能勢謙三の鹿児島まち案内日記

案内日記こぼれ話10

 「案内日記39」で、鹿児島中央駅東口の「交通ナビ」の時刻表の時刻が、ダイヤ改正があったにもかかわらず差し替えられていないという話を書きました。さらに書きますと、もし差し替えに手間がかかるのならば、とりあえず時刻表を停止するのが筋ではないでしょうか。「調整中」という張り紙でも張って。
 間違った情報を流し続けても平気なその姿勢が信じられません。出発時刻は交通機関に欠かせない最優先、最重要な情報であるはずです。そんな大切な情報をおざなりにするなんて。
 ナビを設置した鹿児島県にしても、また鹿児島中央駅もバス事業者も鹿児島市も、怠慢だと言わざるを得ません。ナビをしっかりチェックしている関係者がいったいどれほどいるのだろうか、と疑ってしまいます。このシステムを導入するのに、確か6千万円の税金が使われたと聞きます。こんなことでは、納税者に失礼ではないでしょうか。
 そもそもこのナビは、複雑で文字も小さく、とても使いにくい代物です。目的を果たすまで画面に何度もタッチしなければなりません。扱ううちに、もういい加減にして、と利用者をいら立たせるような劣悪な機械だと言って過言でありません。どうしてこんな機械を入れたのでしょうか。
 以前にも紹介しましたが、例えば、山口県下関市のJR下関駅バス乗り場に設置してある案内機は、行き先の4けたの数字を1回入力するだけで、出発時刻と乗り場が即座に表示される優れものです。客はこの程度の情報を得られれば十分なのです。余計な情報は不要なのです。
 そもそも、何でもかんでも機械に肩代わりさせようという考え方に疑問を感じます。鹿児島中央駅の交通ナビの代わりに、案内係、人間がいた方が絶対にいいと思います。高齢化が進む時代だからこそ、デジタルではなくアナログな人間力をもっともっと生かすべきではないでしょうか。
 鹿児島中央駅の交通ナビを見るたび、鹿児島市が市中心部7カ所に設置した「時標(ときしるべ)」も似たり寄ったりだと思います。生かされていないのです、生きていないのです。全国的にはそれほど有名でない樺山資紀や伊地知正治、吉井友実、ウイリアム・ウイルス、高木兼寛などのオブジェに、誰が興味を示すのでしょう。これにも数千万円が投じられたと聞きます。
 増税論議が盛んな昨今ですが、行政によるこのような無駄づかいが、全国レベルではどれほど行われているかと思えば、消費税アップに素直にウンといえない気がします。

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