この前、もうすぐなくなってしまう運命の、とても素敵な庭を見た。庭といっても、もう何年も人の手の入っていない、植物たちの楽園。なんとまあ、いきいきとのびのびと、枝を伸ばし、葉を繁らせて。かつて所有者が茶室を建て、そこへと客をいざなうように配した樹木は、うち捨てられてなおその役割を忘れず、全体に秩序があって、人間を拒絶しない。そこに入ったのは初めてだったけれど、私はその庭がとても好きになった。
代替わりした所有者が手放したその土地は、効率よく売るために、近々更地にされるそうだ。いずれはペランとした今風の住宅が建ち並び、弱々しくてお行儀のいい若木が嘘臭く植えられるのだろう。何年もの歳月を経て枝振りよく育った木々を、惜しげもなく切り倒したそのあとに。
分けてほしいなんて思わない。中に入れてもらえなくても結構だ。どこかのお金持ちがしっかり守ってくれていたなら、それで充分だったのに。こんなふうに、いくつもの美しいものが、この国では日々消えていくんだろうな。残念で仕方がない。あああ、なんとかならないものなのか。
というわけで、早急に、5億円が必要になりました。
……宝くじ1等当たっても足りないねえ。
代替わりした所有者が手放したその土地は、効率よく売るために、近々更地にされるそうだ。いずれはペランとした今風の住宅が建ち並び、弱々しくてお行儀のいい若木が嘘臭く植えられるのだろう。何年もの歳月を経て枝振りよく育った木々を、惜しげもなく切り倒したそのあとに。
分けてほしいなんて思わない。中に入れてもらえなくても結構だ。どこかのお金持ちがしっかり守ってくれていたなら、それで充分だったのに。こんなふうに、いくつもの美しいものが、この国では日々消えていくんだろうな。残念で仕方がない。あああ、なんとかならないものなのか。
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