シャンパンブレイク

30年以上JAL国際線客室乗務員としてフライトし現在癌の治療中。お酒大好き旅が大好き趣味はランニング~

アシスタントパーサー時代の1本の赤いベルト

2012年06月10日 | おしゃべりフライト
今朝は雨

梅雨入りのようです。

ランニングはお休み。

その時間、いつもなら走っている時間

なんとな~く
お部屋の整理をしていたら
アシスタントパーサー時代の制服の赤いベルトが出てきました。


とってもなつかしい!

そしたら
私の青春の多くを過ごしたジャンボジェットを思い出しました。

これは螺旋階段がある飛行機に乗っていた頃のお話です。

と言ってもご存知ない方のほうが多いかもしれません。

B747機材
通称ジャンボジェット

この飛行機が国際線を飛び始めた頃、2階席とは螺旋階段でつながっていたのです。

その階段は
L1ドアーの近く(最前方の左のドアのこと)
ファーストクラスの2階

そのころの2階は座席はなくサロンのようなバーラウンジでした。

ファーストクラスの方が自由にくつろげるようになっていました。

その頃の私


ファーストクラスで調理担当することが大好きでした。

アシスタントパーサーに昇格するとファーストクラスの調理担当ができます。
以前は男性パーサーが担当だったのですが、男性陣の採用が少なくなったため女性のアシスタントパーサーも担当できるように制度が変わったのです。

その頃はファーストクラスには、どの路線も大きなお肉の塊、ローストビーフがサービスの目玉でした。
お肉の焼き加減については、常に神経を集中して、細心の注意を払ったものです。

仕事がどんなに出来ても、ローストビーフの焼き加減を失敗すると・・・

全乗務員 からブーイングを浴び、陰では

「今日のファーストクラスのローストビーフ、失敗したらしいよ」
とささやかれるのです。

なぜなら、ファーストクラスは食事のチョイスがたくさんあったために、ご希望に添えられるよう、全乗務員の食事の数も含まれていました。(ファーストクラスの人数プラス乗務員の人数)

食事のサービスが終わり、順番に私たちも食事を頂きます。

中でも大人気なのが、ローストビーフ。

いつも失敗があっても大丈夫なように、大きなお肉の塊、ローストビーフは2個搭載されています。
どんなに満席であろうと充分な量です。

ローストビーフは独立したサービス方法で、ワゴンの上に温野菜各種・グレービーソース・ホースラディシュ・クレソンなどなどとともにセットアップします。

そしてお客様の目の前でご希望の部分、レアなら真ん中をミディアムならもう少し端、ウエルダンなら端に近い方と、切り分けるのです。

このワゴンでのローストビーフは、いわばファーストクラスのミールサービスの花目玉というか、ショーなんです。

なのでローストビーフの焼き加減を失敗すると、当分ファーストクラスのギャレーを任せてもらえなくなります。

私はこのギャレー(調理場のこと)の仕事が大好き。

段取り良く、タイミング良く、を要求されます。
なにしろギャレーが上手く立ちまわらないと、キャビンの仕事がうまくいきません。
サービスの要なのです。

そんな緊張感を持ちながら仕事をする楽しさもさることながら、実は、サービスが終了した後に私の楽しみが待っています。

この頃は、全路線のファーストクラスにローストビーフは搭載されていました。

お客様のオーダーがなくても、食事のサービスが終わったら練習に焼きます。

自分流にアレンジしたり、たとえば、端っこを薄めに食べやすいようにカットし、たっぷりのホースラディシュと、グレービーソースの代わりにお醤油をかけて、和風な感じに。

それと
絶対に外せないのが

ご飯と梅干し

保温ジャーから御飯をたっぷりとよそい

大粒の梅干しを2or3個

ローストビーフと梅干しとご飯

あ~~~~あ~~~~あ~~~~~

なつかし~~~~い

食べた~~~~~い

今日のお部屋の整理は

この一本の赤いベルト発見

それで
終わってしまいました~

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