『今日もみんなで良いモノつくります!』

『経営について』の考え方と従業員の『究極のモノづくり』に挑戦する姿を伝えたいと思います。

『リスク・マネジメント対応とその構築』について!

2007年11月27日 | 経営の事
企業経営を現実的に行なっている中で、様々なリスクが発生します。
企業は、その“予期せぬ事態”に的確に対応して行かなければなりません。
その予期せぬ事態の中で、最大級の被害をもたらすものが地震だと思います。次に台風や水害、河川の決壊、地滑り、崖崩れ、土砂崩れなどの自然災害です。
人災かも知れませんが、火災、ガス爆発なども当然大きな被害をもたらします。
また、政治的・経済的な要因も突然発生して、大きな影響を経営に及ぼします。
私達は、そのような様々なリスクに対して保険そのものを掛けたり、色々な対策を講じて対応をしてます。例えば、事業分野の分散、取引先業種の多様化、より付加価値の高い技術の構築や成長分野への参入、生産効率のアップなど、また更には、財務内容の健全化やフリー・キャシュフローの積み上げなども少しづつ計りながら自助努力をしています。

去る平成19年7月16日、午前10時13分頃M6.8最大震度6強の「新潟県中越沖地震」が発生しました。まさに最大規模の被害を及ぼす「地震」が発生してしまいました。
地震と言うのは、地割れや地滑り、津波、家屋倒壊、そして火災などの2次災害を引き起こし、複合的な被害をもたらします。

8月になってから、この「新潟県中越沖地震」の被害の全容が集計されて、各マスコミを通じても報道されました。その内容は、「死者15名(12/03現在)」「重軽傷者約2,000名」「建物全壊1,082棟」「建物大規模半壊348棟」「建物半壊1,987棟」「断水42,600戸」「停電35,344戸」「水道管破裂」「山岩の崩落」「路面の湾曲」「土砂崩れ」「鉄道の全面運休」「土壌の液状化現象」等々で、地震による被害の影響と言うのは、想像を絶するもがありました。
また、精神的な不安など測定出来ないものも計り知れません。この他にも東京電力柏崎刈羽原子力発電所3号機変電所の火災や微量の放射性物質の漏れが確認されましたが、大きな被害へとは発展せずに済みました。
国や各県、自治体は災害対策本部を直ちに立ち上げて、関係機関、各部署の迅速な行動が取られました。
被災県の県知事は、先ず「災害派遣要請」を自衛隊に要請します。その自衛隊の最初期の活動は、偵察活動による状況把握、人命救出、負傷者の介護、その後、救援物資の輸送をへて給水、給食、入浴支援活動へと推移、そして水道ガスの復旧、食料品店や飲食店の営業再開の進捗を確認しながら、自衛隊の支援活動は終了します。今回の地震災害での自衛隊の支援活動は、8月12日に終了したそうです。この他、「緊急消防援助隊出動要請」「警察庁から被災地各警察本部へ広域緊急援助隊の出動要請」「厚生労働省の災害派遣医療チームの派遣(全国約240病院医師・看護師の機関があり)」などの対応が直ちに取られました。
また、各自治体の対応も多岐に亘ります。ライフラインである電気ガス、上下水道、電話、道路などの復旧が最優先されますが、同時に、避難場所の確保や給水、給食活動、仮設トイレの建設、仮設住宅の建設。健康福祉関連では、被災者のエコノミークラス症候群の医療対策、高齢者福祉や児童の健康福祉支援、障害者等支援、被災動物支援などがあります。過去の教訓を活かしながらの対策マニュアル構築がなされていると思いますが、災害発生の季節や時間・場所によっても全く違った対応が迫られて来ると考えられます。

この様な大きな災害に対して、少しの力も発揮する事も出来ないかも知れませんが、弊社に於いても従業員やその家族、近隣住民、協力工場の被災の状況や影響、そしてお客様などの利害関係者に対して、どの様な支援対策・活動・連絡が何処まで可能なのか、出来るのかを確認して置く意味で対応していく事になりました。
弊社内で、対応マニュアル(所轄官庁からガイドラインが発表されていますので参考にしながら)を作成し、災害時に‘災害対策本部’の立ち上げを可能にするべく、検討に入って行きます。これをISO事務局が窓口になり、担当して纏めていく事にしました。

大規模な災害は、決して「対岸の火事」ではありません。
従業員やその家族の安否の確認をはじめ、工場建物・機械設備・加工素材・加工中の品物・完成品等の被災状況の確認把握、納期遅延発生有無等の確認などを可能にする体制づくりを急ぎたいと思います。関東地区横浜の本社事務所と熊本県荒尾市の熊本工場内事務所に各一箇所づつ、災害発生時に於いて直ちに‘対策本部’の立ち上げが出来る様に、またその教育や訓練の方法、関係機関からの情報収集の方法などを早急にマニュアル化して行きたいと考えています。

今回、私は初め『自動車部品のリケン・ショックの事』を書いて見ようと思って書き始めたのですが、考えている内に何か違うのではないかと考え始めました。
“リケンの復旧状況”がマスコミで毎日、克明に報道されました。
「ピストン・リングと言うエンジンの基幹部品の一社集中」「トヨタ生産方式の弱点」「かんばん方式の危機」「自動車業界上げての支援:600~700人」「操業開始優先」「7/23リケンの工場が復旧、部品供給始まる」「7/24トヨタ・ホンダ、一部の工場を残して操業開始」「7/25日産・三菱、本格的に生産開始」「今回の地震で操業停止の影響で生産できなかった自動車の台数:トヨタ55,000台、スズキ18,000台、ホンダ12,700台で全体で12万台超(阪神大震災のときは減産台数約4万台)と過去最大規模の影響」などの言葉が、テレビをはじめ新聞各紙が詳細に報道していました。
“企業”は、確かに‘売上や収益’を上げて行かなければいけません。
そう言う意味に於いては、勿論「早急なリケンの復旧」「業界の支援活動」は非常に立派な事だと思います。企業の操業再開と言うのは、本当に心から喜ばしい事であり、復旧の象徴にもなり、希望を抱く多くの方々がいらっしゃると思います。
只、企業の活動・利益と言うものは、企業が存在、依存しているその“地域・社会の恩恵の中”で得られているものではないかと思います。そんな中、“リケンの操業開始”の事や、“トヨタの操業再開”の事が大きくクローズアップされ過ぎていた様な印象を強く感じました。
自動車産業が日本経済の基幹産業で、経済のインフラだからなのかも知れません。

でも、“リケンの従業員”も“被災地の住民”なのです。
その家族や親族の被害の事を考えると、一日も早く普段の生活を取り戻す為にも、有給休暇などを取って、個人的な家の修復や近隣住民の復旧活動の手伝いなどをやりたかった方も多かったのではないかと思います。
自動車産業は、莫大な利益を上げています。経営計画が多少狂っても、何の問題すら発生致しません。それが、業界を挙げての支援活動の下敷きになってしまい、地元の従業員の方々は、身動きが取れなくなってしまったのではないかと想像します。600~700人と言われる自動車業界からの支援活動を受けている中では、会社を休める雰囲気・空気すら微塵も無かった様に推察します。
こう言う犠牲の中での“自動車業界のスムースな操業再開”と言うのは、あまり誇らしい事ではない様な気がしてなりません。自動車業界の方々が、この被災地域支援活動の一環の中での“リケン支援”であったのならば、それはすばらしい事だったと、みんなで賞賛したいと思いますが、そう言う情報を私は知りません。

弊社に於いては、現在、神奈川県内と熊本県荒尾市内の二つの地域に、5つの工場を稼動させています。この様な災害が発生した時の、生産面での‘リスク対応’の体制づくりは、ひとまず出来たと思っていますので、次に、人的な被害や安否確認、救済方法などの体制づくりをみんなで考えていきたいと思います。

今日もみんなで良いモノつくります。

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