ノーやん日記パート2

春の雨

 まぶしいほどの満開の桜があっというまに風に吹きさらされ、春の雨が無情に追い討ちをかけている。チューリップも花びらを打たれている。花がら摘みはきょうはできない。昼間からどんより鉛色の雲が下がり、部屋のなかで、きのう印象に残った花のことを調べる。
 細い蔓に紫色の濃淡ある花をつけたアケビ。だれかが山の藪のなかで採ってきたのだろう。花とみどりの相談所の長机の上にあった。小さな5枚の葉をつけ自然美を感じた。マンションのコンクリートブロック内の芝生のなかに這い蹲って真黄色に咲くタンポポ。いつのまに根付いたのだろう。そのたくましさと鮮やかさに驚く。歩道のコンクリートブロックの間に濃い紫色の花をそよがせているスミレにもはっとした。芭蕉の「山路来て何やらゆかしすみれ草」とは数百年も前の菫の姿だが、現代構造物の隙間に咲く可憐な花の生命力にも「すごいなあ」と驚く。ひとくちにスミレといっても、姫菫、茜菫、岡菫、山菫、野路菫、雛菫、藤菫、桜菫、小菫、叡山菫など幾種類もあるという。地味な花たちもいろんな種の世界をもっていき続けている。花の中の花、桜もそうだ。造幣局の通り抜けや新千里東町の桜並木を見てその種類の多いのに驚く。岐阜県には樹齢1500年を超える、幹の周りが10メートルの桜の木があるという。散り際には淡い墨色を帯びるそうだ。雨に打たれ風にたたかれ、自然の花木はたくましく育っている。春の雨はめぐみなのかもしれない。
喉切って声失ひぬ春の雨 波郷
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