聖火リレー続行決定も中国には苦言

　ロゲＩＯＣ会長は「（聖火リレーを）中断したり、このまま北京に持ち帰るシナリオはない」と明言し、北京五輪組織委員会は「計画通り進め、必ず成功させる」との談話を発表した。

　ただ、ロゲ会長は「（７年前に）北京の招致団は、五輪を与えられることで人権問題を含む社会的課題で前進すると約束した。多くの重要な項目で果たされたが、間違いなく改善の余地がある」などと述べ、中国側に苦言を呈した。

　この発言に対し、中国外務省の姜瑜副報道局長は定例会見で「ＩＯＣ当局者はさまざまな干渉を排除し、五輪憲章が明記する原則を堅持するよう望む」と不快感を示した。これまで協調関係が続いていたＩＯＣと中国側に微妙な温度差が生じたことで、八月の五輪に向けた準備に影響が出ることも懸念される。

　欧州連合（ＥＵ）の欧州議会は十日、チベット問題をめぐり「中国政府の暴力的なデモ鎮圧を強く非難する」として、ＥＵ加盟国首脳の北京五輪開会式への参加について「不参加も選択肢に、ＥＵの共通方針の策定を求める」とする決議を採択した。

　ロンドンとパリで多数の逮捕、拘束者を出した聖火リレーは、サンフランシスコではコースを大幅に変更、短縮して乗り切った。ＩＯＣ関係筋は欧州の混乱後、ＩＯＣが各都市に「リスク軽減のための計画修正」を要請し、サンフランシスコの変更もその一環だったことを明かした。

　聖火リレーは二十六日に長野を通過。二十九日のホーチミンから五月二日の香港に移動し、中国国内ルートがスタートする。