「指定席」をもらえる安心
他愛もないお話なのに、
読み終わるとほっとして、何となく心が落ち着く、このシリーズ。
どうしてかな…?と自問してみた。
それは、十匹もいるおばけたちに、それぞれ、
ちゃんと「指定席」が与えられるからだ、と気づいた。
そもそも、出自がはっきりしないおばけたち。
「どこから来た? 誰から生まれた?」
その疑問は、ちょっぴり寂しいテーマとして、
このシリーズを通底している。
しかし、そんな、どこの誰ともわからぬおばけの一匹、一匹に、
それぞれ、きちんと「指定席=居場所」が与えられる。
誰も忘れられず、誰も放置されない。
その過程に、安心させられるのだ。
「10人は多すぎる。5人、いや、3人で十分だ」とは、誰も言わない。
「あっちへ行け」と、言われることもない。
それどころか「どうぞ、ここへ」と、座らせてもらえる。
声なき、力なき、小さな者が、それぞれに尊重される世界。
それは、まるで「天国」のよう…
そう言えば、イエス・キリストは
「神の国は、このような幼い子どもたちのもの」と言われたのでした。
(ルカによる福音書18章より)
2002年から続く人気のシリーズで、8冊あります。
あなただったら、どの椅子に座りたいですか?