン作中でも、初代シモンの血液を「罪」と名付けて、なんらかの、観念的な「罪」を犯した設定にしている様子。
ボンゴレ・ファミリーの初代 プリーモの血液を「罰」 と位置付けていたことからも、どんな伏線なんだろうなぁ~と思いながら読みましたが、34巻現在そのあたりはスルー… ちょっと待て。
まだコミック化されていないWJ掲載分で、消化しているのか。
シモン・ファミリー7人と、ボンゴレのツナと守護者たちの7人との戦いが、「継承篇」の眼目ですが、これもセリフ回しがおかしい。
戦いは、それぞれのファミリーから、一人づつが選出され、サシで戦う。
敗者は、「復讐者の牢獄」に、永遠に繋がれる。
そのように、最初に納得し合って始めた戦いなのに、自分の側が三人敗者として牢獄送りになった時、シモンの当代は、
「お前たちのせいで!」「許せないんだ!」
…とキレる。 なんとも、子ども的。 負ければ牢獄送りだっていうのは、最初にOKしたよね?
これで、熱中できる読者がいるのですから―― ハマれる要素というのは、ヒトそれぞれだと実感します。
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他愛もない、コミックだから、こういった微妙な設定でもいいのですが、もし これが映画なら、かなりバッシングされるだろうと思います。
それでも、初期から生きている―― じゃなかったレギュラー・キャラの設定は、二次創作的には美味しい!
ことあるごとに、主人公ツナを「10代目ぇ~!!」と呼び、「足を舐めろ」と言ったら 素直に舐めるのじゃないかというくらいに ツナを敬愛してやまない、中1にして教室で喫煙する ちょいワル 獄寺隼人。
ツナの「体を狙っています」 と公言して憚らない、25才にしてニーソブーツを愛用する男 六道骸。
また、女性が嫌いなのか、グラマラスな女性キャラに対して、「肉の塊だ」 と侮蔑する、大人相手にカツアゲだって平気でする 風紀委員長 雲雀恭弥。
ジャンプらしいキャラといえばキャラですが…。
ヴァリアー篇までの彼らと、アニメでのやりたい放題の超展開から、二次創作にとっては ネタの宝庫。
主人公ツナが、だいたい受けとして、雲雀×ツナ、骸×ツナ、獄寺×ツナ( または、ツナ×獄寺 )。
他にも、カップリングがありますが、ヒバツナ3割、ムクツナ3割で ほぼ同じ( あくまで、私の見るところ)。
残り4割を、ゴクツナや山本×獄寺、ディーノ×ツナ、ヴァリアーや初代守護者。 笑った所では、プリーモ×ツナなどが占有しているようです。
リボーンは、シナリオとしては破綻しているところが多いコミックですが、ネタとしては面白いと思います。
バトル路線をチョイスしたことによって、ここまで生き残れたといえますが、元々のコメディ路線でも 私はよかったと思います。
けれど、34巻分も描き続けたからこそ、絵柄が「アート」 ってぇくらいの境地に達したのかと思うと複雑。
シナリオの結末が気になるので、コミックあるいは本誌は読むと思いますが、「萌え」は同人でしか味わえない―― そう覚悟させられた稀有な作品です。 原作で萌えれないって、初めて…
しかし、この「継承篇」、D・スペードを倒した後は、復讐者の謎を明らかにしたところでハッピーエンドなのでしょうね。
となると、2011年以内か2012年の3月頃に連載終了か… もう、それ以上のDQN展開は、ナシがよいでしょうねぇ…。