177第5話溶け込み
ミーターの大冒険
第八部
地球
第5話
溶け込み
あらすじ
ファウンデーション暦492年(西暦25059年)末、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はアルファ星から出発して太陽系に入った。
人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。
R・ミーター・マロウの主人アルカディアの志しを携えて、アルカディアや同士ジスカルド・ハニスらのなし得なかった志しの実現の領域に確実に入ろうとしていた。
はたして地球の放射能汚染を除去することができるのか?
そしていよいよ太陽系外縁部のオールトの雲を抜けて待望した太陽系に突入して行く。
鋭さを増したミーターの推理力は予測通りに土星に遭遇させ、地球のかたわれともいわれる月に不死の従僕の気配を感じさせる。
そしてついに不死の従僕が太陽系第3惑星地球の大きな衛星、その名も月(Luna )にいることを確信する。
新たな天体物理学者のミーターは、不死の従僕が月にいる理由を全て「宇宙潮流」理論で纏めあげる。
そしてミーターは人類と「宇宙潮流」との関わりについて惑星環境の土壌「墾化」現象に言及する。
ところが、ミーターとイルミナを乗せたファー・スター2世号は月の軌道目掛けて一直線のコースをとろうとしたところ、手前の火星地表で有機体とロボット(通常のロボットの反応とは違う)の存在をキャッチした。
ミーターの直感は火星に着陸する選択をする。
直感は当たった。
ダニール・オリヴォーがいたのであった。あのアルカディアの念願であった、アルカディアに成り代わってミーター・マロウが不死の従僕に会えたのであった。
ダニールに誘導されたミーターは、ダニールの月基地に、水の大貯蔵タンクを見せられる。
ミーターはほぼ単独でオーストラリアのウェルスクリークに降り立つ。ほかにダニールの助手ペイリー・リャンとR・オーロラ・ルナセントが同行したが、彼らの地上での行動は、ミーターを除いて、2時間と制限されていた。
イルミナのリードによって北上したアース・オービターは、無事にニフのフニ山頂に着いた。
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ミーター ここが、ガイアのドムさんが言ってたフニの山か。
ここでどれくらい待つんだ、イルミナ?
イルミナ もう着きますよ!時間通りです。ほら、上から降りて来ましたよ、ミーターさんの懐かしい銀河の希望ポエニッツ号!
ドースさんが、遙々イオス星から届けてくれました。
ポニェッツ仕様のラヴェンダーの凝縮エキスと月と火星の水との溶液のお出ましです。
ボス、お願いです、涙なんか流さないで下さい。月女のみんなに笑われますから。ターミナスの恥になってしまいますので。
ミーター で、イルミナ、そのラヴェンダーのエキスと水とウェルスクリークのゼオライトの粉末の溶液を巨大タンクで混ぜ合わせてればいいんだな?
イルミナ その通りです。その混合液を特殊蒸気発生装置で蒸発させ、成層圏で粒子状に漂わせる。
あとは双子座流星群をひたすら待つ、という首尾です。
流星が多ければ多いほど、地上に放射能除去機能が働きます。10日したら、次はフォルモッサのユイ山頂、それからシチュアンの峨眉山、それからアラスカのデナリ、....
ミーター 分かった、分かった。その都度、頼むよ。いくら俺が放射能防御が完璧と言ったって、働かさせ過ぎじゃあないのか?
いい気分で、イオス星の温泉に入ってた頃が懐かしいってもんじゃないか?
イルミナ それから、夜間は必ず、あのアルファ星からのお土産のシルクベットで休んでください。
ミーター それなんだがな!そのシルクベットを開けてみたんだ。そしたら内部は全部粉なんだ。それを全部除いて、その粉を別のところにまとめて置いた。
イルミナ おかしいわね、ボス、その粉を詳しく検査する必要がありますね。
どういう具合でそれがシルクベットに入れられたのでしょうかねぇ?
ミーター イルミナ、犯人は決まっている。アルファのモノリー爺さん!
イルミナ そうですね、でもその粉の正体を突き止めてからでしょう。犯人とか呼ぶのは、もしかしたら、貴重なものなのかもしれませんから。
ミーター イルミナ、1日の労働としては今日は過酷過ぎる。今日は、ニフに着いたお祝いとして、早くシルクベットに入る。
あとは、アース・オービターの検査装置でその粉の正体を調査しておいてくれたまえ、イルミナ副長殿!
イルミナ とかなんとかおっしゃって、ボスったら、私がファー・スター2世号にいることをすっかり忘れているのね。でもリモートコントロールで十分可能ですから、喜んで調査して置きますよ。
ミーター イルミナ、なんか言ったか?
イルミナ 夜寝るロボットだなんて、銀河広しと言えども、ミーター・マロウ様以外にはいませんこと!
Photo ミーターによってフニ山が地球全体の希望として輝き出した。
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