私の「舞踏会の手帖」30年間会わなかった知人の家のベルを押してみた。どのように変わったのか、を確かめてみた。

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映画「舞踏会の手帖」とは。

2017-11-08 16:38:53 | 思い出

舞踏会の手帖のストーリー。
 20、30年も会っていない昔の知人の自宅を突然訪れる、という散歩を繰り返しているうちに、私の行動は昔観たことのある映画「舞踏会の手帖」とソックリなことに気がついた。
 映画「舞踏会の手帖」とは昭和12年に発表されたフランス映画で、数多くの賞を受賞した名画である。監督はジュリアン・デュヴィヴィエで、「望郷」、「モンパルナスの夜」、「巴里の空の下、セーヌは流れる」などの名作を残しており、フランス映画四大巨匠の一人と称されている。主演はマリー・ベルで、「外人部隊」などに出演したので有名であるが、主に舞台俳優として活動をしていた。また、「舞踏会の手帖」で共演した俳優達は、当時の一流の俳優ばかりであった。日本では昭和13年に公開され、戦中は上演が禁止されたが戦後になって再度公開されて爆発的な反響を受けている。人生のはかなさを歌い上げる感じのこの映画は、好評であった。
 こんな経過のあるフランスの名画なのであるが、この映画を良く知るのは70歳以上の人達ではなかかろうか。すでに古典となっており、若い人達に「舞踏会の手帖という映画を知っている?」と尋ねても殆ど知る人はいない。20代でこの映画を知っている人は相当のマニアか映画関係者であろう。現在、「舞踏会の手帖」は話題にもならないため知名度は低い。このため、ざっと映画の粗筋を説明してみる。
 映画はイタリアのコモ湖畔に立つ豪邸から始まる。マリー・ベルが扮する主人公のクリスチーヌは、36歳の若さで未亡人となり、夫の遺品を整理している最中であった。思い出のある品を暖炉にくべて焼却しているときに、20年前の手帖がこぼれ落ちた。そこにはクリスチーヌが16歳で初めて舞踏会に出掛けたときに、ダンスの相手をした10人の男性の氏名が書き残してあった。
 未亡人となったクリスチーヌは家族や身寄りがなく、生きていく目的を見いだせずに虚脱状態であった。このため、舞踏会で出会った男性達がどのような生活をしているのか、を確かめることに決めたのだった。青春時代の記憶を思い起こし、手帳に記された男性達がどのように成長したのかを確認するためであった。また、歳の差のある夫との生活だけであったので、尋ねる知人がいなかったのである。
 手帖にメモされた男性達は、全員がクリスチーヌに愛をささやいたのだが、本人はその気はなかった。ただ、18歳のジェラールだけは密かに愛を持っていた。執事に10人のダンス相手の消息を調べさせたが、2人は既に他界しており、片思いであったジェラールは消息不明であった。
 住所の判明した7人のダンス相手に出会うための旅に出ることになった。最初に出会ったのはジョルジュの母親で、クリスチーヌに心を寄せていたが、クリスチーヌが婚約したあことを知って自殺していた。詩をこよなく好きであったピエールは、表向きはキャバレーの経営者でありながら窃盗団の首領となり、クリスチーヌの目の前で官憲に逮捕されてしまった。ピアニストのアランはクリスチーヌに心を寄せていたが、失恋したことで世捨て人となり神父になっていた。詩人を志したエリックはアルプスの山岳ガイドとなっていた。政治家志望だったフランソワは南フランスの田舎町の町長となり、再婚する女中との結婚式の最中であった。チェリーはマルセイユに住んでいたが、半廃人となっていて、堕胎を専門とする闇医者に落ちぶれていた。ファビアンは理髪師となっていて、二人で地元の舞踏会に出掛けたが、そこはクリスチーヌが記憶している豪華な会場ではなく、田舎びた侘びしいものだった。
 7人のダンス相手と再会したが、彼らは皆幻滅するものであった。7人と再会した長い旅から自宅に戻ったとき、片思いであったジェラールが自宅のあるコモ湖の対岸に住んでいることを知った。訪ねてみるとジェラールは一週間前に亡くなっており、邸宅は訪れたその日に人手に渡るという。クリスチーヌはジェラールの息子ジャックを養子に迎えることにした。
 リスティーヌは、引き取ったジャックに母親のような愛を注ぐ気になった。そして、ジャックが初めての舞踏会に送り出す時に、「少し緊張するでしょう。初めての煙草の時くらいに。」とささやいて、映画は終わるのである。
 私の行動は、映画のストーリーとほぼ同じパターンであるが、映画のリスティーヌは富豪の未亡人であり、36歳という若さである。私は還暦を過ぎた、それほど生活に余裕のない平凡な高齢者である。ここが映画と現実の大きく違う点である。また、リスティーヌが再会したダンス相手は波瀾万丈の人生であったが、私が再会した知人達は平凡な人生を送っていた。それでも、30年間の変化は大きなもので、衝撃的な結末を見ることもあった。
 なお、映画「舞踏会の手帖」は公開から時間が経過しているので、著作権は消滅している。このため、安価なセルビデオが出回っているので、一度ご鑑賞されては如何でしょうか。


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