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今日も堕落書

勝手気ままに言いたい放題
「にゃんね」のブログ

伊香保が衝撃

2025-07-27 16:31:05 | 日記
朝4時に家をでて伊香保にむかった。
朝の車の少ない時間に走るのって気持ちがいいな。
伊香保温泉に浸かる、
ちょっと鉄鉱みたいな香りがしてとてもよい。
そして伊香保おもちゃと人形自動車博物館に行った。
すごい昭和レトロと車と人形の館。広すぎて凄すぎて感動。




そしてこんにゃくパーク、無料のこんにゃくブッフェがおいしい。
こんにゃくラーメンがよかった。


むかしむかしの話 【音のない町】ものがたり

2025-06-01 20:56:54 | 日記
【音のない町】


昔々、あるところに、みつ姫と呼ばれるたいそう可憐なお嬢さまがおりました。
みつ姫は、深い山々と清らかな川に囲まれた玉川の都にて、日々琴を奏で、歌を詠み、人々の幸せを願ってお暮らしになっておりました。
けれどその都には、一つだけ大きな悩みがございました。
それは――
「夜になると、町じゅうの音が消えてしまう」という、ふしぎな呪いでございます。

笛も鳴らず、鐘も響かず、ひとの声すら聞こえない。
まるでこの世から音がひとつ残らず消えたかのようになるのです。

村人たちは不安におののき、夜になると戸を閉め、静かに震えながら朝を待つしかありませんでした。

けれど、みつ姫は違いました。

「音がなくなるなんて――わたくし、許せませんわ。
歌がなければ、人の心は寂しくなってしまいますもの」


そうおっしゃったみつ姫は、ただひとり、夜の町に歩み出たのです。

---

その夜も、音は静かに消えてゆきました。
風のざわめきも、小川のせせらぎも、みつ姫の足音までもが。


けれど――


「らら、ら〜ら…」


姫の口から、そっと、小さな歌がこぼれ落ちました。
それは、まるで朝露のように澄んだ声。
夜の静けさのなかに、かすかに、けれど確かに響いたのです。


するとどうでしょう。


町の端の石畳がふるえ、小さな鈴の音が鳴りました。
そして、古い井戸の影から現れたのは――


**「音喰いのカエル」**でございました。


「ああ、また現れたのね。お見通しですわ。
この都の音を食べているのは、あなたなのでしょう?」


姫は優雅にスカートのすそを広げて一礼なさいました。
カエルは、ばつが悪そうにゲロゲロと笑いました。

「そのとおり。おまえの町の音は、ぜ〜んぶ、わしがくうてたんじゃ」

「なぜそのようなことを?音は、生きとし生けるものの、心のあかしでございますのに」

「うるさい音がきらいじゃ。
人間は、泣くし、怒鳴るし、笑うし、歌うし…静けさの中でひとり、じっとしていることができん。
だから、わしが音を全部食べてしまった。気に入ってるんじゃ、静かな夜は」

姫はしばし黙って、そのカエルを見つめておられました。

「まぁ、それなら仕方ありませんわね。
わたくしも、あなたにお気に召すような音をお聴かせすることができれば…食べるのをやめてくださるかしら?」


カエルは面食らったように、目をまんまるにしました。


「…うまい音、だと?わしが食わんでも、満足できる音なんて、あるもんか」


「あるのですわ。それが――愛の歌でございます」

---

姫は、月あかりの下で、ひとり静かに歌いはじめました。
その声は、まるで泉のしずくのように、しんしんと夜に沁み込んでいきました。

♪ らら、あなたの心のなかに
  さみしさが棲んでいるなら
  わたくしの声で あたためて差し上げますわ
  あなたは もうひとりでは ございませんのよ ♪


カエルははじめ、耳をふさいでおりましたが…やがて、そのまぶたを閉じ、じっと聞き入っておりました。


そして――
涙をひとしずく、こぼしたのです。


「…なんでじゃ。そんな…やさしい声を、わしに聴かせるな。
こんな気持ち…はじめてじゃ…」


姫は、微笑んでおっしゃいました。


「それが愛でございますわ。
わたくしたちの心に宿る、もっとも尊き音ですもの」

---

その日を境に、音の消える夜は終わりました。

カエルは町の井戸に住みつき、人々の奏でる音にそっと耳を澄ませるようになりました。
誰もカエルを追い払おうとはいたしません。
むしろ、祭りのたびに、子どもたちはこう歌いました。


「♪ げろげろカエルと じゅの姫〜
  うたってすくった このまちよ〜
  ぽんぽこりんと 鳴る太鼓
  あいのこえこそ 宝もの〜 ♪」


今でも玉川の都には、じゅの姫の面影を残す歌が風に乗って流れてまいります。
それを聴いた者は、きっと心がふんわりとやわらかくなると、そう申しますのよ――。