A法とホームレス

2006-01-31 02:59:59 | A法
A法とホームレス

A法(法学部出身・司法関係に携り独特のお伽話の世界に住む人々を指す)な人々が下す判断は、その個の中においてはおおいに筋が通っていることと伺える。しかし、その浮世離れした「筋」を通すことが最優先されるがゆえに不利益を被る人々はあとを絶たない。

大阪地裁裁判長 西川知一郎の場合。

このヒトは「テントの所在地は生活の本拠としての実体を備えており、住民基本台帳法の住所と認められる」と判断、「占有権がないことを理由に受理しないのは許されない」として、ホームレスがみんなの公共施設である公園を居住地として住民登録することを合法であるとした。2006年1月27日のことである。

 このヒトの「生活の本拠」の定義とは?

2003年5月1日、大阪府枚方(ひらかた)市が発注した公共工事で、入札当日に5組の共同企業体のうち4組が「資格を満たしていない」として非指名となり、この結果、市が設定した予定価格約3億1600 万円とほぼ同額に近い3億1000万円で入札した残る1共同企業体が随意契約の形で落札した。
 市の『市競争入札参加心得』にある『入札するものが3人に満たないときは原則として当該入札を中止するものとする』という内規に違反した入札で、特定業者に便宜を図ったとされる。多くの疑惑を指摘されながら落札したこの共同企業体は、年間に1件も受注できない業者のいる中で、年に数件コンスタントに枚方市の公共工事を受注している。
こうした中で、枚方市の公共工事受注資格を持つA氏は市長を相手取り「2003年5月1日に執行した入札決定を取り消すこと」「枚方市は市長に対し約5900万円を請求すること」を求めた。この判決が2005年4月20日大阪地裁であった。西川知一郎裁判長は「原告の本件訴えは、住民訴訟の原告適格としての住民要件が満たされるとする原告の主張はその前提を欠き、採用することは出来ない」(もっと正しい日本語を勉強してください!)として「住民訴訟の権利があるか否か」という間□の段階で却下した。
 判決文でこのヒトは、A氏は枚方市に住民票を置いているものの、その住所には週に3~4日しか帰らず、寝屋川市にある両親の住所が生活の本拠である指摘し、「本件事務所に寝泊りする際の食事は専ら外食によっている」あるいは「本件事務所にはトイレ、炊事場、寝室を通じ、洗濯機や家具類は存在しない」等の理由を挙げた。
http://www.ne.jp/asahi/kahoku/shinbun/2005/050515.htm#2-1

このヒトの通さんとする「筋」によれば、たとえ家賃を払い住民税(さらには事業税)を納付してある自治体に居住していても、外食してコインランドリーでお洗濯をして週に数日どこかよそでお泊りしていると、そこはもう「生活の本拠」とは認められないということになる。もちろん、この「筋」にのっとればホームレスにとってのみんなの公園はまさしく「生活の本拠」と言えるのである。

枚方市において談合があるか否かを究明することに司法が果たすべき役割は大きい。枚方市の人々の財産にかかわる大きな問題である。
そして、公共の公園をホームレスに占拠され不快な思いをし、さらにその人々の生活保護費という重荷を大阪市民をはじめすべての納税者が負うべきか否か、これも大きな問題である。
その裁量をこのA法なヒトの一存にゆだねなければならない。
この構造的不幸をいかに解決するべきか?

追記:このヒトは「弱者」にはやさしいようだが、「強者」には容赦ない。

関西電力は消費税確定申告書の提出を失念していたことに対し12億円超の過少申告加算税を要求された。これに対し関西電力が処分の取消しを求めた事案で、このヒトは2005年9月16日「本件に適用された無申告加算税の税率(5%)が原告の期限内の納税申告書の提出義務に比して重きに過ぎるということもできない」として請求を棄却した。
関西電力は法定申告期限及び法定納期限までに消費税等として総額248億円を納付したものの、その申告書の提出をしていなかったとして、所轄税務署長に無申告加算税の賦課決定処分をうけた。これに対し同社が「申告の遅れのみに対して過重なペナルティである」として無申告加算税賦課決定の取消しを求めたものであった。
http://www.lotus21.co.jp/data/news/0511/news051107_03.html

BSE 月齢20ヶ月

2006-01-26 15:11:48 | 農業(政策)
BSEに罹患した牛のお肉がヒトの口に入るのを防ぐために、日本では全頭検査を行なっていた。しかし、「牛海綿状脳症対策特別措置法施行規則」の一部改正(?)により、BSE検査の対象となる牛の月齢は平成17年8月1日以降、21ヶ月齢以上となった。

これは、「全頭検査を行なうことには科学的根拠がない。だから、やらない。でもうちの牛肉を買ってくれ。」と言うアメリカとの妥協点を見つけるために政府のみなさんが知恵を絞って出した、「月齢21ヶ月未満の牛からBSEが検出された前例がない。したがって、21ヶ月未満の牛の検査は日本でも実施しない。だからアメリカも21ヶ月未満の牛を日本に向けて輸出してもOKでしょう。」というウルトラC級の発想によるものだった。
こうして、牛肉の輸入が再開された。
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/10/txt/s1015-4.txt

どうしてアメリカがこうも日本向け輸出に躍起になるのかはhttp://blog.goo.ne.jp/noshishijp/e/bdbcc2680a4ad03576d559b9d82ddd93をご参照ください。

ま、脊椎が除去されずに送られてきたのはアメリカ的おおらかさ(?)ということでおいといて…ここで、言っておきたいことが二点。

BSEが検出された日本の22頭のうち、月齢21ヶ月のもの、23ヶ月のものがあった、イギリスでも24ヶ月のものがあった、ということ。

日本では月齢にかかわらず、現在もなお全頭が検査されている、ということ。
なぜなら、月齢21ヶ月未満のものに関しても、都道府県が検査を希望する場合、その費用は政府の補助金によりまかなわれているからだ。どの都道府県も安全性をアピールするために実質全頭検査を行なっている。

最後に、カナダの話。
カナダからの牛肉の輸入は再開され、今日もカナダから日本へ牛肉が届けられている。
カナダでは1997年に肉骨粉を飼料として与えることをやめた。そしてそれ降に生まれた牛からBSEは発生していなかった。が、1月23日、ついに5頭目のしかも1997年以降に生まれた牛がBSEに感染していることがわかった。原因は、畜産業者が手元にあまっていた古い飼料を与えたことではないかとされている。
2003年5月、カナダで4頭目のBSEが発見されて以来、カナダからの輸入を禁止していた韓国は、24日に予定されていた輸入再開の会談を取りやめ、輸入禁止の続行を決めた。

豪雪

2006-01-14 12:58:10 | 日々雑感
人口減少が声高に論じられる今日この頃だが、毎日のように報道される大雪のニュースを見るにつけても、この国の人口の減少は歓迎されるべきだと思う。
この国には、火山活動や地震の危険性が大きい地域・豪雪地域・離島など財政からの多額の支援なしでは住めないエリアは多い。住むのに適さない土地は自然に帰せばよい。もちろんその不便さ・危険性を承知の上で財政に頼ることなく自己の責任において住むことは一向差し支えない。
しかし、過密な人口にストレスを感じながらも文句ひとつ言わず納税するサラリーマン諸氏の苦労を思うと、このような地域に居住しながら、都市並みの利便性を求めることは倫理に反さないか?

[火山活動] 平成12年から16年の間に、三宅島の安全確保・基盤整備・生活再建に国庫から1188億円が支出された。島の人口は3800人。一人当たり3125万円。
http://www.bousai.go.jp/kinkyu/miyake/hisaishiennichiran050614.pdf 

[地震]  昨年の今頃、山古志村の村長が復興には1000億円を要すると発言し物議をかもした。村の人口は2000人。一人当たり5000万円。

[離島] 沖縄県名護市屋我地島と今帰仁村古宇利島とを結ぶ1960mの橋が平成17年2月に開通した。古宇利島から村役場までは約34分で移動することが可能になり、地域住民の生活の利便性向上や、産業・経済等の発展に大きく寄与するものと期待されている、と言う。総工費270億円。島の人口は360人。一人当たり7500万円。

そして[豪雪] 豪雪地域には約2040万人が住む。指定された地域には「豪雪地帯対策特別措置法」などに基づき手厚い補助金の注入が行なわれている。
http://www.pref.hokkaido.jp/skikaku/sk-tstcs/chicho/sanson/gosetsu/5_yugu.htm 
さらに、国交省は「積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法」に基づき「指定道路」のうち65,000kmの除雪事業、1,700kmの防雪事業、1,000kmの凍雪害防止に、平成16年度           事業費849億円を配分し、さらに建設機械整備事業として除雪機械等の整備に150億円を配分した。http://www.mlit.go.jp/road/ir/ir-yosan/h16hai/h16haigaiyo.html
毎年、積雪寒冷特別地域に住む約2800万人のために道路の除雪のみで、国庫から1000億円さらにほぼ同額が地方公共団体から支出されている。繰り返すが、毎年である。

このような地域に住むのなら、自己責任で住めばよいという意見に対して、それはネオリベラリズム的発想であり、弱肉強食の時代に先祖がえりすることにほかならないという主張も見られる。
しかし、弱いサラリーマンが強い「弱者」に食われている今の状況をどう説明するのか?
マスコミはなぜ「弱者」を求めるのか?