詩人の不遇経

2019年2月9日土曜日朝8時54分でございます。『WEP俳句年鑑2019』が届きました。ニコニコ如来の句も「加藤国彦」の俳号で、7句載っております。全国の一流俳人1,227人が自選7句を出している中に並んでいるので、俳人としてもまあまあの成功でございます。

俳人・詩人として成功しても、実社会の成功度においては人に遅れを取る不遇の人が多いのでございます。この年鑑の中に有馬朗人先生の7句が載っております。有馬朗人先生は、俳人としても成功され、東大総長、文部大臣にもなられた稀有の（けうの）成功者であられますが、お弟子はなかなかそうも行かず、先生を悲しませるのであります。

「詩人等に左遷の多し冬紅葉」 有馬朗人

これで思い出すのは、サラリーマン俳人（三井製薬勤務）として有名だった草間時彦（1920~2003年)の名句

「冬薔薇や賞与劣りし一詩人」

であります。詩人は出世もボーナスも人に負けるのが常なのであります。でも冬紅葉や冬薔薇のように美しいのでございます。普通の人は黄金の神に仕えているのに、詩人は違う神（詩神・美神）に仕えているのですから、仕方がないのでございます。

この点、例外とも言えますのは、シナ文明の生んだ一群の大詩人たちでございます。李白や杜甫や蘇東坡など、皆大官僚で、権力や富や美酒美食をほしいままにし、しかも、名詩を量産して名を残したのですから、言うことはありません。（蘇東坡に至っては、「トンボーロー東坡肉」と言う料理を創生し、美食でも名を残し、その上愛妾数人もいたのでございます）。この文明は、とても興味がありますねー。

〈詩人の不遇経〉

短歌の啄木、病気で不遇。
新聞校正係で死す。

俳人は少しゆとりあり、
富安風生、次官になる。

詩人の萩原朔太郎、
家の厄介者扱いだ。

金儲けやら出世には
頭が行かぬ詩人だよ！

ニコニコ如来ご法力
でも救いかね、嗚呼（ああ）と言う。

2019年2月9日9時42分〈「ニコニコ如来説法と経典」ブログ記事仮第533巻「詩人の不遇経」〉