なまけものの鏡

「フェミニズム」これを正しい知識を得て、男性視点から見つめなおしてみよう、という趣旨のブログです。
 

女性専用車両は馬鹿げてる?英国、フェミニストや政治家が批判、を見て

2020年01月24日 14時40分17秒 | 男女同権とは
https://www.youtube.com/watch?v=UyXwDWNUyuI
 
私のコメント
ぜんぜん本質をとらえていませんね。失望しました。
 
まずなぜ「女性はどこにでも座る権利がある」と言う発言が出てくるのか?そこを踏まえる必要があります。
それは人種や性別に限らず「平等」だからで、一人の人間として十全な権利を主張することができるのだから「社会や公共から排除されてはならない」ということです。  
 
この部分は日本でも一部適用されていて、女性専用車両に「女性を強制的に乗せよう」と言うことにはなっていません。おかしいと思いませんか?男性は「乗らないように」強制されるのに、女性には「なるべく乗ってください」と言う強制や声かけは一切行われないわけです。
 
実はこの部分が今回の「女性専用車両に乗らない女性達の言い分」というネットやテレビが騒いだ本質で、「女性はどこにでも座る権利があるんだよ」だから「乗らない言い分もあるよ」というところから出発しているのです。
 
なぜそういう主張をわざわざ出していかないといけなかったか、というとそもそもの発端が、同じjタウンの「記事に書かれたある男性のつぶやき「悪気はないと思いますが、貴女の(座席)分で、座れない男がいると感じて欲しい。まあ、無理でしょうが」だからです。
 
この男性の言い分は論理的に正当です。なぜなら「男性は乗らない協力をして座席が1両分少ないのだから、女性は乗る協力をして、なるべく専用車に乗り、男性に席を譲れ」と言う主張だからです。
しかし、これを突き詰めると「女性は(必要な車両数があったとしても)専用車しか乗れないので、何処にでも座る権利が侵される」ということになるわけで、それをオブラートに包んだ主張が「(何処にでも乗れるのだから)専用車両に乗らない理由もある」というものになっていったわけです。
 
で、もってこれだけ見た女性達が「女同志の対立を煽るな!」と叫んだ、と言う不毛な構図です。
 
女性専用車両が差別なのか根本的な問題は「女性は(いや女性に限らずすべての人は)何処にでも座る権利がある」と言うことに尽きます。
 
ところが欧米では自明なことである「かつて女性(黒人・奴隷・異教徒)は、男性が許可しなければ座れなかった(権利が無かった)」という概念を日本人が持たないために「女性だけでなく、どのような属性であっても他者が制限するのは、不当な差別である」ということを理解できないのです。
 
だから欧米では「たとえ痴漢被害があるとしても、それだけで誰かの(女性も男性も)席を制限してはならない」というコンセンサスの上に議論が為されているのです。
 
それをきちんと説明しないのは、時間の都合なのか、それともイシケンさん自体がそれを知らないのか・・いずれにしても、事の本質をきちんと説明できていないレベルの動画に失望しました。
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細かい部分に異論はなく、リベラリズムについて学び、政治学徒の端くれとして大きな流れは当然理解しているつもりですが、端的に時間の都合やオーディエンスの関心を考えてこのような動画にしています。
 
コメント主さんがこの問題に思いがあり、この動画が思い描いた内容と違うことは理解しましたが、それを踏まえても「失望した」とまでおっしゃる意味がよく理解できません。
 
左派がやるべきは、自由と平等の価値を信じて適切に社会へのコミュニケーションを取ることだと思います。
 
「失望した」ではなく、「よりこの部分を強調すべきだ」というプロダクティブな意見ならば尊重しますが、ジャッジメンタルに「あなたはこれを知らない、本質をついていない」と述べる姿勢には正直なところ賛同しかねます。
 
どんな誹謗中傷よりも、こうしてある程度の問題意識を共有する人への不毛なマウンティングこそが左派が抱えている最も大きな問題だと思います。「どんな人でも、どこにでも座れる権利がある」というリベラルにとっての自明な価値を(こうした動画を撮る時点である程度まで)同じ価値観を共有しているはずの人間に「何もわかっていない」とまでいう意味がどこにあるのでしょうか。はっきり申し上げて、イデオロギーに拘泥してローティーに批判されたような人たちの一部であるとしか思えません。
 
せっかく動画を見ていただいたのにこのような言い方をして申し訳ない気持ちもありますが、このことはいくら強調してもしたりないほどだと思っています。
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私の返信
 
イシケンTV - ニュース解説 by The HEADLINE 様
 
まず私は左派ではないです。どちらかと言うと保守、できれば中道でありたいと考えています。リベラルな考えを保守に適用するという点で中道です。
 
また「失望した」が誹謗中傷なのでしょうか?私はそうは思いません。
私は大学時代、演劇をやっていましたが、お世話になったプロの方が常々「ある表現を世に出したら、その受け取り方は見た人のモノ」と言っておられました。
「バカ!」のような罵り言葉を使ったならともかく、私の受け取り方として「失望」を表しただけで、誹謗中傷だと受け取られるのは心外です。
 
>オーディエンスの関心を考えてこのような動画にしています。
要するに、大衆に迎合している、ということなのでしょうか?
 
もし「オーディエンスの関心」を引くためだけに「大衆がみたいものしか提示しない」なら「左派がやるべきは、自由と平等の価値を信じて適切に社会へのコミュニケーションを取ることだと思います。」なんて言わないことです。
 
>こうしてある程度の問題意識を共有する人への不毛なマウンティング
ここで問題になるのは「あなたと私は問題点を共有していない」と私は受け取った、ということです。
だから「失望」であって、それ以上でもそれ以下でもありません。
 
>イデオロギーに拘泥してローティーに批判されたような人たちの一部であるとしか思えません。
もし、私がイデオロギーに拘泥してるなら、それにローティに返信されているあなたも「イデオロギーに支配されている」といえるでしょう。
私は「あなたと私の価値観が同じ」だとは最初から考えていません。ただ「外国の事例を取り上げるなら、男女平等の歴史と日本における矛盾は踏まえてくれるのだろう」と思っていただけです。
 
また「イデオロギーに支配されている」のは誰でも同じでしょう。それを封殺するのではなく、議論に高めることが重要であって、だからこそ私はコメントしているわけです。
 
という前提を説明したうえで、本題部分です。
>「どんな人でも、どこにでも座れる権利がある」というリベラルにとっての自明な価値
ならば、あなたは「男性はなぜ女性専用車両に座れないのか?」を明示すべきだったと思います。
 
男女平等であるなら、そこにこそ矛盾があり、リベラルな価値を標榜するなら、むしろ一番の問題点ではないでしょうか。
 
前の動画のように「日本国内だけの価値観」なら、特に触れなくても「(日本のリベラルはそういう価値観が主流なので)しょうがない」と私も失望まではしませんが、外国、特に女性解放運動の発祥地の一つである、イギリスの事例や言説を取り上げるなら「どんな人でも、どこにでも座れる権利がある」のに「(日本では)男性こそが制限を受けている」という矛盾を踏まえた説明をなさらないことに、私は失望したわけです。
 
ところで、この動画の翌日に、インドの女性専用車両に乗っている男性を警察が排除する動画、が上がっていますよね
 
ビンタが良いかどうかは別として、重要なのは「妻と子供と一緒に乗っている男性はお咎めなし」と言う点です。(0:15付近)
日本の女性専用車両はたとえ老夫婦であっても「男性は排除される」ことになっています。(下記URLの0:45付近)
 
 
もしあなたが「リベラリズムについて学び、政治学徒の端くれとして大きな流れは当然理解しているつもり」なら、日本とインドの違い(なぜインドでは夫婦なら専用車に乗れるのに、日本では排除されるのか)を説明できますよね。また「リベラルの価値観」なら老夫婦よりも壮健で若い女性達を優先すべきではない、と思いませんか?
 
日本とインドの違いを説明できないなら、やはりあなたは女性専用車両問題の本質を「何もわかっていない」と言い切っていいと私は思います。
 
なお、このやりとりは拙ブログにあげておきますので、拙ブログのほうに反論頂いてもいいです。(これ以上のやり取りは、本動画の本質から外れるでしょう)
リクエストがあれば、拙ブログのURLをここに掲載します。
 
もちろん無視していただいても構いませんよ。
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イシケンTV - ニュース解説 by The HEADLINE氏からの返信
こちらは誤解されているようですが、「失望した」は誹謗中傷ではまったくないと思っています。 むしろ誹謗中傷よりも、他者に対して「お前は何も本質がわかっていない」というジャッジメンタルな姿勢を持つことの方が、より望ましくないと考えているということです。例えば、僕が「インドの例を出してくるなんて、コメ主さんは問題の本質を分かっていない」と述べるのは反証可能性に担保されていませんし、そもそも本質とはなにかという水掛け論になるだけなので、あまり有益だとは思っていません。 また「大衆への迎合」ですが、「大衆がみたいものしか提示しない」とは誰も述べておらず、そもそも大衆に迎合したければこのような動画を上げていないと思います。笑 ある程度まで大衆の関心を集めながら、まっとうな議論を広めていくことに価値があると思っています。そのため、議論が捨象されているという批判は当然受けるべきものと思っていますが、正直なところそこに拘泥しすぎることこそ、左派が陥ってきたアイデンティティ・ポリティクスの罠であるという考えは変わっておりません。 後段のインドや英国の議論については、正直な所どこに不満を持っているのか全然分かっていません、、コメ主さんが考える「女性専用車両問題の本質」は何であり、それは誰のどういった議論を参照すべきかを明示していただいたほうが良いかと思います。 僕はあなたのコメントの書き方が建設的だとも思いませんし、いわゆる女性専用車両をめぐる問題についてこの動画に教条的な振る舞いをするよりも、対話・批判すべき相手がいるようにも思うのですが、それでも動画を見ていただき、問題を議論するため熱心にコメントを書いてくださることに敬意を払っております。 考え方や姿勢が違っても、今後より良いやり取りができれば嬉しく思っていますし、この問題についてともにお話でき感謝しております。その点だけ、ご理解いただければ嬉しいです。
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 イシケンTV - ニュース解説 by The HEADLINE  様へ書いた反論部分
>他者に対して「お前は何も本質がわかっていない」というジャッジメンタルな姿勢を持つことの方が、より望ましくないと考えているということです。例えば、僕が「インドの例を出してくるなんて、コメ主さんは問題の本質を分かっていない」と述べるのは反証可能性に担保されていませんし、そもそも本質とはなにかという水掛け論になるだけなので、あまり有益だとは思っていません。
 
私がこの動画と前の動画を批判しているのは、一貫して「女性専用車両が出来た経緯における男女平等の在り方と矛盾」の説明が足りていないという点です。
それを隠す、または明示しないで、さもわかったようなふりをして説明を為さっているから「本質を理解していない」と申し上げているのです、いや、ここまで相互理解がすすんだなら「あなたは矛盾に気がついていない・理解していない」と言いかえるべきでしょう。そして矛盾とは、論理的な帰結ですから、そこが水掛け論になるとは思えません。(なお、気が付いていて省略しているなら、それこそアイデンティティ・ポリティクスの罠です)
 
>左派が陥ってきたアイデンティティ・ポリティクスの罠であるという考えは変わっておりません。
その考えはこの動画の主旨と矛盾していませんか?
そもそも、女性専用車両の問題自体がアイデンティティ・ポリティクスの最たるものでしょう。それを取り上げて、なんらの表現をする以上「どちらかの側に肩入れするしかない」のが普通です。
 
逆に「どちらに肩入れしない」なら両者の矛盾を提示して視聴者に考えてもらう、しかないでしょう。
その点において、前の動画と今回の動画で「なるべく中立的になるように」配慮したのは理解しますが、私からいえば矛盾点を明示的に説明しない時点で、あなた自身が罠から抜け出ていない、と思うし、そもそもあなた自身が私を「批判側」と勝手に判断して、ジャッジメンタルだの教条的だの、アイデンティティ・ポリティクスだのと判断しているわけでしょう。
 
私たちは常に「罠にとらわれている」という認識の上で、自分のことも判断する必要があります。自分だけ「罠から抜け出して外から客観的に見ている」なんてほぼありえないでしょう。
 
確かに、私は女性専用車両に批判的な立場にありますが、しかしこの動画や前に動画に対して「だから女性専用車両はやめるべきだ!」というような主張は一切書いていませんよ。私が貴方の動画を批判しているのは、あくまでも「女性専用車両には、数々の矛盾があるだろう。それを説明しないのはよろしくないのではないか?」です。
 
インドの動画もそうです。日本の女性専用車両の運用と明らかに違いがあり、その違いはどこから生まれるのか、をきちんと説明してほしい、から参考として書いたわけです。それを説明できないなら、アイデンティティ・ポリティクスに陥っていて、本質を見ていないのは貴方の方である、といえるでしょう。
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ここから私の返信
>それは誰のどういった議論を参照すべきかを明示していただいたほうが良いかと思います。
確認です。膨大な議論になりますが、ここで明示していいんですか?
 
一応ひとつだけ、この動画と私のコメントに直結する分かりやすいアジェンダとして参照していただきたいと思うのは、「英国をはじめとした欧米では女性専用車両は女性差別と捉えられていて、日本では女性の権利の象徴とされていること(そのように帰結した、それぞれの議論の中身)」です。
リベラルの本質・基礎は日本でも欧米でも同じ「個人の幸福権の追求」なのに、なぜ女性専用車両の評価が日本と欧米で真逆になるのでしょうか?
 
 その点を理解するための分かりやすい議論として「欧米では、女性専用車用はなぜ女性差別とされるのか」を参照していただきたいと思いますし、その議論を知っているなら、インドと日本の対応の違いも説明できるし、この動画にしても、違った説明(外国の事例を出す以上、避けて通れない説明)が有ったはず、だと考えます。
 
>考え方や姿勢が違っても、今後より良いやり取りができれば嬉しく思っていますし、この問題についてともにお話でき感謝しております。その点だけ、ご理解いただければ嬉しいです。
 
それは私も同感ですし、こちらとしても付き合っていただいて感謝しております。
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