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古代生物って良いよね。

たま~にショー説またいなやつ。

浄化

2012-07-30 00:21:53 | ショートショート
だいぶ昔に書いたものです。

ちょっと露骨に浄化してるんで、そこんとこどーなのよとも思うのですがまぁいいや。
では、どうぞ。





振動をするその玉を
両手でわっしと握みとると、電気鋸のプシュケーが宿る

その震える身体はいったい何に恐怖しているのだろう

天災か、自然か、秩序か、科学か、機械か、言葉か、人口か、食糧か、構造物か──


いや、それはきっと迫り来る、黒い光なのだろう


手のなかで暴れ回るその玉を必死の思いで握り締めるが
もう指が引きちぎられてしまいそう
もう指が引きちぎられるかと思ったら
もう指は電気鋸のプシュケーに侵されていた

手が、ものを、切り裂く

朝のコーヒーを飲もうとするも、まずは把手がつかめない
豆も挽けない、お湯もつげない、服も着れない、飯も食えない──

身体が、ものを切り裂く

ものを切り裂くにつれて、電気鋸のプシュケーは震える身体と共鳴し
髪の先まで振動する
昇華したI2分子を原子と原子に切断する

もう、止まらない

共鳴したプシュケーは、いつの間にか見えなくなった
存在は感じつつも
見えない、見えない
もしかしたら、切り裂いてしまったのだろうか
電気鋸のプシュケーを、切り裂いてしまったのだろうか

アンクザイエティーは止まらない

電気鋸のプシュケーを取り戻そうと思った矢先、一枚のチラシが舞い降りた
 『第37回東日本プシュケリズム大会を開催します
  あなたのプシュケーは、真のプシュケーですか?
  私達のプシュケーは、真のプシュケーです。
  より多くのプシュケーを一同に会することで、
  新たな「神的カタルシス」を得ましょう!
         ──参加費:払える限り
         ──場 所:歩ける限り』
迷わず銀行に行き、鞄をふくらませて帰ってきた

限りなく、歩いてやる

電気鋸の足において、服の必要性はない
電気鋸の身体において、服の必要性はない
地を切り裂いて進むのみ
みなを切り裂いて進むのみ

黒い光のみ待っていた

電気鋸のプシュケーは、こわれた体を待ってなかった
こわれた体の集団は、真のプシュケーを失っていた
電気鋸の髪の毛は
もはや切り裂く力はなかった

手が、ものをつかむ

朝のコーヒーを飲もうとして、まずは把手をつかんでみる
豆を挽いてお湯をつぎ、服を着た後飯を食う

何日ぶりの、飯だろう──



白い光が見えていた

白いプシュケーが、宿っていた

SS。

2008-12-18 10:15:03 | ショートショート
けして、ドラクエの強い奴ではありません。

ドラゴンボールの凄い奴等でもありません。

ショート・ショートです。

さて、今回のSSは、テーマが「色」です。

少々分かりにくくなってしまいましたが、まぁそんな感じ。


途中、色盲について書いた部分がありますが、これは私の感じたまま書いたものであり、けして、色盲の方々についての誹謗・中傷を目的として書いたものではありません。また、これを読まれて不快になられる方もいらっしゃるとは思うので、先におことわりさせていただきます。

不快に感じられた方々には心よりお詫びを申し上げます。









天気は、晴れ。

様々な色が飛び交う日。

光輝く太陽は、しかし、何色なのだろうか。

俺は、未だに晴れの日が好きになれない。





あまりにもカラフルで。

あまりにも気持ち悪い。











「診断結果ですが・・・・、やはり貴方は色盲のようですね。」

「はぁ、そうっすか。」

「ま、良くある事ですよ。男性だと、約5%が色盲なんですよ。百人中五人です。まぁ、あなたの場合は軽い方なので心配することはありませんね。日常生活に支障を下すレベルではありませんよ。」

「はぁ。わかりましたぁ。あ、ありがとうございます。」




気付いたのは、意外にも数日前だった。いや、確信したのは、か。

昔から度々言われて来たが、別に気にする程じゃぁなかったし。ただ、たまーに、試験前に皆がルーズリーフに授業の内容などをまとめたらしい紙に、何がやりたくて下敷きとかで隠しながら見ていたのか理由が分からなかったな。
うん。けして、生物で赤血球を習った時に理解に苦しんだ事も言わなかった。

単なる、意地、か。

そして、まぁ、この前だが、新しく買ったケータイの色を決めるときに確信した。いや、諦めた。

俺は、遺伝による赤色の色盲だった。



只今、何もついていないように見える信号機の前で佇んでいる。
理由は簡単だ。目の前を車がガンガン通っている。はっきり言って、いくら信号が良く見えなくとも渡ろうとする気はさらさらないな。

しばらく待って、渡った。理由は簡単だ。信号が青になったからだ。一応、車を確認したけどさ。


道路を渡った先、右斜め前の方向、これは2時の方向といえばいいのか?に、コンビニがある。
俺の住んでいる家から2分と言う、正にコンビニエンスなコンビニだ。因みにさっきの病院は二分半、ぶっちゃけ変わらん。

その名前通りのコンビニは、俺に取っては更にコンビニエンスであり、ベリーを付けても宜しい。
何せ、我が労働力を買ってくれているのだから。
つーかバイト先なんだよな。

コンビニにしては大きな駐車場を保有しているそれは、大学の近くにあると言うこともあり連日学生がわんさかと。要するに儲かってます。
時給850円+α。
αは、頑張り様や、見た目、ゲームの腕等によるとか言う噂。
因みに俺はこれでも結構頑張る方で、
時給930円ナリ。
家からの近さもあり正にコンビニエンスなコンビニだ。
あ、噂によると、若くて、ある程度の美しさのある女性は無条件で、
時給980円だとか。

まぁ、確実性は無いけどね。

大学には推薦で早めに合格したし、今は暇だ。たまに、俺の頭脳を必要とする奴から緊急連絡要請があり、俺の希望進路、建築系の知識をフル解放することによってかなりの確率で相手に嘆かれる事くらいかな。


「こんちわー。」

「おうっ。」

若干驚かれた様だったが、まあいいや。

今は昼過ぎと言うこともあり御客様は疎らだ。
一応、御客様は神様だと幼少時代から言われ続けて十数年。
まだその精神は健在だった。



控え室から出て来ると俺はこのコンビニの店員となる。
が、やはり客は、いや御客様はあまりいないので本当は駄目なのだが、言い訳すると暇ですので、まぁ、

「私、さっき病院行ってきたんですよ。」

こんな感じ。

「へー。どうしたんだ?風邪か?」

「風邪なんかでは行きませんよ。それに、行ってきたのは眼科です。」

「眼科・・・・あぁ。そこの?」

「そうです。」

「んで、どーしたんだ?おにーさんに話してごらん?」

「おにーさん・・・・」

「そこは気にするな。」

「実はですね、私、」

「あ、待て。言うなよ。おにーさんが当ててやろう。」

「分かりますかね・・・・。」

「多分・・・・、コンタクトを作りに行ったんだろう!」

「当たりです。良く分かりましたね。」

「はははははは。おにーさんは万能だからな。」

「それはさておき。実は私、さっき病院行って分かったのですが、色盲なんですよ。赤色の。先生によると、軽度らしいんですけどね。」

「そ、そうか。」

おにーさんは何やら落ち込んでいるが気にしないでおこう。それがマナーだ。

「まぁ、私の父も色盲でしたからね。」

「あぁ、色盲っていやぁ、あれだ、あれ。」

「あれですか。」

「そうだ。あれだ。」

「はい。で、何でしょう?」

「お前さぁ、時々キツいぞ。」

「ずっとキツいよりはマシでしょう。」

「・・・・。」

「で、何でしょう?」

「あぁ。俺の知り合いにもさ、色盲の奴がいたからさ。」

「そうですか。」

「・・・・。俺はどう切り返せば良いんだ?」

「例えば、そうですね。会ってみないか、と言うのはどうでしょう。」

「あ、良いなそれ。」

「でしょう。」

「んじゃぁ、多分そろそろ来ると思うから、あ。来た。」

「飽きるのが早いですね。」

「・・・・。無視して、ほら、おーい。」

「よぉぃーッス。」

「何だ、それ?」

「よぉ、と、ウィーッス、を合わせたんだよ。やっぱり俺って天才!!」

「お前、確か色盲だったよな。」

「あぁ、そうだよ。良いだろ~?羨ましいかぁ?」

「無視するぞ。で、だ。お前に話がある。」

「なんじゃらほいのほいさっさ。」

「実はな、コイツも色盲なんだよ。」

「コイツって、この男前?」

「はい。私、通称男前が赤色の色盲なんですよ。」

「おぅ~~。ノリが良いね~~~。さっすが男前!!」

「それでですね。私、つい先ほど色盲だと判明したのですが、これからの生活に支障を下すような事が無いかと心配だったのですが、もう大丈夫です。」

「へ?」

「・・・・ほ。」

「ま!!」

「み。」

「む!!!」

「め、もやいゆえよらりるれろわいうえをん。」

「・・・・!!!」

「私の勝ちですよ。」

「くっ。やるのお・・・・!!!」

「お前等、止めろ。」

「はっはははっはは。いやー、しかしお前、面白いな、男前。」

「そうですかね?」

「俺が決めたんだからそうだ!!!」

「そうですか。ありがとうございます。」

「まいどあり~。」

「しかし、しかしですよ。私達色盲の人は、何だか、軽く損をしているような気がしませんかね。どんなに素晴らしい絵や写真もその色には見えないのは・・・・。」

「ふっ。ばっかだなぁ。いいか、良く聞けよ。色って言うのは電波だろ?そこで俺等が、いや、皆が見えてんのは基本の、えーと、幾つだったっけな。忘れたけど、ある波長の三色、赤、青、緑だっけな、を基本としてそれを混ぜ合わせた色が認識出来てだな、」

「私はその三色を認識する神経の赤色専用がやられているんです。そのくらいは私にも分かります。」

「くっ。まぁいい。しかしだなぁ、」

「ここで考え方を変えて、私達はこの世の本当の姿を見ているのではなくて、見えているのはこの世の極一部にしか過ぎず、それ故に少し位見えなくなってもこの世の姿は変わらないし、むしろ色に惑わされずに済むからより本質が見える、と言うことですか。」

「くっ。良く分かったな。」

「一を聞いて百億を理解すると言うではないですか。」

「まぁ、そう言う事だ。だが、もしさ、人が光の基本三原色以外に、見ることの出来る電波があったら、世界はどう見えるんだろうか。」

「きっと、凄くカラフルで、凄く気持ち悪いと思います。」











俺の目は、確かに赤色は見えなくなった。


しかし、この、何とも表現の仕様の無い色は何色なのだろうか。

誰に言っても通じない、この色は。

視界を埋め尽くすような、この色は。




つくづく思う。



世の中は、恐ろしくカラフルだ、と。



〈終わり〉

ショートショート。

2008-11-03 19:55:49 | ショートショート
テストも無事とはいえないが緊急着陸に成功したくらいにはなったので、ここらでショートショートをひとつ書いたので。
題名は・・・・えーと・・・なんにしようか・・・・・・。
あー・・・・、そうだっ。
読んだ人がいたら題名を考えてみてくださいな。
まぁ、テーマは「オパビニア」ということで。
ん?オパビニアを知らないだと?
そんな方にかる~く説明を。

「オパビニア」は、ぶっちゃけ古代生物です。カンブリア紀やらデボン紀やらそんな感じにいたの。んで、目が五つあって、チューブみたいな触手が一個。あとは、ナメクジにたくさんのヒレがついたような感じ。

です。まぁ、わからなかったらなんかで調べましょう。

では、ショートショートの始まりです~。



題名「  」(未定)

彼は言った。
「俺、目が五つ有るんだぜ。」
それは突然のことで、どう反応して良いか分からなかったが、この場に彼と僕しか居なかったので僕は反応した。
「僕は三つしかないですよ。」
互いに自分等の目を見せ合う。三つ目の目は丁度額の辺り。その目はどうやら上手く焦点の合わないのか、中の黒目を回していた。
四つ、五つ目の目は左右のこめかみの辺り。ここの目は、目と言うよりは只の穴。いや、中に目玉らしきものが入っているのだから目、と呼んだほうが良いのかも知れない。
そして、互いに見せ合った後、彼が言った。
「目が五つもあるとさぁ・・・」
a、と言う母音を軽く伸ばして、続ける。
「何か、結構視界が広がるんだよな。」
結論、どうでもいい事らしい。ただ口に出してみたかっただけであろう。
「そうでしょうね。僕は三つ目ですが、十分視界が広いと感じていますからね。」
「いやぁ、五つにもなるともう見えすぎて怖いくらいだぜ。」
「ははは。」
「はっはっは。」
「あんたはそんなこと、ないか?」
「まぁ、たまにありましたね。鳥の糞が落ちてきた時とか。」
「はっはっは、」
「そりゃー、怖いな。」
「えぇ。怖かったですよ。」
「・・・・。」
「・・・・。」
「あっ、あんたは、あーっと、煙草大丈夫か?」
「どの程度の範囲でですか?」
「あー、近くで吸っても気にしないかって感じで、だ。」
「それは、別に構わないのですが・・・・、窓を開けた方が良いのではないでしょうか?仮にでもここは病院なのですし。」
「あぁ、そうだな。では、吸わせて貰うよ。」
窓を開ける音がしたと思うと、ライターの火をつける音がなった。既に煙草は口に加えていたらしい。
彼の口からは、何とも色の表現の難しい、煙草の煙が吐き出されて、地上六階の窓の外に吸い込まれていく。正確には、吐き出されていく。この世界の広さと、この病院の二人部屋とは、明らかな大きさの違いがあるからだ。
「あんたは、いつ頃からだい、それは。」
「大体・・・・七ヶ月位前からですね。貴方は?」
「俺は、ざっと二年三ヶ月だ。」
「そんなにですか。」
「あぁ。でもな、不思議と暇と思ったことはほとんどないんだよな。」
「えぇ。確かに、僕もそうですよ。何か、新たな世界の様なものが・・・・」
「そうそう。何か、楽しくて仕様がないみたいな感じだよな。」
「えぇはい。そんな感じです。」
「もう、二つ目には戻りたくねぇな、俺は。」
「全くです。」
「いやぁ、あんたはまだ三つしかないけど、四つ、五つって増えると凄いんだぜ?」
「そうなんですか?」
「そうだよ。」
彼は、三本目となる煙草を口にくわえ、言う。
「あんたもどうだ?煙草。」
「いえ、昔吸ってて凄い頭痛になってしまって。それ以来僕が煙草を吸うのは避けているんです。トラウマですかね。」
「そうか、悪いな。」
「いえいえ。人が吸う分には構いませんので。」
「じゃあ、遠慮なく。」
ライターに三度目の火がつく。窓から風が入り、カーテンが揺れる。
彼はその様子を見て、言った。
「俺、ちょっとジュース買ってくるわ。」
「そうですか。煙草、消した方が良いのではないでしょうか。」
「あぁ、そうだな。」
「そうです。」
「じゃあ、行ってくるわ。」
彼は出て行った。
部屋には僅かに煙草の香りが漂っている。
「今医者が入って来たらなんて言いましょうか・・・・。」
ここには一人しかいないので、必然的にそれは独り言となる。
彼は帰ってくるのが遅かった。飲み物は一階のロビーにある自販機、カップだけのもの、がある。ここ、六階から階段を使ったとしても十五分位だろうが、彼が帰ってきたのは五十五後だった。
彼はミルクセーキを飲みつつ、部屋に入ってきた。
机の上に、他に買ってきたのであろうバナナジュース、イチゴミルクジュースを置いた。
「俺な、結構甘い系好きなんだよ。」
「僕は基本的にはお茶ですが、甘い系も好きですよ。その、バナナジュースとか。」
「やっぱバナナジュースって良いよなー。」
「そうですよね。」
丁度ミルクセーキを飲み終えたのか、ゴミ箱の方へ彼は歩いていく。
「あのさぁ、俺、明日は海に行く。」
「明日ですか?」
「何か、引き寄せられるんだよな。」
「でも、海は遠いですよ。」
「あぁ、海、か。」
「どうやっていく予定ですか?」
「よし。明日に備えてもう寝よう。」
「海、ですか。」
「おやすみなー。」
「おやすみなさい。」
時計の針は八時を示す位置にあった。
その後、就寝時間となり、電気が消えた。
翌日、僕は九時ごろに起きた。
寝坊だが、まだ朝食は来てないので大丈夫らしい。
「寝坊してしまいましたよ。」
誰かに語りかける口調で話したが一人しかいなかったのでそれは独り言となってしまう。
その時、看護師が朝食をきた。
「すみません。遅れてしまって。」
「いえいえ。大丈夫です。それより、彼の分の朝食はないのですか?」
看護師が持ってきた朝食は一つだけだった。
「あぁ、彼は今朝、海に帰りましたよ。」
「海に?」
「えぇ。海に。」
「海ですか。」
「海ですよ。」
「行けるのですか?」
「表に、タクシーをお呼びしましたので。」
「そうなのですか。」
「そうなのです。」
「では、この部屋は僕一人ですか。」
「いいえ。今日の午後から別の人が入る予定ですよ。」
「あ、そうですか。」
「あと、あなた、目が四つに増えましたね。」
「えっ?あ、本当だ。寝ている間に増えたのですね。」
「もうすぐで五つですよ。」
「はい。でも、五つになるとどうなるのですか?」
「それは分かりません。五つ目の人に聞いてみて下さい。では。」
看護師は出ていった。
朝食の鮭をほぐしながら僕は呟いた。
「海、か。」
開いた窓から潮の匂いがしたような気がした。

(終わり。)