絵本の部屋

鈴木まもる「鳥の巣研究所」別館

「ならんでる ならんでる」

2014年02月28日 | その他の本

「ならんでる ならんでる」

竹下文子・文
鈴木まもる・絵
偕成社 32p 1200円+税
2014年3月

ちいさい ありが ならんでる
あひるの おやこが ならんでる
こどもが 10にん ならんでる
それから それから?
たのしいことが まってるよ!
(カバーそでより)

 

 

とびら

 

 

 

 

 

 

 

 

裏表紙

 

<画家メッセージ>

蟻がならんで歩いているのを見ると、なぜこんなに黙々と、
ある方向に皆が一緒に整列していけるのだろうとか、
何を考えて歩いているのだろうとか不思議な気持ちになります。
中には「疲れたなあ」とか「ほんとはあっちに行きたいんだけど」
なんて考えている蟻もいるのでしょうか。昆虫の世界は今も謎です。 

独裁国家の軍隊の行進なんかだと、個を否定された
一糸乱れない恐ろしい光景で嫌になります。

絵を描く側からすると、同じものを並べて描くというのは、
視覚的に「繰り返し」の文様のようでもあり、生命のリズムを感じたり、
個と全体のバランスの関係など面白いモチーフです。

今回の絵本のメインは、子供たちがならぶということで、
それぞれの個性がありつつ、全体では、ある方向性、目的に
向かっているという民主主義的(?)でのどかで楽しい絵本です。

 

Amazonリンク

ならんでるならんでる
竹下文子
鈴木まもる

偕成社 2014年

 

 


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「つかまえた!」

2014年02月28日 | その他の本


「つかまえた!」

鈴木まもる 作・絵
講談社 24p 1300円+税
2013年3月

つかまえて、むぎゅー! 
つかまえられて、こりゃー!
つぎからつぎへとつかまえて、
どんどんページをめくりたくなる・・
よみきかせで大興奮!
(初版オビより)

 

とびら

 



つかまえた!
てんとうむしが たんぽぽのわたげを つかまえた
ぽっ
(p.2-3)

 

つかまえた!
てんとうむしを つかまえた とかげを ねこが つかまえた
ふにゅん
(p.6-7)

 

 

(p.8-9)

 

裏表紙

 

 

以前「この本よんで」という雑誌から、雑誌の中に3場面半のミニ絵本を依頼されました。
それを1冊の絵本に膨らませたものです。
以前出した絵本「ねこのおすしやさん」もこのパターンです。
 
最初から、「おおらかな、繰り返しの、楽しい、温かな世界の絵本をつくろう」
というコンセプトで、雑誌の絵を描いているときから、
途中の膨らませ方や最後の結末は決まっていました。
 
で、以前から「絵本を作りましょう」とおっしゃってくれていた講談社のN岡さんに、
1冊に膨らませたダミーを見てもらいました。
 
ただ、自分の中では、なにか二つの要素がぶつかっている感じがしていました。

最初のミニ絵本案では
①大きな生物が、ページをめくると、実は小さかった、という事の繰り返しと、
②「つかまえた!」と、いろいろな生物が繰り返して出てくるということが、
①の絵を描くことで、②が弱肉強食の世界に感じられてしまう、というところが
ひっかかっていたのです。
 
②が”食物連鎖の世界”の「つかまえた!」ではなく
”愛の世界”の「つかまえた!」が自分として一番の主題というところが、
①の表現と一緒になっていることで、しっくりこなかったのです。
 
その辺をN岡さんと話していく中で、
どっちにするべきかが、ストンと見えて、現在の形になりました。
 
ですから、雑誌の形のをご覧になった方が見ると、「アレッ」と思うかもしれませんが、
この形が、この絵本の伝えたい正確なものなのです。
(①の要素は、いつか別の絵本のでやりましょう)
 
こうしなさい、ああしなさいではなく、話をしていく中で、
こちらが自然に気が付くような、というか、頭を自由にさせてくれるのが、
なんとも、おおらかなN岡さんの編集者としての力なのだと思います。
 
ということで、絵ができてトレペーを絵にかけながら思ったのですが、
 
この絵本は、植物の種から始まり、昆虫、爬虫類、哺乳類と出てきて、最後に
それらすべてを、女の人がひとまとめに仕切ってしまうという、
 
”地球上のすべての生物の最強は女性”という、
”女の人えらい”というか、”女の人大好き”な、
ものすごい”女性讃歌”の愛の絵本なのだと思います。
 
ということで、これはいつも辛口のFさんも笑って見たりするくらい楽しい絵本になりました。
 
画材は、温かく、やわらかい世界にしたかったので、ほとんど色鉛筆です。
その軽さ、明るさを出すため、インクをかえたり、文字の位置を細かく修正してくれたりと、
N岡さんに細かい部分も抜かりなくやっていただきました。

(鈴木まもる)

 

 

Amazon

つかまえた! (講談社の創作絵本)
鈴木 まもる
講談社

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