175第3話感応
ミーターの大冒険
第八部
地球
第3話
感応
あらすじ
ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はアルファ星から出発して太陽系に入った。
人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。
R・ミーター・マロウの主人アルカディアの志しを携えて、アルカディアや同士ジスカルド・ハニスらのなし得なかった志しの実現の領域に確実に入ろうとしていた。
はたして地球の放射能汚染を除去することができるのか?
そしていよいよ太陽系外縁部のオールトの雲を抜けて待望した太陽系に突入して行く。
鋭さを増したミーターの推理力は予測通りに土星に遭遇させ、地球のかたわれともいわれる月に不死の従僕の気配を感じさせる。
そしてついに不死の従僕が太陽系第3惑星地球の大きな衛星、その名も月(Luna )にいることを確信する。
新たな天体物理学者のミーターは、不死の従僕が月にいる理由を全て「宇宙潮流」理論で纏めあげる。
そしてミーターは人類と「宇宙潮流」との関わりについて惑星環境の土壌「墾化」現象に言及する。
ところが、ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は月の軌道目掛けて一直線のコースをとろうとしたところ、手前の火星地表で有機体とロボット(通常のロボットの反応とは違う)の存在をキャッチした。
ミーターの直感は火星に着陸する選択をする。
直感は当たった。
ダニール・オリヴォーがいたのであった。あのアルカディアの念願であった、アルカディアに成り代わってミーター・マロウが不死の従僕に会えたのであった。
ダニールに誘導されたミーターは、ダニールの月基地に、水の大貯蔵タンクを見せられる。
ミーターはほぼ単独でオーストラリアのウェルスクリークに降り立つ。ほかにダニールの助手ペイリー・リャンとR・オーロラ・ルナセントが同行したが、彼らの地上での行動は、ミーターを除いて、2時間と制限されていた。
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ミーター この縦坑はどこくらいの深さですか?ニフ人というか、アルファ人というか、彼らの努力が偲ばれますねぇ!
ペイリー・リャン おおむね1000メートルです。
ミーターさん、おしゃべりしてると、真っ逆さまですよ。もっと注意してロープを握って下さい。あなたが怪我されると棟梁から叱責されるので。
ミーター もっとお手柔らかくお願いしますよ、リャンさん。
イルミナだったら、下に降りるのにもっと簡単な方法を考えつくのだがなあ!
ペイリー なにぶつぶつ言ってるのですか?この方法がベストです。何しろ私たち月の住人(ダニールのグループ)はあなたが、100トンのゼオライトを掘削、採集するまでのお手伝いです。
それが終了次第、ミーターさんには北のヤマブキに向かってもらいます。
それに、なるべく私たち月の住人は、夜に燐光の舌ような地球幽霊を見たくはありませんから、さっさとミーターさんには作業を終えてもらって、私たちはファー・スター2世号に戻らせてもらいます。
あとは、ミーターさん、お一人でアース・オービターに乗って行って下さい。
ミーター なんたることだ、俺を一人、地球幽霊のいるところに置き去りにするらしい、イルミナ、聞こえてるな?
イルミナ ええ、ちゃんと聞こえてますよ。心配しなさんな、地球時代に書かれたという、『児童のための知識の書』におとぎ話として出て来ますね、地球幽霊は迷信です。おそらく、800数十あった鋼鉄都市には、他の場所より放射能の燐光がメラメラと夜間、揺らめいてたせいだと思われます。
ミーター と言っても、ゾッとしないな!
ところで、その本の出版日はいつだったか、分かるか?
ハリ・セルダンが、その本を彼の晩年にダニール・オリヴォーから渡された、という。
イルミナ 裏表紙にしっかりと書かれています。「ニュー・ヤマブキ出版 キリスト曆2757年版」
なぜ?
ミーター ニフにある鋼鉄都市の名前は、ヤマブキじゃあなかったのか?
イルミナ その通りです、ボス。
ミーターさん、私と話していて、いいのですか?月女たちにまた叱られますよ。
.....................
ペイリー 無事に着きました。あと残り1時間です。これから自動掘削機でゼオライト鉱石を蒐集します。
ミーターさんには、それを蒐集エレベーターで地上のアース・オービターに搬入してもらいます。
ミーター 忙しいなあ!
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