一番遠くの”斎場御嶽”から行く事にした。
途中のニライ橋・カナイ橋は抜群の景色であった。
天気が悪いにもかかわらず景色にシビれ、ついつい2往復してしまった。
広がる海の景色はやはり反則的に美しい。
斎場御嶽とは琉球王国において最も重要である聖地の一つである。
政(まつりごと)を取り仕切る按司そして尚氏から始まった王。に対し、儀礼を取り仕切る代表として巫女たる聞得大君
その聞得大君の就任の儀式を行ったのがこの斎場御嶽である。
何となく・・・子供みたいな事言うけど。
そういう場所だとなんかのオーラが貰えるのかも知れないと変な妄想を抱いて訪れた。

到着したのが八時半だった。
正直想像していたより、かなり近かった。
斎場御嶽の入り口に小さな案内所があったけどまだ閉まっている時間だった。

入り口の世界遺産の碑を越えるとすぐに山道。
青森とは明らかに違う植物達の森が迫ってくる。
広がることを求める葉、枝、根。
寒さに耐えるために一つに集中しようとする針葉樹とは明らかに違う。

ところで、沖縄を旅行して幾度と無く思ったのだが、沖縄には実に多くの蝶が飛んでいた。
極彩色でヒラヒラ舞う姿に頭がくらくらするようであった。

山道を行くと聖地の中の聖地、儀式の間である「三庫理」が現れた。
巨大な岩によって作られた巨大な直角三角形。

自然の造詣に対する感心って一気に湧き上がってきますよね。
「なんでこんな景色になったのだろう?」
三庫理をくぐるとその先には木々の額に囲まれた美しい海が現れた。

人は偶然に運命を感じることがある。
と書くと大げさ何だけどね。
小学生の頃、ウチの近所の神社に大きな木が有り、そのウロを秘密貯蔵庫として活用していた。
最も皆が使っていたのですぐに置いていた物は無くなるし秘密でもなんでもなかったけど。
けど、綺麗な石や手紙(今ならゴミみたいな電柱の部品とかね)などを置くのにちょうど良いその場所を「神様からの贈り物」なんてな具合に感じていた。
この斎場御嶽はそういう造型が物凄く多かった。
俺達が
「ちょうど良い秘密貯蔵庫を見つけた!」
という風に昔の人たちが
「こんなステキな場所だから神様が作った場所であるに決まってる。それに神様の力をここで得られるに違いない!!!」
なんて考えたとすると、その好奇心に境界線は無いような気がする。
今の人間も昔の人間も同じ様な感動をこの場所で得ていたに違いない。
そう考えると何となく嬉しい気持ちになった。
そっと目を閉じて深く深呼吸をする。
吸い込み、吐き出す。吸い込み、吐き出す。
空気を吸い、音を吸い、見えない何かを吸い込み、それらを吐き出す。
満ち足りた気分で全てを見終え、山を降りると案内所がオープンしていた。
そして目に入った看板。
「入場料200円」
・・・。
係員に見つからぬように慌ててレンタカーに走って戻った。