今日の猫 たわし猫がいっぱい入荷した
今朝たわし猫が入荷した。とても売れていた商品だったが、おじさんがメーカーさんの在庫がつかみきれず、このところ淋しくなっていたが、これだけ入ってくればまた売れだすだろう。特に中高年層の女性に期待、ねこやでその世代に買ってもらえる数少ない商品である。
この商品にもいろんな思い出がある。その多くはもちろんおばさんたちの言動だが、同世代でこれだけ支持不支持が分かれるのも珍しいことだ。
でも気に入った人は、一目見たら忘れる事が出来なくなるようで、気になって気になって、一旦長谷の駅まで行ったのに帰ってくる。この前のおばあちゃんは、あまりあわてるものだから、ねこやの入り口の段差に足を引っ掻けって転んでしまった。それでも「すいません、この黒猫を下さい」と叫ぶ。おじさんもあせって「大丈夫ですか、ゆっくりでいいですから先ず足の方も確かめてください」と言うのが精一杯で有った。
幸い足の怪我もすりむいたくらいで大したことなく、おばあちゃんはたわし猫の入った大きな袋をかかえ、嬉しそうに再び駅に向かって帰って行った。「それでも足が痛いはずなのに、大丈夫なのだろうか」と心配して見送るおじさん、自分が気に入った物を手に入れると痛さも忘れるらしい。
でもそんな人ばかりではない。店に入って来た瞬間正面に有るたわしねこを見て「まっ、たわしよたわし。これで身体を洗うのかしら」なんて事を言う小憎らしいおばさんもいる。陰で聞いてたおじさん、「あんたはいつもたわしで身体を洗ってるのかよ~」と思う。中には「これで茶碗を洗うのっ」なんて言う、これまたかわいくないおばさんもいる。どの人もほんとにそんな事など思っていなくても、ただ憎まれ口を利いてみたいだけなのだ。
表の通りを歩くおばさん、ねこやの中を覗き、正面のたわしねこを見て「なに~、あれも猫~。ありゃ狸だわ狸」と言って立ち止まり、今度は店の中に首を覗かせ、「ひどいもんだあれで猫だって、ひどいもんだ」。そして少し歩き始めても「ひどいもんだ、ありゃ狸だ」と言いながら進む。後ろからはおとなしそうな旦那が黙ってただ黙々とついて行く。
でもあんなに悪口を言われたじゃれねこは、一番人気のたわし猫で、今は売り切れでどこにもない。狸だアライグマだと言われ続けられた猫が、一番人気で良く売れたことがとてもおもしろい。
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