とある温泉施設の跡地に、いまでも大量の源泉が捨てられているとのことで、現地調査に赴いた。当該の温泉施設は 2012 年に廃業しており、現在は更地になっている。有名な温泉地にあり、幾度となくその前を通っていたのだが、源泉が捨てられているとは全く知らなかった。
源泉は、砂利敷きの駐車場の最奥にあり、ドバドバと用水路に捨てられていた。湯は透明だが、温泉成分により用水路は赤く染まっていた。かなり高温で、とてもその場にタライを持ち込んで浸かれるような代物ではなかったので、漏斗をつかって 20 L のポリタンクに汲んで、自宅まで持ち帰って入浴した (他の採取源泉と合わせ、熱交換で加温)。現地での評価は、芒硝味、弱塩味と記録。
ネット情報によると、営業していたころの当該施設は、この源泉を加水、加温、循環かけ流し併用で使用しており、やや塩素臭の気になる湯使いであったそう。手を加えていない源泉に触れることができ、満足を覚えたが、その後、近くの足湯施設でも同じ源泉を使用していることがわかった。わざわざ採取する必要はなかったか?
(2021 年 4 月)
◆源泉情報◆
泉質:ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉
泉温:70.4℃
成分:pH6.3、溶存物質 1530 mg/kg、主要な成分は以下の通り(いずれも mg)。
ナトリウムイオン | 310.21 | 塩化物イオン | 338.3 |
カルシウムイオン | 78.7 | 硫酸イオン | 294.6 |
メタケイ酸 | 156.1 | 炭酸水素イオン | 155.7 |
メタホウ酸 | 31.7 | 遊離二酸化炭素 | 130.9 |
分析日:不明 (2010 年以前)
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