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絵本の楽屋   by 夏野いばら

「ラチとらいおん」                     マレーク・ベロニカ:作 とくながやすもと:訳 福音館書店

いつも一緒にいてくれる「神」
  
いつも一緒にいてくれて、必要なアドバイスをくれて、難局を切り抜けさせてくれる。
この小さなライオンのおかげで、主人公ラチは、とうとう友達を助けられるまでに、成長していく。

いいなー…私もポケットの中に、こんなライオンがいてくれたら…

あれ? だけど、なんか、これって、どこかで聞いた話のような気もする。
キーワードは「いつも一緒にいてくれる」。

そうだ、聖書が教えるイエス様は、「インマヌエル=共にいてくださる神」だ(注1)。              

神様には、いくつもの「呼び名」「肩書」がある。「全知全能の神」「創造の神」「癒しの神」「救いの神」「勝利の神」「正義の神」「天の父なる神」…。

けれど、どんなにすごい神であっても、私と共にいてくださらなければ、そばにいてくれなければ、意味がない。離れて見てるだけの神は、私には意味がない。

全知の神は、もちろん、そのこともご存じだった。だから、約二千年前に、イエスという人間になって、この世においで下さった。そしてしばらくの間、ふつうの人として、イスラエルの民と共にいて下さったのだった。

さらにイエスは、十字架の死から復活されたあと、聖霊として、信じる者と共にいてくださるようになった。つまり、今も、私たちと、ともに、いて、くださる。

だから私たちは、ラチをうらやましがる必要は、ない。
ポケットの中にライオンをほしがる必要も、ない。

代わりに、自分の心の中の、友なるイエスに語りかけるべきなのだ。
「ちょっと、どうしたらいいですか?」「これって、どういうことですか?」と。
落ち込んだ時はもちろん、そうでない時も、いつでも!
ラチがライオンと共に歩いたように、私もイエス様と。

この絵本。今もたいていの書店の児童書コーナーに置かれている、現役・人気・定番の絵本です。初版はハンガリーで、1961年。手元の福音館書店刊・日本語版には、何と65刷とあります。

時代を超えて、洋の東西を越えて…
いつも一緒にいてくれる、共なる、友なる、イエス。
その御姿の片鱗を、思い出させてくれる絵本です。


注1)聖書記者マタイは、キリストの生誕を次のように紹介しています。
  「その名はインマヌエルと呼ばれる。それは訳すと、『神がわたしたちと友におられる』という意味である。」          マタイによる福音書1章23節 新改訳聖書2017
 他にも、キリスト自身の言葉として、次のような言葉が記されています。
「見よ。わたしは世の終わりまで、いつもあなたがたと共にいます。」
                      マタイによる福音書28章20節 新改訳聖書2017「恐れるな。語り続けよ。黙っているな。わたしがあなたと共にいる。」
                       使徒言行録18章9~10節  新共同訳

 

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