ノーやん日記パート2

送り火

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 きのうは京都五山の送り火。東山如意ヶ岳の「大文字」、金閣寺大北山の「左大文字」、松ヶ崎西山・東山の「妙法」、西賀茂船山の「舟形」、嵯峨曼荼羅の「鳥居形」。京都ではこの五山の送り火があるため各戸の送り火は焚かないそうだ。送り火は祖先の霊を送る宗教儀式。観光行事化しているようにも見える。ぼくは昔、東山36峰を歩いたことがある。下りたところが大文字の火点け斜面だった。「へえ、こないして燃やすんや」と感心したことを思い起こす。

 わが家の亡霊も五山の送り火にあやかってお帰り頂いたことにしよう。きょうもむし暑い。会う人会う人しかめっ面している。ぼくもそうだろう。マリーゴールドは花がらつみをせず切り戻しした。ジニアもそうした。猛暑が続くだろうが秋に備える身の構えである。部屋に籠って音楽と読書。水川隆夫著「夏目漱石と戦争」(平凡社新書)を読み終える。戦争には批判的だったという漱石再評価の本だった。偏狭な愛国主義者ではないコスモポリタンだったという見かたや伊藤博文の暗殺事件にたいするクールな目など意外に思うことが多々あった。

 1911年6月19日に新潟の高田中学校(当時)で漱石が「無題」と題して講演した逸話が同書に載っている。漱石は「東郷大将や乃木大将が偉いのは日本だけのことだ。諸君はシェークスピア、エジソンの様な世界的に偉い人にならなければならない」と話したという。それが当局に「危険人物」と睨まれたという。「伝説」である。

 戦争を考える季節はまだつづく。9.11アフガン戦争。けさ着信した[TUP-Bulletin]速報858によると、アフガニスタンでは爆撃作戦により「一日30分おきぐらいに担架で運び込まれる人がいる」という。「カンダハールの街はゴーストタウン化」し50万人の住民の半数以上が爆弾から逃れるため街を離れたそうだ。「ニューヨークへのテロ攻撃にはまったく何の責任もない無辜の人々」にたいする戦争になったという。

 千里南公園の「防人に行くは誰が夫」歌碑(写真上)に足をとめ、パンパスの茂みのベンチ(写真下)にすわって戦争を考える。帰宅して酒本雅之著「ことばと永遠ーエミリー・ディキンソンの世界創造」(研究社)をよみはじめる。

父母のことのみおもふ秋のくれ 蕪村

霊棚のなき身あやかる五山の火 愚句


 

コメント一覧

ノーやん
https://55926699.at.webry.info/
{%ごめんねwebry%}すんません。辞書にないような言葉を弄し。「霊棚」は「たまだな」のつもり。長谷川かな女の句にあったので使いました。「魂棚」が正しいのかもしれません。
fm
「霊棚のなき身あやかる五山の火」

京の送り火はとうとう見ずじまいでした。おそらく生涯あやかることはないでしょう。

「霊棚」は私の辞書にありませんでした。このブログ漢字の勉強になります。
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