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ミーターの大冒険 第七部 太陽系 第6話 ミーターの夢の一つ

2023-01-09 21:48:19 | 太陽系
168第6話ミーターの夢の一つ
ミーターの大冒険
第七部
太陽系
第6話

ミーターの夢の一つ

あらすじ

 ファウンデーション暦492年、いよいよミーターとイルミナを載せたファー・スター2世号はアルファ星から出発して太陽系に入った。

 人類の故郷の星系。懐かしい星、地球。
 
 かつて、カビレ星系と言われていた太陽系。かつてアタカナと言われていた地球。

 R・ミーター・マロウの主人アルカディアの志しを携えて、アルカディアのなし得なかった志しの実現の領域に確実に入ろうとしていた。

 はたして地球の放射能汚染を駆除することができるのか?

 ミーターは、太陽系と地球についての最終的情報を得ようとしてアルファに降りることにした。
 その前にメルポメニアで入手した図書館の蔵書に記されていた地球と地球人類、そしてアルファの住民の起源の土地、ニフについての恐怖の出来事について驚嘆する。

 その古文書のなかに、メルポメニアの滅亡寸前に記されたであろう『スペーサーとアルファ』なる書物をミーターは、イルミナに提示し、その概略の説明をさせる。

 ニフの起源と核戦争の事実であった。

 イルミナはまたニフ人が二種類いることを語る。

 ニフ人たちは、核融合という理想のエネルギーを人類に提供するものの、謙譲の美を進んで実行し、祖先がそうであったように、移動の民に目覚め、密かに宇宙に出て行った。
 彼らは後にシンナックス人として知られるようになる。それは、ナックの思想に同調していたニフ人以外にも地球全土に人種を越えて散らばっていったからである。

 残ったニフ人たちは、地球各地で放射能に汚染された環境浄化をしつつ、最後まで地球を守り続けた。が、最終的には地球を手放さなくてはならなかった。そして彼らはテラフォーミングを必要としていたアルファに移住した。

 イルミナは、銀河の歴史的収束点前後の大事件について繙(ひもと)く。

 それは、ケルドン・アマディロ博士の「核反応増強装置」による「地球放射能汚染計画」であった。

 アマディロは、イライジャ・ベイリーとハン・ファストルフ博士への恨み骨髄に達するほどに執念を燃やし、ついに復讐の刃を地球人撲滅という悲惨で残酷なシナリオを完成させようとしていた。

 ついに太陽系の入り口にたどり着いた。人類の母なる太陽系。そして夢の地球。

 ミーターは、ロボットには病原菌は感染しないことを承知のうえで、万全の防備態勢でアルファに降り立った。そこには一人の少女が待ち受けていた。

 ミーターは、まずこの少女が語る彼らの星の名称がメルポメニアで入手したデータと食い違っていることに驚嘆する。

 さらにミーターはアルファ人の特異性について知らされる。

 そしていよいよ待望した太陽系に突入して行く。
 
 鋭さを増したミーターの推理力は予測通りに土星に遭遇させ、地球のかたわれともいわれる月に不死の従僕の気配を感じさせる。

 そしてついに不死の従僕が太陽系第3惑星地球の大きな衛星、その名も月(Luna )にいることを確信する。

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イルミナ どうして不死の従僕さんが月にいるということがわかるのですか?

ミーター 例のコンポレロンのデニアドールのことからだ。リングの惑星と、ある惑星の巨大衛星のセットで、不死さんは我々を誘導したんだ。土星の異常さだけ一方の理由なわけないだろう。

イルミナ ごもっともです。

ミーター 太陽系第3惑星には不自然で不釣り合いな衛星(月)がある。メルポメニアの『スペーサーとアルファ』には月(Luna)と衛星(the Satellite )と同義語として記載されてあった。そしておまえがデニアドールの想念から拾い上げた情報と、メルポメニアで入手した文書記録と、アルファで入手したデータを総合的に整理すると、そういう事実が浮かび上がる。しかも、それをダニールは楽しんで俺を試しているように思えるんだよ。

 イルミナ、いいかい、ダニールは我らロボットの永遠なる尊敬主であるかも知れないが、それでも、どこか人間的な存在なんだ。ユーモアがあり、失敗もし、時には後悔もする。

イルミナ そうだわね!彼ってハリ・セルダンの前に初めて姿を現した時はヒューミン(人間的)と名乗っていたし、あのガール・ドーニックと初めてシンナックス大学で遭遇したときも、ヒューミンと名乗っていた。

 もしかしたら、オリンサスさんと友達になったときも、ヒューミンと自己紹介していたかもね!

ミーター そうそう、おまえも俺の推理力の真似ができてきたなあ!

 今、気がついたことがある。
 今からダニールさんが月にいる理由を説明するが、
 そうだ!

 そのシンナックスねえ。

イルミナ なんですか?

ミーター 「シンナックス」の意味にも、2つある。2つの意味をかけていると言った方がいい。
 一つは、ナックス主義者の集合。
 もうひとつは、シンナックスの「シン」は、古代ニフ語で「新しい」という意味もある。

イルミナ そういうことなんですね!
 いわゆる、「日々新たなり、新たなり」という意味の古代語ですね。つまり、「新」の意味は、「冒険」、「探索」、「移動・変革」ですね!
 でも、ミーターさん、どうして突然、シンナックスのことを?

ミーター そうなんだ。要するに、俺はこの太陽系に入るまでに、何回も変身してきた。そしてここまで移動してきた。
 この銀河が再生するには、この銀河を復興するには、全能力を使って探索してきた。

 ダニールは俺の推理力に彼の感応力で挑戦している。
 イルミナ、おまえに訊くが、この銀河の凋落の原因はなんなんだと思う?

イルミナ そうね!重要な秘密のキーワードねえ!
 そうですね、...
 あの「反陰陽」という概念を再構成すると「混沌」ということかしら!

ミーター 素晴らしい!
 おまえって、どんな機能をもっているんだ!

イルミナ まあ、お褒めに預かって嬉しいですね!その「混沌」について、なにか?

ミーター 実は、確証はないのだが、俺はR・ダニール・オリヴォーの存在の裏には、やっぱり、ジスカルド・レヴェントロフの存在が大きいとふんでいる。
 そのレヴェントロフの存在にジョン・ナックが隠れているように思えてきた。
 その「混沌」は循環する。最も小さいサイクルは500年だ。
 そして、この理論は、ジョン・ナックが提唱した。ガール・ドーニックはシンナックス人だ。当然、彼の不定性の原理は、ジョン・ナックの思想に基づいていると考えるのがふつうだ。ジョン・ナックは、この「混沌」の原因が「宇宙潮流」から来ていると気がついていたんだ。

 そこでだ、R・ダニール・オリヴォーは、おそらく、この「宇宙潮流」を利用して、彼の機能が持続可能ならば、この銀河を脱出したい、のではないかな。

イルミナ まあ、ミーターさんったら、どこまで飛躍してしまうのですか?この後、不死の従僕さんがこの銀河を復興するんではないのですか?

ミーター イルミナ、いいかい、不死の従僕さんであっても、永遠に不死ではあり得ない。彼に余命があるなら、ジスカルドのなし得なかった夢を実現させてあげようではないか。彼はもうこの銀河で2万年ものあいだ、人類のために戦って来たんだから。

イルミナ まあ、もしそうなったら誰が不死様の代わりになるんですか?
 
 まあ、もしや..!!

ミーター かつて、ハニスさんは、ベリス岬でこの俺に呟いたんだ。

 「ミーター君。沈みかけの太陽になにかしかの糸口があるとずっと思ってきた」と。
 俺は地球から見た夕暮れの空に太陽がゆっくりと沈んでいく光景の夢を何度も見たんだ、イルミナ。



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