近年僕がライフワークとして推し進めている「大河の一滴プロジェクト」。
その全貌は以下の通り。
乗鞍岳剣ヶ峰に雪が舞い降りる→やがて溶け水分と化す→それが地面を通過し大河の一滴が生まれる→一滴が集まり一つの流れを形成する
次に源流域を形成し渓流域へと移動する→さらには幾筋もの渓流が出逢い小大野川となる→小大野川がダム湖に注ぎご存知の梓川に名を変える
さらにさらにダム湖で奈川の恵みをプラスして大きな流れを作り出し松本平を潤す→その後安曇野市との境で木曽から出でる奈良井川と合流しまたまた名を変え犀川となる→
その流れは肥沃な耕作地帯を大きく蛇行しながら流れ下り稲作、畑作、果樹栽培、電力供給などの役目を果たしつつ長野市を経由して千曲川。
さらにさらに豪快に蛇行は繰り返され遥か新潟市まで・・・・
ここでようやっと日本一の大河「信濃川」と命名され日本海との運命的な出逢いを果たす。
そんな気の遠くなるような一連の様々な流れを、アウトドアアクティビティーをはじめ、体験学習、地域活動などを通じて繋ぎ合わせ後世に伝えることを命題に掲げ、それはそれは地道にコツコツ牛歩以下で歩んでいる。
水の流れは上流・下流を繋ぐのは勿論、取り巻く環境、文化、人、心までをも繋ぎとめる重要な役目を果たす。
上流に大きなダムを作ることで生活は便利になるが、逆に失うものも計り知れない・・・・
不便か?便利か?
大自然を残すか?大都会を潤すか?
なかなか答えの出しづらいテーマだが、日本はあまりに後者を求め続け過ぎている。
さて、そんな思いを胸に抱き続け生活している僕に、本日実に興味深い1時間が訪れた!
こんなことにやたらと興味を持ち、検査員を質問攻めにし、汚水をクンクン嗅ぎまくっているド変態な僕の一部始終をどうぞご覧あれ~
まずは検査員の方と合流!(乗鞍・上高地ブランチは公共下水施設が整っておらず(乗鞍全域も同様)、浄化槽システムにより汚水を処理している)
あまりにも興味津々なPJ峰に嫌な顔せず、親切に指導してくれる検査員の方とパシリ!
全部で4つの部屋に分かれて、各部屋ごとに各々の仕事を分担する!ここはまず初めに訪れる最上流部の部屋(トイレ、洗濯、流しの全てがここへ)。
ここに全ての汚水が集まり分解という名の長い旅路が始まる。ちなみに蓋を開けてもさほど悪臭は漂ってこない・・・・
十数分前に用を足した僕としては、自分のジュニアを大河信濃川に送り出した親の気持ちとして感慨深げに見守る(笑)
次に個々の部屋で汚泥を沈下させ、上層にたまる汚水とを分ける。
ちなみにこの時点でもう先ほどの若干鼻に付く臭気は感じない。
検査員の方曰く、この部屋にもうすでに微生物が生活し分解を促し始めているとのこと。
よ~く見下ろすと中でボウフラっぽいものがウニウニしている(上記の微生物は目に見えないが、環境によってボウフラも発生するらしい)。
「こいつらが僕の愛する美しき渓流を守り、豊穣をもたらし、日本海を潤しているのか?」
そう考えると感謝、感謝の土下座ものである。
お次はモーターを使い風を送り空気を微生物たちに与える部屋。
それにより微生物たちはより活性化され、次々に汚水を呑み食べ次なる部屋に思いを託す。
(空気を好む微生物を好気生物、嫌がる生物を嫌気生物というらしい。前者の分解パワーが半端じゃないらしい!)
この時点で水は幼いころよく釣りをし、時に腰まで浸かって魚を追いかけた用水路程度の濁り。
微生物のパワー恐るべし!
最後はこちらで塩素殺菌!白く突き出た容器にプールに投げ込まれる固形の塩素剤と同様のものが設置され、最後の浄化処理を施す。
そして中央右の小さな槽からあふれ出した水がこいつに流れ出す仕掛け。
ちなみに乗鞍ブランチではこのまま小さなU字溝を流れ冒頭で記した「小大野川」に流れ下る。
この一滴が、そして僕のジュニアが海までの気の遠くなるような旅を開始する。
手を振る人はいないが、数えきれない微生物たちに助けられ、見送られながら・・・・
僕もこの一滴を食い入るように見つめ、しみじみと見届ける・・・・
その間も検査委員の方は淡々と通常業務をこなす。
通常じゃないのは傍観者である好奇心満々山男が付きまとう事のみ。
この後この緑色の道具を使い最終的に流れ出す「大河の一滴」の水質を調べる。
(*これ以外に汚泥の量を測ったり、臭気をチェックしたりする。どれも興味津々で質問攻め!)
これこそが「大河の一滴」の水質。
勿論飲むことは厳しいが、手に触れることも、鼻を近づけることも抵抗なし!
微生物どんだけ~
これは透視度を測る計測容器。
ちなみに見づらいが、この高さ50センチほどの容器の底に黒字で書かれた十字がある。
その十字をどのメモリで視認できるかを測る検査。
無論!乗鞍を、山を、大自然を愛するODSSとしては良質な検査結果!!
いつも自然を守ることに対して偉そうな事を説教しているPJ峰としては安堵の瞬間。
そのあとペーハー値を検査し、この日の検査項目は以上。
(この他に別業者によるBOD値も後日検査予定)
無事我らが海へと排出している「大河の一滴」は優等生であることが判明。
胸をなでおろし日常の業務に戻る。
しかしこの1時間!実に有意義で自然界の恐るべし浄化システム!!。
今回は本当にミニマムな浄化過程だけを目の当たりにしたに過ぎないが、これを各家庭、企業が当たり前のように行っているのだ。
これはあくまで人工的な浄化システムだが、これと同様なことを自然界は淡々と行ってくれている・・・・
そう思うと深々と頭を垂れても足りないくらい感謝の気持ちで一杯になった。
「大河の一滴プロジェクト」。
このプロジェクトを推し進めていく上で今日という日は大切な一日となった。
こんな日常の一コマも見方を変えると、とてつもなき教育的価値がある。
皆さんも機会に恵まれたら興味津々で見てもらいたい。
最後に功労者の彼らに一言。
「ありがとう!微生物たちよ!!これからも宜しく!!!」。
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