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[在宅・野良サイン探索]Osaka Metro 本町駅

2020-05-04 | 野良サイン
「Googleストリートビュー」で鉄道駅の中の様子を見ることができるのをご存知でしょうか。知らなかった人へ→見れます!

駅の中を見れるなら野良サインを探しに行くことも可能なのでは……?などということを以前から考えていたのですが、なかなか実行できていませんでした。物理的でも仮想的でも出不精なので……。


巣鴨駅の野良サインについてはこちらの記事もご覧ください〜!

2020年のゴールデンウィークは、バーチャルお出かけをするにはもってこいの連休になってしまいました。ちょうどいい機会です。5月最初の土曜の昼下がり(夏日で暑い!)、自宅で野良サイン探訪に出かけてみました。

ℹ️この記事はけっこう長いです。ストリートビュー上での探索の過程をだいたいそのまま再現してしまったためです……。


どこへ行くか?→大阪メトロ・本町駅へ

ストリートビューで中を覗ける鉄道駅は、日本だと400駅以上あるらしいです。そんなにあるのか。行ったことのない駅もみてみたいし、行ったことのある駅もみてみたい。

どこでもいいな〜、なんて曖昧になりながら駅一覧を見ていたら、Osaka Metroの地下鉄駅「本町駅」が目に留まった。物理的にも何度か行ったことあるし、そのうち1回か2回は野良サインを見に行く目的でもあった。

ストリートビューで駅に降り立ってみてしばらくウロウロしてみたところ、実際に出向いたとき以上に発見があったのでそのままじっくり散策してみることにした。


2016年の本町駅にやってきました〜

ℹ️Osaka Metroの場合、公式サイトの「各駅情報」ページの下の方にストリートビューへのリンクが張られてあります。便利!

「北北改札」からスタート

本町駅は「御堂筋線」「中央線」「四つ橋線」の3つの路線が交わっている駅。御堂筋線と四つ橋線は交わっていなくて、上から見ると「コの字型」になっている。

改札名が「方角名+方角名」みたいな構成になっていて珍しい気がした。構内図(PDF)にかかれている改札を書き出すと、

北北改札・北中改札・北南改札
中西改札・中東改札・南改札・東改札
南東改札・南西改札・北東改札・北西改札

という感じ。

北北改札は、御堂筋線側の一番北側の改札。ここから散歩をしていきます。




「衝突注意」と「エレベーター」とその前世



北北改札すぐそばの「2号出口」の手前、「階段の出口」と「エレベーターの出口」の二手に分岐する地点。オフィシャルの「Caution 衝突注意」というサインが気になる。こんなものもサインシステムに組み込まれているですね。かっこいい!

よーく見ると、下の方に張り紙も。

「地上行きエレベーター」という張り紙がありますね

あたりを見渡しても、エレベーターの存在をしめす公式のサインはあまりなさそう。まったく無いわけではないが、あまり目立つ形のものではない状況。張り紙を掲示してしまうのもやむなし……という感じ。

さらに、ストリートビューで同じ場所の3年前の写真も見れました。


2013年はまだ旧世代のサインシステムが活躍中。そして2016年に「衝突注意」サインが掲示されることになる縦に細長い空間には今よりも大きな「→エレベーター→」の野良サイン。

過去の様子をすぐ呼び出して比較ができるの、すごく楽しいですね……。この機能は現実にも欲しい。

空いた広告枠を活用している例

「中央線へは一旦ホームに降りて」

「北北改札」は御堂筋線のホーム付近にある。一方、中央線・四つ橋線は少し離れていて、それぞれのりばに行くためには、一旦御堂筋線のホームに降りて歩いていく必要がある。その旨を伝えようとしているサインが多い。


日本語・英語での案内、その上には中国語でも同じ内容(おそらく……)の張り紙。
文章で説明するタイプ。


天井の段差部分にも。(「天井の段差部分」を示す名前ってあるのかな……)
こちらもおなじく3ヶ国語の文章で説明するスタイル。


頭上のサインをよく見ると「一旦ホームを降りて直進 d e f 階段をご利用ください」との小さな張り紙。

これだけあちこちに掲示があると、頻繁に行き方を尋ねられるんだろうな……と想像して少し辛くなる。なかなか難しそうだけど、公式のサインでいい感じにフォローできるようになると良いですね。

……という感じでひとつひとつじっくり見ていくと、「今はどうなっているんだろう」ということがとても気になってくる。出かけたい〜〜!(あるいはGoogleストリートビューが2020年の様子を撮影しに行ってほしい……)

「北中改札」へ

次は「北中改札」「北南改札」のあるエリアに移動して様子をみてみる。

← 北南改札  ✗  北中改札 →
 

← 北中改札    北南改札 →
 
通路の両側に改札口があるような構造みたいですね。
まずは「北中改札」の方を見てみましょう。

誤出場を防ぐ「最後の砦」のサインたち

ペンギンとイルカは海遊館を目指す人を想定したものかな……?

改札内の階段付近の張り紙。御堂筋線を降りて、中央線・四つ橋線に乗り換えようとしている人に向けたものみたいです。

このまま改札を出ても乗り換えはできないので「引き返してね」というメッセージ。ぱっと見ただけだと何の図なのか分からず、文章を読む必要があるものでした。それでもちゃんと3か国語で記載されている(※この場所では解像度が低いのではっきりと読めませんが、後述の別の場所では鮮明に見ることができます)あたり、徹底してすごい。


改札手前のこの空間は「最後の砦」といった具合で、同内容のサインがいくつかありました。他には……


文章で伝えようとしてくるタイプ。「中央線へは」の部分だけ文字を大きくして誘目性を高める工夫もしている。




こんなところにも!と思ったのが、事務室の扉にかけられた文章タイプのサイン。

とにかく時間をかけずに作られた、一言で言ってしまえば雑なものなのですが「雑であっても、とにかくなにかしらの案内を掲示しないといけない」という何らかの圧がかかったのだろうか……と勝手に想像してしまう。
そう考えると、野良サイン自体のつくりが地味であるほど、より悲痛な叫びのようにも見えてくる。

「北南改札」へ

つぎは向かいの「北南改札」のまわりを見てみます。改札の外でまず目を引くのが、この横長のサイン。



電車の絵つき!各路線で走っている両数にちゃんと合わせているところがいいですね……。


「北北改札」でも見た、空いた広告枠を転用して野良サインを掲示している事例がここにも。


私だけかもしれませんが、野良サインがガラス窓の向こうにあるのはなんだかそれだけで違和感がありますね……。「こんなところにサインがあるはずない」という感じで見落としてしまいそうになるというか。

本来の姿はこんな感じ。

フーターズの広告が出ていました

こちらは何も貼られていない状態


「野良・内照式サイン」がいっぱい

「きっぷうりば→」と書かれた野良サインが天井から下がっていました。


ただ天井から垂らしているのではなく、蛍光灯を跨ぐようにした掲示。内側に照明器具が入っているタイプの「内照式サイン」を再現している……!裏から光を当てることで読みやすくなっている気がする。


裏側は透明!(ストリートビューでは一部の文字にぼかしが入ってしまっているが……)

公式の「きっぷうりば」サインがすぐそばにあるのになぜ……という感じもしてきましたが、ちょっと後ろに下がって見てみると……

こんどは全体的にぼかしが入ってしまって何も読めない……

角度によっては、公式サインが柱の陰に隠れてしまうみたい。死角に入ってしまったサインを助けるための野良サインなのですかね。


さて、北南改札の中の様子もみてみましょう。


改札のなかにも、野良・内照式サインがいっぱい!




印刷した文字を切り抜いて、透明なシートに貼っているのでしょうか。しかも三ヶ国語表記!すごい力作だ。



裏側には出口番号が書かれていました。


こちらはプラダンっぽい素材にみえる。

そしてさらにすごいのが、この天井矢印です。天井に……矢印が……?!


この微妙な角度を、「エレベーター」と書かれている面の上で表現するのって無理ですよね。そう考えるとたしかに水平面に矢印を描く以外のやり方はない……。



矢印の先には、たしかにエレベーターがある。

改札を通って入ってきた乗客の視点だと、Uターンしたところにエレベーターの入口が存在する感じなので、なかなか気付かれにくいのでしょうね……。「すぐ背後にあります!」っていうことを伝えるの、なかなか難しそうです。


3色ガムテープ文字

天井の次は床です。


床面に、異様な存在感を放つなにかがありますね……。




テープで書かれたサインでした!

これは現地で撮った写真が手元に残っていたので、そちらを見てみましょう……。

本町駅・2016年10月 (撮影:ちかく)

  • グリーン「Chuo Line」(中央線)
  • ブルー「Yotsubashi Line」(四つ橋線)
  • レッド「Namba」「Umeda」「Tennoji」「Shin osaka」(御堂筋線の駅名)
文字のかたちは角丸の処理もされていて、あの「修悦体」を思わせる造形。手間がかかっています。

矢印の向きはなんだろう?と思ったのですが、「階段を降りてホームに着いた後のふるまい」を示しているみたいでした。
  • 【中央線】【四つ橋線】……矢印がまっすぐ伸びている=「ホームに降りてまっすぐ進む」
  • 【御堂筋線】……左右に折れる矢印=「ホームに降りて左か右の電車に乗る」
同じようなガムテープ文字が他にもあったりしないな……?と思って、2016年当時本町駅のなかをグルグル歩きまくったのですが、結局この1箇所でしか見つけられませんでした。


やはり悩みの種は「中央線」「四つ橋線」

テープ文字の先にある階段まわりをみてみると、ここでも「中央線」「四つ橋線」への案内がいくつか。


まだ導入されて1年程度だった、新しいサインシステムのサイン。……なのですが、赤いテープで張り紙がばっちり貼られてしまっています。

張り紙の印字内容そのものは、公式のサインで使われている書体やシンボルマークが使われているみたいで、駅員さんの手作りではなさそう。その後、オフィシャルのサインにも反映されるのかもしれません(もうされているかもしれない……!)。


「北中改札」の方の階段にもあった図。こちらのほうがより高解像度でちゃんと読めますね!


広角にすると両サイドの壁が写って迫力が出る……!

「○○線に乗り換えるには✗✗線のホームを経由する」という駅の構造、野良サインが生まれやすいパターンのひとつだよな……ということに今更ながら気づきました。



一旦おわり……

観察・スクショ撮り・メモ取り などをしながらストリートビュー上の本町駅を散歩してきましたが、3つの改札口付近をみるだけで2時間弱かかってしまいました。



探索活動の進捗。え、まだこれしか見ていなかったの……?!

椅子に座り静止した状態なのでいくらでも行動できるだろうと思っていましたが、めっちゃ脳が疲れる。

……ということで一旦ここで探索は終了。



この記事では実際の行程をそのまま書き起こしてみたのですが、めちゃくちゃ長くなってしまいました。こんな雑な記事でも、書きはじめてから公開まで2日半もかかっています。ウワー!

それにしてもストリートビュー散歩っていいですね。同じ場所を行ったり来たりしながら時間をかけて観察、という徘徊じみた動きをしても誰からも不審がられることがない。物理的な観察の代替というよりは、まったく別の体験という感じがしました。この調子でいろんな駅を見ていけば、ほんとうに「野良サインマニア」になってしまうかも知れない……。

引き続き、外出を控える必要性があるうちは(いや、そうでなくとも)、しばらくバーチャル駅探索をもっと続けてみようと思います。次こそは行ったことのない駅に行ってみたいな〜。

巣鴨駅の思い出 2008-2019

2020-04-30 | 野良サイン
「野良サイン」の存在を意識しはじめたのが2008年で、当時「野良サインを探しに行く」という目的で最初に出向いた先が、巣鴨駅でした。

「高齢者が多そう」という漠然としたイメージから、きっと客層に沿ったかたちの野良サインが見られるのではないか……という期待があって、それで行きました。



山手線で移動して巣鴨駅で下車。ホームから階段をのぼった先を見渡すと、早速というか期待通りというか巨大な貼り紙が。でかい〜〜!

巣鴨駅(JR)・2008年12月
横断幕状のでかい野良サイン

巣鴨駅は「JR山手線」と「都営地下鉄三田線」の2つの路線が交わる駅なので、乗り換え関連の情報のニーズは高そう


巣鴨駅(JR)・2008年12月
「大人の休日倶楽部」の広告も手作り横断幕!


野良サインたちに誘われるようにして、都営三田線の方へ降りていく。
こちらも期待を裏切らない野良サインの数々でした……。


巣鴨駅(都営交通)・2008年12月
公式サインの文字サイズと比べると何十倍あるんだろう……というでかさ

当初想定していた「とげぬき地蔵」関連の案内よりも、「入口」「三田線はこちら」「きっぷ売り場」という内容の掲示がとても目立っていた。この駅には「出口専用の改札口」というのがあって、そのせいか「入口」への誘導が強めになされているみたいだった。

勘亭流のフォントが多用されていているが、色はほとんどが白黒で少し落ち着いた雰囲気でもある。


この三田線のほうの野良サインたちがなんだかとても印象的だったので、その後も巣鴨近辺を通るたびに駅の様子を見に立ち寄りました。



巣鴨駅(都営交通)・2013年4月
公式サインは新しくなったが、「この先/入口」の白黒野良サインは健在


巣鴨駅(都営交通)・2013年7月
……と思ったら、あたらしい貼り紙に差し替えられてしまった

2013年4月〜7月のあいだに白黒の野良サインから、緑色の野良サインに差し替わっていました。作り手の方が変わったような感じもします。

背景の緑色はオフィシャルのサインデザインに倣ったものなのかな。あと今回はラミネート加工もされていて耐久性が高くなりました。掲示場所がドアなので以前のものは破けたりもしていましたが、改善が図られた感じ。
 
巣鴨駅(都営交通)・2019年5月
まだありました

出口専用改札の周辺はこんな感じ。

巣鴨駅(都営交通)・2009年11月

巣鴨駅(都営交通)・2019年05月

タイル壁の「出口専用」は退色しつつも健在。

そして右側の柱には新たな小さめの貼り紙も。勘亭流スタイルのものではなくなり、前任者の不在をますます感じさせます。すこし寂しい。




巣鴨駅(都営交通)・2008年12月

一番最初に見に行った日のA3出口。駅名標の前にどんと柱が立っていて文字が隠れてしまっているこの状況も、サインシステムが本来意図した姿ではないという点で野良サインと言えるのでは……?とか思いながら撮りました。

こういうものも含めてしまうといよいよ定義がしづらくなる感じはありますが、そこは今も曖昧ですね……。

「線」だけ足す

2020-04-29 | 野良サイン
「野良サイン」というとなにかしらの文字情報や図版を書き起こして掲示したもの、みたいなイメージが真っ先に浮かぶのだが、そうでないものもある。

例えば、既にある案内表示に対してなにかを「つけたし」しただけもの。

つけたし系のなかでも、「文字」でも「図版」でもなく、「線」を足すだけという手法をまれに見かける。

八王子駅・2011年1月
赤いテープで重要っぽい情報がハイライトされている

「京王線」「エレベーター」等の情報の周辺に赤いビニールテープを貼ってハイライトさせている例。赤色の注意喚起感も相まって「ここを見て!」と叫んでいるような見た目だが、とにかく手数が少なく済んでいる。やっつけ感……ともとれるが、高コスト・パフォーマンスとも言える。

1枚目の「京王線」、写真でみるとなんだか画像を加工して赤い線を引いたみたいに見えてしまう……。




高田馬場駅・2015年10月
3色のテープを使い分けている

八王子駅のミニマルな対処に反して、手がかかっているように見えるのが高田馬場駅の事例。カラフルでかわいい!……のですが、文字やピクトグラムの部分だけでなく、筐体の輪郭をなぞるようにフチ部分にまでテープが貼られていてちょっと異様。サインをつくる側の人やもじ鉄(鉄道のサインシステムを愛でるファンのことです)趣味の人や見たら卒倒しそう。

この場所はJRの改札の中で、
  • ←左 「出口(改札外に東西線)
  • ↑直進 「西武線のりかえ改札」
という、2方向に分岐している地点。

のりかえ専用改札というのは往々にして混乱が生まれやすい場所で、野良・公式問わず案内表示が多くなりがち。ここでは3色のテープで線を引いて目立たせようと試みていいる。
  • [黄] 西武線のカラー
  • [ピンク] 単に目立つ色として選んだ感じでしょうか……
  • [青] 東京メトロ東西線のカラー
テープが貼られる前のサインデザインがJR東日本の旧世代のフォーマットなので、今はもうベースのサインごと新しいものに差し替えられているかもしれません。現状がどうなっているのか、書いているうちに気になってきました……。



最後は、これまで紹介した「ハイライトするための線」とは違って、「区切りのための線」。



新橋駅・2010年12月
グリーンのテープを「区切り線」として追加

「どこまでが『出口4』に属する情報かわかりづらい」という声が上がったのでしょうか……。余白だけで情報を分けて見せることの難しさを感じる。


新橋駅・2016年8月

その後サイン自体が更新されていたのだが、そこにまた新しくテープが貼られてしまっていた。

新橋駅ではもう「出口サインにはテープを貼って境界を明示する」というのがローカルルールになっているのかもしれない。でも前より粘着力が弱そうなテープを使ってるようにも見え、サインへの配慮を感じる……。

仮囲いにめり込んでいるサイン

2020-04-26 | 野良サイン
もともと設置されているオフィシャルのサインの一部が工事の影響で、仮囲いの中に隠れてしまう、というケースに時々遭遇します。


大手町駅・2016年

壁と丸ノ内線に挟まれてしまった状態の半蔵門線。ぎゅっとなっていてかわいい……。


日本橋駅・2015年

「都営浅草線」と書かれた部分がほぼ埋まっていて、ピンクの「○」の左側しか見えなくなっちゃっています。
ここでは、埋もれてしまった内容を仮囲いの面に貼り付けている。本来のサイズの半分くらいに縮小されていて、理由は不明だがかわいい。

もともとあったサインを写真に撮ってプリントアウトして貼る手法、これはこれでなんだか好きなんですよね……。


日本橋駅・2015年

裏側はこんな感じでした。 Distance...



本郷三丁目駅のつけたし周辺施設案内サイン

2020-04-26 | 野良サイン
駅の出口付近には、「周辺にある施設の一覧」みたいなものがよく掲示されている。

それ自体は、鉄道会社が決めた「オフィシャルなフォーマットのサイン」であることが多いのだけど、そこに追加情報を入れてみたり、あるいは施設の変更(新設や閉鎖、名称の変更など)に対応するためにシールで上書きしたりする、ということもまた多く見かける。こういう付け足しされた状態のものも「野良サイン」と呼んでいます。

本郷三丁目駅・2008年
シールの数もすごいし、地図だけでも3つもある

サインシステムに基づいて作られた、フォーマットの整ったサインを見るのが好きだったので、このサインに初めて会ったときの第一印象は「あ、営団地下鉄のサインが残ってる。レア〜」というものだった。次の瞬間には、おびただしい量のシールや貼り紙による「つけたし」に視線が移った。あー、せっかくの営団サインを……なんてことを……と思った。当時は。


本郷三丁目駅・2010年
地図と路線図が取り外され、左下の広い余白部分が見えるようになった。

2年後に立ち寄ってみたら、貼り紙(地図)がいくつか取り外されていて、なんだか少しスッキリしていた。
スッキリ……とは言っても、テプラやビーポップでつくられたシールはまだいっぱい貼られているし、本来の営団サインの姿には程遠い。その中途半端な原状復帰のせいか、なんだか賑やかさが失われたような感じがしてしまい、どこか寂しい……。


本郷三丁目駅・2010年
今はもう無いです

見た目の一貫性が全くないし、利用客視点だと困惑すら生みそうなごちゃごちゃ感だけれども、駅員の方が施してきたさまざまな「対処」の積み重ねがこの狭い空間のなかに密集していてそのまま可視化されている、と思うとなんだかすごみが出てくるような気がする。

いま目の前に
  • 「本郷三丁目駅の周辺施設一覧サイン(新品未使用)」
  • 「本郷三丁目駅の周辺施設一覧サイン(駅員による付け足しあり)」
の2つを出され、どちらか1つだけを貰えるとしたら間違いなく後者、もっと言えば2008年時点の状態のものが欲しいですね……。