今日の猫 濱猫 坂本愛理さんのポストカードより
今日は一日雨、天気予報によれば明日も雨らしい。「せっかく売れる季節になったのに」と思ってもお天道様にはかなわない、「ご無理ごもっとも」とただひれ伏すよりしょうがないだろう。
今日もコタローは着いて来ている。この雨の中一番で来た外人さん夫婦、コタローをしばらくかわいがり、店の中を差して「ここはネコ~、でもこれはイヌ~」と言う。ほんとに日本人も外人も「ねこやなのに犬~」と決まり文句ばかり。「いいじゃないか~、犬がいたって~」「こんなにかわいい犬でもだめなのか~」。結局その言葉を最後に何も買わずに出て行ってしまった外人さんたち、役立たずなんだから~。
まもなく郵便やさんが小包を届けてくれ、「あらあらねこやさんなのに犬がいるの~」と言う。「まただよ」。見ればいつもの郵便やさんと違う、この人もその内なれてコタローがチョロチョロしてても何も感じなくなるだろう。むしろその内コタローがいないのが不自然になる。
さて今日のお客さんはあの外人さんたちで終わりなのか。後はひたすら幸運が訪れて、いっぱい買ってくれる人が来るのをを待つしかしょうがない。
昨日だってまあまあ売れていたがもう一つ、そこに見慣れたお客さんが入って来て「今日は友達を連れてきたの」と言う。「あ~きっとこないだのお客さんだ」。先日ねこやに来て「私は40年間アメリカに住んでいて、今里帰りをしてるの」と言ったお客さん、その時もねこやが随分気に入ってくれ、「今度は友達と一緒にくるからね」と言い置いて帰って行った。その約束どおり友達を連れて来てくれたのだ。
着いて来たお客さんも大の猫好きらしく、買う気が違う。二人は次々と猫を選びカウンターに。年頃から言っても様子からしてもなんらお金に不自由してないらしいお二人さん、こんな人たちが来てくれるとねこやは万々歳だ。結局お二人に沢山沢山買ってもらって昨日のねこやもすごく売れた。
いくらねこやが気に入ってもおじさんの態度が気に食わなければ、二度と来てくれないだろう。その点おじさんの態度は良かったようだ。あまりよそよそしくてもだめ、そうかといってしつこいのもだめ。売りたいけど無理に薦めず、こちらも友達感覚でお客さんと付き合う。小売店の店員もなかなか難しい。特に名もなく貧しく美しくない小売店は。
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