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絵本の楽屋   by 夏野いばら

「ひとはなくもの」                      みやの すみれ:作 やべ みつのり:作 こぐま社

「子ども心」というもの

たしか、小学校3、4年生の頃だったと思う。
自宅のトイレで悔し泣きしながら、心に誓った。

「私はぜったい、この、子どもの心を忘れない。
私はぜったい、こども心がわかる大人になる。」

それから、自分で自分を落ち着かせ、涙をぬぐい、トイレを出た。
何事もなかった顔をして、大人たちのいる居間に戻った。
-それが、私にとって、大人への第一歩だったように思う。

この絵本を読んで、私の体の奥に残っていた「子ども心」が共鳴した。
説明できない、理由を語れない、起承転結に収まりきらない、子どもの心。

描かれているのは、「子ども心」の一つの有り様、一例。それだけ、だ。
その徹底したシンプルさは、「子ども心」の本質を表現するのにふさわしい。

この絵本、人気です。ネットや新聞で紹介されるとき、ことさらに作者の「素性」が強調されます。でも、そんなことは、どうでもよろし…。

作品が良ければ、作者は誰でも良いはずですし、知ってしまえば、逆に作品への興味を失う人もいるはずですから。あやうく、私もそうなるところでした…(笑)

まずは、先入観なしにお楽しみください。

 
 








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