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鬼畜の美食家  下巻

2021-09-19 20:12:38 | 縄奥小説

鬼畜の美食家【下巻】

 

 

【一話】

 

 


 鬼畜の美食家達の巻き起こした事件から既に1年以上が経過し、その間も警察は必死の捜査を行っていたが、何一つとして手掛かりは掴めていなかった。

 また、法医学と科捜研で立ち上げた合同の催眠術療法による事件の糸口もまた、被害者を対象として数十人に実施したものの、警察同様に何一つとして手掛かりを得るに至らなかった。

 そして事件が止まって一年以上を経過した現在、鬼畜の美食家達を追うメディアは殆ど消え去り、世間の記憶から薄れて行った。

 被害者は女装子(おとこ)は別として女性だけで400人以上いたが心の傷の癒えぬまま時を過ごし、世間は事件があったことを徐々に忘れて行った。

 街中ではショーパン、ノースリーブ若しくはミニスカートと言った肌を露出する女性の服装が目立ち始め、ピチピチとそしてプリンプリンと柔らかい肉肌を人目に晒していた。

 そして気温が33度を超える猛暑日には一段と肌の露出が度を越して行った。 女達は恥ずべき部分を蒸れに蒸れさせパンティーを内側から汚し脇の下からは甘酸っぱい酸化臭を放っていた。

 それでも鬼畜の美食家達は一つとして行動を起こさず、何かを待つがことく動きを見せなかった。

 そして翌年、事件発生から三度目の夏、再び恐ろしい事件が発生した。

 24歳の被害女性は両尻から膝までの血管と筋のみ残された形で肉を全て切り取られていた。 まさに神業と呼ぶに相応しい悪魔の所業に手当てに当たった医師団は呆然とその状態を目の当たりにした。

 そして陰部に至っては、大陰唇と小陰唇を失いクリトリスに置いては数センチ奥から抉り取られ、右乳房を全摘出されて無残な姿だった。

 被害者は集中治療室に運ばれた風呂桶のようなものに首まで漬け込まれ特殊な液剤で守られるように上蓋をかけられた。

 まるで何かの人体実験のような状況だったが、両尻から両膝まで身体を支える肉が無くなっていたことでの苦肉の策だった。

 そして犯行現場には数本のビール瓶とコップや皿、そして焼肉のタレに肉を焼くのに使った使用済みの割り箸が残されていた。

 人間を人間とも思わぬ悪行は七輪の渡し網にこびりついた肉片をみれば誰にでもわかることであって、現場検証を行った刑事や鑑識の誰もが嘔吐しかけていた。

 一方、蓋を掛けられ風呂桶から頭だけ出している被害者は気付くことなく眠りに落ちていて、医師達はなんと説明して良いやら苦慮していた。

 そしてその頃、鬼畜の美食家達の一人は何の苦労もなく次の御馳走を誰にするかパラパラと卒業アルバムにも似たデータブックをパソコンの中で調べていたが、その数が数万人にも達していることを誰一人知る者はなかった。

 そして大学病院の集中治療室の中、首だけを出し両腕を後ろ手に縛られたまま、蓋をされ風呂桶に入っていた被害者が目を覚ました。

 集中治療室は被害女性の悲鳴とみ喚きとも取れる驚愕に怯えた声が響き、落ち着かせようと数人の医師と看護師達が慌しく動き回った。

 数分後、ようやくここが病院であることを知った被害女性は首だけ出した風呂桶の中で、医師達から身体の状態を聞かされ両尻から両膝まで肉が無いことを告げられるとそのまま失神した。

 両尻と両足から肉だけを取ると言う神業的な被害を受けた女の下半身は特殊溶剤に漬け込まれていたが、首から無数の点滴の管が左右に広がり無数の機械が彼女を管理していた。

 そしてこの治療法を助言したのは誰でもない、鬼畜の美食家の調理人とも言えるべく白衣の人物であった。

 俗に言う骨や太い血管と筋、リンパ等の付属物はそのままに肉だけを奪われた被害女性の苦痛は計り知れないものであったろうか。

 そして無くなった性器の表面も含めて特殊溶剤は少しずつ彼女の下半身に必要な細胞(にく)を組織していった。

「恐らく以前と同様の復元は不可能ですが、立って歩くことには支障はないと我々は考えていますが、数週間はこのまま安静にしていて下さい…」
 気を取り戻しつつも呆然とする被害女性に説明する医師の額に汗が滲んだ。

「医学は進歩していますが… まずは下半身を修復しそれから整形と言う形で元に近づける以外、手立てはありません」
 説明する別の医師もまた心苦しい表情を彼女に見せた。

 集中治療室は重圧な空気で充満していた。

 その頃、法医学者と科捜研の二人の担当女性は、今回の被害者の言う何かがチクリと刺さったと言う証言に、催眠療法を行う医師と掘り下げる年代について話し合いをしていた。

 これまで過去3年前後の過去に掘り下げていた年代を5年、10年と掘り下げられないか検討をしていたが、被験者にかかる膨大な負担を危惧する催眠術医師の回答は重かった。

 被害女性達が事前に偽装工作をされた時期が解かればそこから糸口が見出せるかも知れないと言う法医学者と科捜研の二人の担当者の熱意は固かったが、催眠療法担当の医師は被害者達の記憶障害を懸念していた。

 

 

【二話】

 

 


 所々に破損形跡のあるコンクリート製の壁。 灰色に囲まれた小部屋の天井からぶら下がる裸電球。 何処かの民家の地下室と思われる一室の真ん中、古いスチール製のパイプベッドの上に寝かされた一人の獲物(おんな)を見て、俄かにニヤニヤする三人の人物。

 何れも顔半分を覆う仮面をつけ用意されたパイプ椅子に腰掛ける。 白衣の人物が獲物(おんな)の衣服胸元をナイフで切り裂いたのを見て、前屈みにかって三人の人物達は両手に拳を握った。

「申し訳ありません… 獲物(おんな)では無いようです…」
 白衣の人物の言葉に椅子に座っていた三人は首を傾げて立ち上がると、獲物(おんな)の乳房を見据えた。

「最近は妙な雑魚(おとこ)が多くて困ります… 恐らく女性ホメモンを使用しているのでしょう…」
 白衣の人物は男が履いているスカートをナイフで切断すると、黒い網タイツをピリピリと両手で破りその股間から白いパンティーを剥ぎ取った。

 男の睾丸は袋ごと萎縮して体内に埋れベロンと小さなペニスが左右にフラっと揺れた。

「そこまでして獲物(おんな)になりたいのか… ならば願いをかなえてやることにしよう。 性転換とまでは行かなくても二度と男の身体に戻れぬよう処置することにしよう…」
 白衣の人物は獲物(おんな)と差ほど変わらない男を全裸にすると、三人の人物達の見ている前で両足を大きく広げ膝立ちされて両足首をベッドに縛った。

「見たくない方は御退室して頂いて結構です…」
 白衣の人物は男の股間に局部麻酔をすると、慣れた手つきで男の体内に埋もれた睾丸を肉ごと抉り取ると、小さなペニスの気等部分を竿から切り離した。

 男の股間は見る見る間に血だらけになったが直ぐに止血した白衣の人物は、男の竿を根元から抉り取ってそこへ切り離した亀頭を埋め込むように縫い付けた。

 そして抉り取られた睾丸箇所をまるで縫い物でもするかのように手早く縫合すると、亀頭を囲むように肉肌が小さな割れ目を形成した。

「これで雑魚(コイツ)の夢は叶えられたでしょうね… フッ… もっともここまで萎縮していれば性転換は不可能でしょうから…」
 白衣の人物は男の股間をT字包帯でしっかりと固定すると、今度はバックから取り出した注射器にシリコンを注入し、男の膨らんだ乳房を鷲掴みして乳首にシリコンを注入した。

 乳首は見る見る間にその大きさを女性(ほんもの)のように変えた。

「乳輪は何処かのクリニックでやってもらえばいいでしょう…」
 三人の観客はその手際の良さに思わず白い手袋をした手で拍手して見せた。

「ところでこの肉… 食して見たいと言う酔狂な方は居られますか? 獲物(おんな)の肉と違って歯応えがあると思いますよ」
 白衣の男は両手からゴム手袋を外すと、洗面器の中の消毒液で手を洗い三人を見回した。

 白衣の人物は大きく頷いた一人の人物を見据えてニッコリと笑むと、男から切除した肉片と竿、そして睾丸を水洗いし塩水に漬け込んで揉み洗いしてパッと水切りしてザルに移した。

「まあ、元を正せば女と勘違いした我々の所為なんですが、雑魚(コイツ)も食べて貰えて幸せでしょうね…」
 白衣の人物はザルの上に置いた肉に二本の金属串を差し込むと、七輪で肉を丁寧に炭焼きし小部屋は肉の焼ける匂いで充満し、白衣の人物は直ぐに換気扇を回した。

 深夜、古民家の煙突から肉の焼ける匂いが風にのって辺りに漂った。

 そして翌日、病院のペッドの中で自分に起きた事実を聞かされた女ホルを使っていた男は唖然として点滴をしようとする看護師に右腕を差し出した。

 数時間後。

「何だってぇ! 君も! 君もチクリっと何かが刺さったと言うのか! 確かに君は女顔だが……」
 事情聴取に来た数人の刑事達は唖然として、被害者が差し出した自撮写真を携帯の中に見せて貰うと、その美形に息を飲んだ。

 女装コンテストで何度も優勝経験を持つと言う被害者は刑事達にその時の写真の全てを携帯の中に見せた。

「てことは、鬼畜の美食家(はんにん)達は君を女性と勘違いして…」
 刑事達は手帳にメモを書き込むと慌しくその場を離れたが、一人残された被害男性は性器を取られたことではなく、肉を喰われたことに涙を頬に伝えた。

 更に数時間後。

「これ以上は無理ですね! 限界です! いくら催眠術と言っても15年前まで遡れば被験者に何らかの悪影響が出る可能性は否定出来ない! 私は医師として警告している!」
 催眠療法担当の医師は法医学者と科捜研の女性二人を前に豪語した後、横に居た数人の警察幹部を睨み付けた。

 この時、催眠術では既に14年前を探索していたが、15年前を要求した二人の女性達に医師は困惑していた。

 現在25歳と言う被験者は、起こされたリクライニングベッドの上で上半身をユラユラと揺らしていた。

「やって… やって下さい…… 憎い… 憎い犯人をやっけるために…」
 被験者はユラユラと上半身を揺らしながら虚ろな視線を一人の医師と二人の女性に向けた。

「兎に角、今日はここで終わります!」
 医師は看護師達に被験者を部屋に戻すように指示すると不機嫌な表情を諸にだして部屋を出て行き、法医学者と科捜研の担当の二人はガックリと肩を落として部屋を後にした。

「14年前でも無理か… もしかしたら15年、いや16年前、それ以前かも知れないと言うことか… 或いは的外れか……」
 数人の警察幹部の一人がボソっと語るとそのまま部屋を後にした。

 警察関係者は被害者の供述の裏を取ろうと催眠術による捜査を行っていたが、厚い壁に突き当たっていた。

「医師(せんせい)! やらせて! やらせて下さい! 私の身体も人生もボロボロにした憎い犯人を捕まえるためにも! 15年でも16年でも!」
 片方の乳房と片尻、そして内モモと陰部を失った被害者の女性は個室の仲で催眠術の医師に涙ながらに嘆願していた。

 催眠術の医師は硬い表情をしたまま被害者の部屋を無言で出て行った。

 

 


【三話】

 

 

 目立たない路地裏の準備中と書かれた喫茶店の奥。 小部屋でヒソヒソ話しをしていた仮面を付けた数人。
「どうでしょう、そろそろ一旦止めませんか? 獲物(おんな)は順次育っているようですが警察も何かを掴んでいるかも知れない。 この辺で一旦食事会を停止すると言うのは…」
 
 白い仮面をつけた人物の言葉に赤、青、黄色の仮面をつけた者達は一同に無言で頷いて見せると、赤い仮面の人物が自らの念願を小声で口にした。

「一度でいいから♪ 太もも… 生きた獲物(おんな)の内モモの肉をガブリと直接噛み千切って見たいのだが…」
 白い仮面の方を向いた赤仮面は無言で返答を待った。

「いいでしょう。 但し、人間の歯では噛み切れませんからねえ~ そうですねえ~ 歯の上から… そう何か鋭利な物を被せて… いや、切り口さえ付ければ普通に喰えるか… これから長い停止に入りますからね。 夢は叶えて差し上げますよ」
 白仮面は斜め上を見上げ、入れ歯を想像しつつ獲物(あし)の噛み切り方を想像し、仮面一同を白から見回した。

「それなら私も、一度でいいから乳房を… では私は尻肉を!」
 青仮面が乳房の話をすると慌てて黄色仮面は自らの願望を急ぎ言葉で割って入った。

「それなら獲物(おんな)は一人では足りませんね… 三人… 最低でも三人は必要ですね… まあ、これだけの人数ですからね~ それぞれ、好みの獲物(おんな)の番号をメモしといて下さい」
 白仮面は三人の仮面たちの前のテーブルに厚みのある一冊のファイルを置いて押し付けた。

 三人の仮面たちは落ち着いて一ページ目から身を寄せ合って見つめ始めると、指を指して写真を追った。

 そんな仮面たちをそのままに白仮面は席をクルリと左に回し足組して紅茶を飲み始めた。

「焦らないで下さい… 最初は白仮面さんから決めて頂き次は青さん、そして黄色さん順です…」
 物静かな物言いをする白仮面は席を立つとノートパソコンを立ち上げ、街の地図を見始めると、紙で出来た無数に印のついた地図と照らし合わせて見始めた。

「しばらく活動を停止しますからねえ~ 在庫も欲しいところですね… 三人と言わず一気に数十人から肉を頂いて冷凍保存しておきますか… ところで黄色仮面さん、警察の動きはどうですか?」
 三仮面の方を振り返らずに黄色仮面に口を開いた白仮面。

「警察では今のところ獲物から被験者を募って、催眠術(いし)に依る催眠療法でチクリの謎を糸口として追っています…」
 自らに背を向ける白仮面に黄色仮面は小声を発した。

「そうですか… チクリから糸口をねえ…… まあ、無駄骨に終わるでしょうねえ… いくら催眠療法と言えど、あの年代まで疎か昇ることは不可能でしょう… 仮に偽装工作と思われているチクリが解かってもそれ以上のことを突き止めるのは無理でしょう…」
 白仮面は黄色仮面を向くことなく小声で落ち着き払った物言いをした。

「でしょうね… まさか獲物に7歳頃から種蒔きしているなどとは現代の医学を持ってしても突き止めるのは不可能でしょうね…」
 腕組して少し声を弾ませる黄色仮面。

「無理すれば被験者になっている獲物の人格そのものをも破壊してしまうプログラムが形成されていることも、ヤツらは知らない…」
 目の前のコーヒーを飲みつつ言葉を発した青仮面は、笑みを浮かべて見せた。

「まあ、時限爆弾付きの催眠術(すべ)ですからね… 獲物には罪は無いにしてもプログラムに近づいた時点で、獲物は人生の全ての記憶を消去してしまう… 危険なプログラムです……」
 白仮面は地図に新しい印を付けると、その一部分のみを切り取って残りの地図を細かく千切って灰皿の上、ライターで火を点けて燃やした。
 
「次のレストランの場所は決定しましたよ。 まあ、十分なスペースでしょうか…」
 地図を燃やしきった白仮面はイスをクルリと回して三仮面のほうを見ると、ファイルは青仮面に移っていた。

「ところで赤仮面さん。 次のレストランの場所の下見チェック。 またお願いしますよ…」
 赤仮面は無言で頷くと白仮面をチラッと見て目印をしてある小さな地図を受け取った。

 そしてファイルは青仮面から黄色仮面へと移動した。

「今回は皆さんの夢を叶えると同時に冷凍保存用の肉も取らないといけません。 大人数になると思いますから手当ての方もお手伝い頂きますよ」
 白仮面はその場に立ち上がると三仮面を見回し皆、無言で頷いた。

「では、この店はもう使えませんから次回は別の場所で……」
 白仮面に言われた三仮面達は正面玄関と裏口から個別に外へと出て互いの顔を見ることなくチリジリに店を離れた。

 そして白仮面はテーブルに置かれた獲物の書かれたメモとファイルをバックに仕舞うと、自らも裏口から外へ出てその仮面を外し離れた。

 その頃、警察では聞き込み捜査と平行して10歳代までの催眠療法を試していたが、被験者の協力的姿勢も空しく何も出ては来なかった。

 だが、科捜研と法医学の推理は当たっていたものの今一つの詰めに苦しんでいた。

 四仮面達の獲物の作り方は5歳以下の女児を対象に行われたモノであって、万一にも催眠療法などがその年齢に達すると自爆するかのように、被害者達はその人生の記憶の全てを抹消される恐ろしいプログラムがなされていた。

 5歳児から既に獲物として深い催眠術によって構築された女性達は、15年~20年でも鬼畜の美食家達からの暗号のようなモノで操られ、拉致監禁されたのではなく自発的に指定された場所へ集まるように仕向けられていた。

 そして今も10年後、15年後の食料(えもの)のために鬼畜の美食家達は女児に深い催眠術を仕掛け続けていた。

 科学の力も医学の力も及ばない恐ろしい計画は秘密裏に警察の目をかいくぐり様々な場所でそして美少女達に仕掛けられていた。

 それはまるで獲物(おんな)達の牧場のようなシステムであって、喰われる者が自らを喰う者のところへ移動する仕掛けでもあった。

 将来、自分が喰われることを知らぬままに操られる獲物(おんな)に哀れさを感じる。

 そしてそれから数日後、獲物(おんな)達は電話で白仮面に意味不明な言葉を告げられると目を虚ろに電話を切った。

 一人、また一人と総勢25人の獲物(おんな)達は次々に電話で呪文を聞かされ目を虚ろにとある場所へと自ら出向き待ちかねたように、何処かの大きな廃屋の部屋で白仮面に出迎えられた。

 獲物たちは全員(みな)一様に目を虚ろにさせ白仮面の指示したベッドに仰向けに静かに倒れると、そのまま静かに瞼を閉じた。

 スーツスカートの獲物やジーンズ姿の獲物、そしてショートパンツの獲物にワンピース姿の獲物と、それぞれが夫々の服装でベッドに倒れ横になって行った。

 そしてそこへ別の部屋から来た三仮面の人物達は御目当ての獲物(にく)を探しに右往左往して探し回った。

 総勢25人の獲物のうち22人の獲物(おんな)をハサミを使って全裸にし麻酔を打つ白仮面を手伝うように三仮面達もまたハサミを手に獲物(おんな)達を全裸に、使用済みの下着やストッキングの匂いに鼻息を荒くさせた。

 そんな中、白仮面は三仮面達を振り向くことなく、三仮面指定の獲物(おんな)の喰われる部分に局部麻酔をし食い千切りやすいようにメスを入れてあるいた。

 プリ~ンとした内モモ、尻に乳房と獲物(おんな)達は何も知らぬまま自らの柔肌に入るメスに微動だにしなかった。

「今夜は最後の晩餐。 心行くまで肉をお楽しみ下さい…」
 白仮面の言葉に従うかのように赤仮面は目の前の女の汚れた割れ目に舌を押し付けると下から上へとペロリと舐めそして吸い付いて味わってから、御目当てのプリンのような内モモに歯を立ててかぶり付いた。

 血液の溢れるメスの入った傷口に前歯を押し付け口元を血だらけにした赤仮面は、そのままグイッとプルプルした生肉に下顎を使って貪り付くと再び激しい血しぶきが赤仮面の口元に吹き飛んだ。

「難しいでしょう… やはり生は?」
 白仮面は赤仮面の肩をポンポンと叩くと下顎の辺りにもメスを入れ肉を切り裂き、赤仮面は首を振って礼を言うと再びガブリとプルプルした内モモに被り付いた。

 そしてその横で尻肉に被りつく黄色仮面と、その左横に居て乳房を噛み切ろうとする青仮面の額に脂汗が滲んだ。

 白仮面はそんな三仮面を見ることなく獲物(おんな)達から肉を削ぎ抉り取って袋に入れその都度、獲物(おんな)の手当てに奮闘した。

 そんな白仮面を気にも留めない三仮面は個々に仮面もろとも地シブキに顔を真っ赤に染め、噛み込んだ肉を噛み切ろうと奮闘していた。

 そして四十分を過ぎた頃、三仮面の獲物を別にして白仮面は全ての獲物から肉を奪い事後処置を済ませていたが、チラリと三仮面を見回すとソコにはオゾマシイ血だらけの三仮面が噛み千切った肉を口に銜えたまま立っていた。

 白仮面は慌てて三仮面に近づいて獲物(おんな)達の生存を確認すると、慌てて消毒と事後処置に奮闘し、三仮面達は肉を銜えたまま後ずさりして大きな白い皿の上に肉を落とした。

 血に染まった真っ赤な肉とその血生臭い匂いに三仮面達はニヤニヤと笑みを浮かべつつ、白仮面の指示で洗面所で血を洗い流すことにした。

 三仮面達は互いの仮面の下を見ようとせずに只管に顔に水で洗い流すと、再び仮面をつけて血に染まった上着を脱いで別の服に着替えると、炎の燃え盛る暖炉に血の滲んだ服を放り投げて燃やした。

 暖炉の炎は音を立て火柱を大きくしつつ三仮面の上着を飲み込んで行った。

 そして白仮面が用意していたテー部目の前に立つと、用意しておいたパイプ椅子に腰掛けた三仮面を見渡した。

「如何でした? 夢が叶った気分は…」
 テーブルの上に置かれた白い大皿に乗った、内モモと乳房と尻の肉を見回した白仮面に三仮面は大きく頷いて笑みを浮かべた。

「で、召し上がり方は如何なさいますか?」
 三仮面を見渡す白仮面は全員に白いナプキンを手渡した。

「私のは刺身で! 刺身で頼みます!」
 赤仮面は前のめりに声を興奮気味に弾ませた。

「私のは串刺しでミデアムで焼いて貰いたい…」
 赤仮面に釣られるように興奮気味の青仮面もまた上半身をせり出した。

「私のはスライスして軽く炙りで頼むよ…」
 興奮から覚めたように尻肉を前にした黄色仮面は口元をナブキンで拭いてシャンパンを一口飲んだ。

「かしこまりました… みなさん、相当のお楽しみでございましたねぇ~ まるで狼のようでしたよ…」
 口元に笑みを浮かべる白仮面は後ろに用意された調理器具を使って指定通りの料理に取り掛かった。

 三仮面は待ちきれないとばかりにワインをそしてシャンパンで血生食い口の中を洗い流した。

「取敢えずここ一年分くらいの収穫はしておきましたから、ご安心して下さい…」
 白仮面は三仮面に背中越しに取れた肉の話しをしつつ、何やら頬を微笑させた。

 総勢25人にもたっする獲物(おんな)達は、自らの身体から肉が奪われたことすら気付かずに眠り、そしてその横では舌堤を打って食事をする三仮面がいた。

 

 


【四話】

 

 

 包帯に包まれた総勢25人にも達した獲物(女)を左横に見つつ、食事をする三仮面に対して白仮面が声を少し張り上げた。

「今回でお楽しみは暫く停止しますことは皆様存じているところですが、今回は特別にもう三人の獲物を用意しています。 獲物は隣室にて一人に一体ずつ食して頂きます♪」
 白仮面は食事途中の三仮面に声を弾ませた見回すと隣室に視線を移した。

 そして数分後。

「な! 何だこれは!!」
 隣室へと移動した三仮面は一斉に驚きの声を上げた。

 パイプベッドの上に置かれた獲物(おんな)の前に置かれた小テーブルがあって、その上に白い大皿とスプーンが置いてあった。

「今夜は一時停止を祝して、スプーンで何処でも好きな箇所を好きなだけ召し上がって頂けます! 但し、スプーンの深さは2センチ迄に限らせて頂きます♪ さあー! 何処でも思う存分召し上がって下さい♪」
 白仮面は盛大に声を弾ませて三仮面の前に横たわる全裸の美女達を指差した。

「うおおぉーー! これは良い趣向だ♪」
 三仮面達は鋭利なスプーンを手に握り締め思い思いの調味料を見回して、皿を手に獲物(おんな)の周りを右往左往してみせた。

「これはまるで生きたプリンのようだ♪ 正しく鬼畜の美食家にピッタリの趣向♪」
 三仮面達は獲物の両足を大きく開かせ、または真横にさせ更にバックスタイルをさせて肉の柔らかさと肉肌の匂いを楽しんだ。

 美女ばかりを狙った鬼畜の美食家達のオゾマシイばかりの食欲に、白仮面は口元を微笑させつつ、三仮面達の動きを楽しんでいた。

 そして女達は見る見る間に全身が血に染まり、染まった部分を忙しく白仮面が応急処置をして回った。

 その白仮面の動きたるや楽しげにスキップするがごとく軽やかだったことを三仮面達は見る余裕は無かった。

 合計28人の獲物(おんな)達は我が身に起こった事実を知ることなく深い眠りの中にいて、全身が穴だらけに、そして陰部や乳首を削ぎ取られ無残な姿へと変貌して行った。

 そしてその一時間後、三仮面達は満たされた食後のデザートとして獲物(おんな)達が身に着けていた衣類や下着やストッキングの匂いにウットリしつつ、酒で喉を潤した。

 三仮面達の唾液の付着した獲物(おんな)達が身に着けていた物は全て焼却され、携帯も腕時計も指輪もイヤリングにネックレスさえも高温で炎に包まれ灰と化した。

 いつもながら見事な事後処理に発見した警察も法医学者も科捜研の誰もが舌を巻いた。

 そして都度、犯行現場を変え遺留品を一切残さず、神業とも言える治療を施して119番して忽然と姿を消す鬼畜の美食家達は何者だったのか、謎のまま数年間を経過させた。

 この事件は結局、何一つとして手掛かりを見出せぬまま蔵の中へと収められたが、隠密裏に捜査は続けられた。

 だが鬼畜の美食家と名づけられた犯人に対して、自らの肉を喰われた被害者の無念は晴れることはなく、被害者達は我も我もと催眠療法に名乗りを上げたが、結局、警察は何一つ掴めぬままこの事件は終わった。

 そして5年目の夏。

 再び悪夢のごとく鬼畜の美食家達が動き始め、あれよあれよと言う間に一ヶ月で15人の犠牲者が病院に運びこまれた。

 警察は今度こそと活き込んだが前回同様に鬼畜の美食家(はんにん)達は何一つとして残さなかった。

 だが前回と違っていたのはその残忍さだった。

 自ら犯人のアジトへ出向き拉致監禁された獲物たちの身体からは、二つの乳房と両足の内モモ、更には左右の尻肉と陰部までも剥ぎ取っていた。

 犯人自らが119番通報した被害者達は、全員が瀕死の状態で肉は鋭利なモノで剥ぎ取ったのではなく、噛み切った痕跡が多数を占めた。

 女性達は間違いなく複数の人間に身体を噛み千切られた状態だった。

 メディアは鬼畜の美食家復活と書きたて、何も出来ない警察をあざ笑い無能警察と書き捲くった。

 だがその遣り口に、あるメディアは鬼畜の美食家改め、鬼畜の人でなしと書き綴った。

 一人の女性の身体を複数で噛み千切って喰う所業は最早、鬼畜の美食家とは到底呼べないものだった。

 二つの乳房を無くし両足のモモ肉と尻肉そして陰部までも無くした女性達は入院する病院で回復後に自殺を図った。

「こんな身体で生きていけない!!」
 被害者達は次々に自殺を図り病院は已む無く患者達の両腕をベッドに縛り付けた。

 そんな状況を省みることなどしない犯人達は次々に美しい女性達を誘き寄せては、血の滴る生肉に舌堤を売って口元を血に染めた。

 だがそんな犯人達は以前と全く違い犯行現場に残留物を残していた。

「ヤツラは鬼畜の美食家ではない!!」
 犯行現場を直視した警察は元より法医学者、科捜研の意見は一致していた。

 鬼畜の美食家を真似た模擬犯にしては未発表の犯行現場に酷似しているものの、その残忍な遣り口といい残された遺留品といい鬼畜の美食家達とは全く違っていた。

 そして捜査の結果、第二の犯行を前に鬼畜の人でなしは5人全員が逮捕交流されたが、不思議なことに逮捕された5人は互いの顔も素性も何一つ知らなかった事実が判明した。

「催眠療法を! 催眠療法を使わせて頂きたい!!」
 法医学者と科捜研は強い信念を持って警察上層部と協議を始めた。

「恐らく被疑者本人の承諾は得られないだろう… それに了承無くして実行しても証拠採用されない恐れもある」
 警察上層部は催眠療法の使用に消極的だった。

「裁判所の! 裁判所の許可を! 是非!!」
 法医学と科捜研は零冊上層部に対して数時間の説得を試みた。

「恐らく今回の被疑者は何者かに催眠術を掛けられています! ソコから前回の鬼畜の美食家(はんにん)への糸口が見つかる可能性も!!」
 警察上層部は難色を示しつつも説得に応じ検察を交え裁判所と掛け合って見ると言う返答をした。

 そしてそれから数日後。

「畜生ー!! 一体どんな方法を使ったんだ!! 催眠術をかけると同時に被疑者達はそれまでの全ての記憶を無くしてしまう!! これじゃあパソコンじゃあないか!!」
 ガラス越しに催眠術専門の医師を前に、法医学者も科捜研も警察さえもが机を力任せに叩いた。

 すると科捜研の担当者がポツリと呟いた。

「パスワード… パソコンならデータ消去される前にパスワードを打ち込めば全消去は免れるはず!」
 科捜研の担当者の周りを取り囲んだ法医学者や警察達はその言葉に瞬きを忘れた。

 すると立ち会っていた検察官。

「テレビドラマじゃあるまいし……」
 検察官の言葉に全員が大きな溜息をしつつガックリと肩を落とした。

「だが… 待てよ…… パソコンなら一度全消去しても後から復元てのが出来たはず……」
 一人の刑事が呟いた。

「そうか! 一度失敗して全消去させた被疑者の記憶を復元出来れば!!」
 別の刑事が声を大にして叫んだ。

「復元か…… 人間の記憶を一度リセットして復元させていく… しかしそんなことが可能なのか?」
 検察官。
 
「地道な作業ですね相当… しかし、いくら被疑者と言えどそこまでする権利が我々にあるんでしょうか…」
 若手の刑事が声をすぼめた。

「……………」
 全員が言葉を失い一人、また一人と部屋を出て行った。

 そして最後に残った科捜研と法医学者の二人の女性だけがガラス越しに被疑者を見つめていたが、両手に拳を握った二人の手の平からは爪が食い込んで真っ赤な血が滲んでいた。

 この難関を切り開くのは警察か若しくは法医学者か或いは科捜研か、はたまた第三の人物か! そしてこの話は最終局面へと突入する。
 
 次回、最終章へと続く。

 

【完結】
 


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