高殿の階に差す冬日かな 邦洋
ジイド読む捨てし恋あり冬の星 米子
人生の仕上げ階段冬薔薇 恵子
会釈して階に消ゆ冬帽子 タミ子
ストーブの二つの薬缶ボレロ鳴らす みずえ
橅飲みを生きてみろよと投げにけり つや子
階に山茶花の散る可伸庵 邦洋
階へ影をあづける冬桜 秀治
短日や階段百を登りけり つや子
朴落葉山のざわめき鎮まりぬ みずえ
音階もはづれ微かに冬の虫 恵子
八十の思ひ筆持つ文化の日 米子
冬桜樹下のベンチや薄荷飴 孝元
久米邸の書斎は二階小六月 米子
天狼へ階段登るひとの声 孝元
見上げねば気づかぬ花や冬桜 恵子
講堂の階外し冬休み 邦洋
着ぶくれて階を這うややこかな 秀治
帰り花帰れぬ蜂に蜜与へ 英子
じゃんけんぽん階段あそび秋うらら みずえ
逆光の光通して見る紅葉 タミ子
句帳手にそれぞれ落葉踏み行けり 恵子
吟行の余韻ふくらむ芋の飯 米子
風に泣く箱階段の古暦 みずえ
階段を一段忘る初冬かな つや子
階段の途中は長き冬の旅 英子
陽をすする黄金の桐冬芽かな 秀治
ビル街の地階に迷ふ冬の蠅 恵子
秋夕焼ごと日の丸を下ろしけり 邦洋
わかりますかわたしふゆのさくらです 秀治
涸滝を来ての日溜り屈伸す 孝元
長き日か短き日かとちる紅葉 つや子
階の踏めぬ一面冬日垂る 秀治
縁側で夫と糸巻く小春かな 邦洋
松明や色濃く映える山紅葉 みずえ
熱あつの珈琲冬の風の味 米子
朝の雨黒き階紅葉降る タミ子
階段や月大きくて届くかも つや子