「つかまえた!」
鈴木まもる 作・絵
講談社 24p 1300円+税
2013年3月
つかまえて、むぎゅー!
つかまえられて、こりゃー!
つぎからつぎへとつかまえて、
どんどんページをめくりたくなる・・
よみきかせで大興奮!
(初版オビより)
とびら
つかまえた!
てんとうむしが たんぽぽのわたげを つかまえた
ぽっ
(p.2-3)
つかまえた!
てんとうむしを つかまえた とかげを ねこが つかまえた
ふにゅん
(p.6-7)
(p.8-9)
裏表紙
以前「この本よんで」という雑誌から、雑誌の中に3場面半のミニ絵本を依頼されました。
それを1冊の絵本に膨らませたものです。
以前出した絵本「ねこのおすしやさん」もこのパターンです。
最初から、「おおらかな、繰り返しの、楽しい、温かな世界の絵本をつくろう」
というコンセプトで、雑誌の絵を描いているときから、
途中の膨らませ方や最後の結末は決まっていました。
で、以前から「絵本を作りましょう」とおっしゃってくれていた講談社のN岡さんに、
1冊に膨らませたダミーを見てもらいました。
ただ、自分の中では、なにか二つの要素がぶつかっている感じがしていました。
最初のミニ絵本案では
①大きな生物が、ページをめくると、実は小さかった、という事の繰り返しと、
②「つかまえた!」と、いろいろな生物が繰り返して出てくるということが、
①の絵を描くことで、②が弱肉強食の世界に感じられてしまう、というところが
ひっかかっていたのです。
②が”食物連鎖の世界”の「つかまえた!」ではなく
”愛の世界”の「つかまえた!」が自分として一番の主題というところが、
①の表現と一緒になっていることで、しっくりこなかったのです。
その辺をN岡さんと話していく中で、
どっちにするべきかが、ストンと見えて、現在の形になりました。
ですから、雑誌の形のをご覧になった方が見ると、「アレッ」と思うかもしれませんが、
この形が、この絵本の伝えたい正確なものなのです。
(①の要素は、いつか別の絵本のでやりましょう)
こうしなさい、ああしなさいではなく、話をしていく中で、
こちらが自然に気が付くような、というか、頭を自由にさせてくれるのが、
なんとも、おおらかなN岡さんの編集者としての力なのだと思います。
ということで、絵ができてトレペーを絵にかけながら思ったのですが、
この絵本は、植物の種から始まり、昆虫、爬虫類、哺乳類と出てきて、最後に
それらすべてを、女の人がひとまとめに仕切ってしまうという、
”地球上のすべての生物の最強は女性”という、
”女の人えらい”というか、”女の人大好き”な、
ものすごい”女性讃歌”の愛の絵本なのだと思います。
ということで、これはいつも辛口のFさんも笑って見たりするくらい楽しい絵本になりました。
画材は、温かく、やわらかい世界にしたかったので、ほとんど色鉛筆です。
その軽さ、明るさを出すため、インクをかえたり、文字の位置を細かく修正してくれたりと、
N岡さんに細かい部分も抜かりなくやっていただきました。
(鈴木まもる)
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