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かふぇ・ぐらんのあ~る

短い小説・創作詩・お茶・お菓子や日常のちょっとしたことを書き綴っている空間です。お気軽にお越しください。

着付けって言うのはね?

2012-06-07 00:08:33 | 戦国バサラ
さて…
トンでも発言から一週間たった。ここ、小田原は平和

「めんどくさぁぁぁぁぁ!!!!」
「だめだって、ここはきちんとね…」
「だって、二部式着物の方が簡単だもん」
「なにそれ?そんなものあるわけないじゃん」
「オカンのくせに生意気だぁぁぁ!!」
「俺様オカンじゃないから!!」

小田原城内は、相も変わらず騒々しかった。この異邦人のせいで……

ヒュンッッ
カツカツッ!!

乾いた音を立てながらクナイが彼らの間を(というより、佐助を狙って)引き裂く。

「危ないじゃんか、風の旦那!!」
「プイッ(うるさい、少しは静かにできないのか!!)」
「あっ!風魔くんじゃないか!お仕事お疲れ様!!」
「ふー…(まだやってるのか……)」
「だってさ…」
「風の旦那も言ってやってよ。後はこれだけなんだよ。なのに出来ないんだからさ」
「オカンはやり方がわかりずらいんだってば」
「宰夜ちゃん?」
「……すみません佐助様……もう一度ご教授願います(土下座中)」

そう、いったい何をやっているかと思えば、着物の着付けだったりする。
彼女、宰夜は掃除、洗濯、料理のイロハは完璧な女性だった。特に、
黒豆炊かせたら天下一品。本人曰く、好きなものはとことん追求して
美味い物を作る。それはだれにも止められない。と、豪語している。
ところが、そんな彼女の唯一の弱点が、着物だった。
いま、彼女は目の前に置かれた北条家の女中さんの制服である水色の
着物を何とか着こなそうとしている。が、なぜか着始めるとどこかしら
緩み、紐があり得ないところからはみ出し、帯が雪崩のように崩れていくのだ。
最初は懇切丁寧に教えていた女中さんたちは、あまりのことに閉口し、女中頭
の佐和さんは教えるのに匙を投げた。そして、彼女を甲斐の国へ連れていくために
準備していた佐助がここに到着したとき、女中さんたちはもとより、北条家の忍達や
風魔一党の忍びたちまでもが
「ここは家事をやらせれば伝説級の猿飛佐助に縋るしかない!!」
といい、現在に至る。

「ねえ…どうしてこんな風になっちゃうのかな?」
「わかんない」
「この紐何?」
「ん~?」
くいっっと端を引っ張れば……

しゅるるん……ばさっ

その場に落ちている着物と帯……?
なぜ???????

理由は簡単。ニッコリ笑顔で水色の忍服を着ている宰夜がいた。

「いっつはみなこー!!」
「「?????なにやってんの!!!」」
「ん?早着替え」
「こんな残骸残して?」
「つんつん(この服はどうした?)」
「んっ?…ああ、これはねえ、近くにいたお忍びくんをひんむいてみたぁぁ(にっこり)」
「「・・・・・・・」」
「わたしって、すごい!!」
「凄くないから!!!」
「はぁー…(はやくここからでてってくれないかなぁ)」

オカン佐助の説教をのほほんと聴きながら、宰夜はこれから行く甲斐の国とやらに
思いをはせていた。



※宰夜にムカレタ哀れな北条忍は近くの空き部屋の押し入れに簀巻きにされていました。



番外編 : バレンタインだからね。やってみたのさ♪

2012-02-13 21:54:10 | 戦国バサラ
かちゃかちゃかちゃかちゃ
こんこんこんこん
さらさらさら
とろ~~り
ぐぐっとぐぐっと


さきほどから北条氏政公の居城の一角で、妙に甘い香りと
不可解な音が聞こえている。
その音が聞こえてくる場所は、ごく普通の厨。まわりには
ここに勤めている女中たちが遠巻きに様子をうかがっていた。
もちろん、天井裏にはここの精鋭・北条忍者隊と風魔一党の
忍が同じように様子をうかがっていた。

「♪~あとは焼くだけ♪~……と?………ん???」

宰夜は楽しそうに鼻歌を歌いながら鉄板の上にたくさんの
煎餅の様なものを並べていた。そして、彼女の隣には
即席のオーブンもどきが作られていた。
この鉄板たちと、オーブンもどきは彼女が落ちて来た頃に
『あると便利な調理機材!!!』
と豪語したものだった。そして、これを何故か風魔小太郎と
猿飛佐助・本多忠勝の三人に(無理矢理)手伝ってもらい
作り上げたのだった。鉄板に関しては、本多忠勝から提供された。
(というより強奪した)
楽しそうに火加減を見ながら一心不乱にひたすら煎餅もどきを
彼女は作り続ける。後ろの台には数種類の焼きあがった煎餅もどきが
小山のようになっていた。
やがてあたりは何とも言えないほど甘いにおいが漂いだし………
美味しそうだ。

「ねえ、風魔。宰夜ちゃんに呼ばれて来たんだけど……このにおい何?」
「くいっ(あれだ……)」
「なんだろ?……あっそうそう、本多忠勝も庭にいるよ。宰夜ちゃんに
 呼びつけられたってさ」
「!!(相変わらず何考えているんだ?あいつは……)」
「さあねぇ。俺様でも暴走は止められないからね……」
「じー…ぽんっ(苦労が絶えないな…おつかれさん)」
「うん………ありがと……」

彼らの会話が弾んで(!?)いる頃、宰夜は隣の台の上にたくさんの
笊を並べ、それに色とりどりの薄布を敷くと焼き上げた煎餅もどきを
順番に入れていったのだ。そしてそれが終わると、用意してあった
これまた色とりどりの風呂敷に包んでいった。

「でーきた!!!」

満足げにそう声を上げ女中たちの方をみる。

「「「「「?????」」」」」

何が出来たのだろうか?
恐る恐る彼女の方に近づいてみると

「はい!これどうぞ」

女中たちに小さいながらもかわいらしい風呂敷包みを渡していった。
「あの…これは?」
「はい、甘味ですね。クッキーと言います。皆さんにはとても
 お世話になりましたから、お礼です。ほんとは[友チョコ]を
 あげたいんですが、ここじゃ手に入らないのでクッキーにしました。」
「ともちょこ…ですか…」
「はい、あ…天井裏の忍びの皆さんの分もありますよ~」

大きな籠の中にたくさんの風呂敷包みが入っている。それはきちんと
二籠。風魔一党の風呂敷は白と黒のモノトーン。北条忍者隊は水色。
受け取りたいが、頭領の小太郎がいる為どうしようかと天井裏の
彼らは考えていたが、小太郎が軽く風を送り了承の意を表したので、
その場に降り立つと、

ぺこり…ささっ…しゅたっ

あっという間に籠は消えた。その様子にくすくす笑っていた宰夜だった
が、

「風魔さん猿飛さん。いらっしゃってますよね」

そう声をかける。彼らはすんなり彼女の前に姿を現した。

「お呼びかな?宰夜ちゃん」
「……(なんだ?)」

二人を前にして、宰夜はちょっと緊張していたが……深緑の風呂敷と
赤と黒の風呂敷包みをそれぞれの前に差し出した。

「お二人とも、いつもありがとうございます」
「「???」」
「えーっとですね。中にはクッキーという甘味が入ってます。」
「俺様たちにもくれるの?」
「・・・こてっ(いいのか?)」
「はい。私の暮らしていた場所では、2月14日はバレンタインデー
 というものがありまして、その日だけは女性から男性に告白できる
 というイベント……」
「「告白!!!!???」」
「それ以外にも、お世話になっている方に差し上げたり、友達に甘味を
 あげたりするんです。お二人にはとってもお世話になりましたから
 あげたかったんです………だめですか?」

ちょっと赤くなりながら、宰夜は彼らの前に風呂敷包みを差し出したまま
上目づかいで見つめている。……かわいい……
そう思ったのは彼らだけではあるまい…………
そして二人はちょっとだけ照れつつも、それを受け取ったのだった。
その後、本多忠勝のもとへやっぱり大きな籠を持って走っていき
それを渡していたりする宰夜だった。
そんな彼女の様子を見て、何気なく風呂敷包みを二人は開けてみると
確かにたくさんのクッキーというものが入っていた。ただ、女中たち
が貰っていたものとは形が違っていた。

それは………さまざまな大きさの……❤だった……

なんでこんな形なのか二人にはわからないが、籠の下には隠された
メッセージが書かれていることに二人はまだ気が付いていない。
メッセージは

いつもお世話掛けてすみません。ありがとうございます。
これかれもよろしくお願いします。   大好き!!!

気がついたとき、彼らはどう彼女に接するのだろう・・・

そんな平和な小田原だった。

背負いこむのがオカンの性・・・

2011-10-05 17:50:08 | 戦国バサラ
まっそんな感じで(どんな感じだ!)この世界に来てしまった
跨月宰夜だった。その話を半分呆れつつも、男に自分の彼を盗られた
という事実(しかもその相手が身内)という所で、涙を浮かべている
オカンがいた。さりげなく手ぬぐいを唇でかみしめているようだ。
それはむしろ私がしなくてはいけないモノでは?という突っ込みは
とりあえず心の中でだけにしておく。

「では、跨月殿はこれからどうするつもりだ?」
『ああ……行くあてもないので、とりあえずここの常識を
 教えてもらってから、諸国漫遊?みたいな感じで』
「風来坊の前田の旦那のようなことしちゃダメでしょ!!宰夜ちゃん
 女の子なんだから!!!」
「そうじゃそうじゃ!!右も左もわからない女子がうかつに旅など!!
 風魔、お前もはんたいじゃろう!!」
「……フルフルフル[俺は主が無事ならどうでもいい]……」
『だったら……常識教えてもらったら、働きます。体力あるし……』
「働くって………どうやって?」

得体のしれない女なんて雇ってくれる店なんてそうそうない。ここは
北条氏政の治める小田原だ。今は治安が安定しているから、そうそう
物騒なことはないが、またいつ戦が始まるかなんて誰にもわからない。
女一人放り出しても何かが変わるわけではない。彼女はただの女では
無いのが厄介なのだ。そんな彼女がここの常識を覚えたところで、自分
の身を守るすべを持っているわけではない。何よりも、彼女が『未来』
から来た事実が大問題なのだ。未来の技術がもしも他国に流れたら?
彼女にとってはなんでもないものでも、この戦国の世では脅威になる。
甲斐の忍・猿飛佐助はおそらくは主を守るために不穏分子は全て闇に
葬るだろう。それはここにいる伝説の忍・風魔小太郎も同じことだ。
徳川家康は、氏政公とともに彼女の意見を聞いているが、その危機感の
なさに、少なからず好感をもっているようだ。とうの宰夜はというと、
働くということに自分が出来そうなことを考えていると

『…水商売?……』

得体のしれない女でも雇ってくれて、実入りのいい仕事。身売りじゃ
無いから、まあ大丈夫かとおもって宰夜は言ったが

「「「「だめだ(じゃ)!!ブンブンブン[何考えてる!]」」」」
『えっ?なんで???』

全員に烈火のように怒鳴られた!!!!
その上オカンには泣かれた………(おい、いいのか?オカン)

「おまえ、いくらなんでもそこまで思いつめなくてもいいだろう!!」
「宰夜、お主に身売りをさせるなど、わしが許す訳がないじゃろう!!」
「ブンブン!![主を殺す気か!!このバカ娘!!]」
「宰夜ちゃんの常識は俺様たちの中では非常識だよ!!そんな事絶対に
 しちゃダメだからね!!そんなことするくらいなら!!!」
『……するくらいなら??』
「俺様が連れてっちゃうから!!」
「「どこに(じゃ)?」」
『えっ??』
「どこって…甲斐にだよ!!!………あれ??」
「……フッ[馬鹿が……]」

どうやら、世話好きのオカンのおかげで、小田原から甲斐に逃避行……
もとい、お引越しのようです。
 

さあ、ふりだしに逆戻り

2011-09-14 16:11:39 | 戦国バサラ
跨月宰夜
年齢 28
性別 おんな(いちおう)
職業 会社員
趣味 読書・散歩
好きなこと ・まったりティータイム 
      ・ぬくぬくお昼寝
      ・月身酒(花見酒)

付き合っている人→ 一人(くすっ)


これが、この世界に来る直前までの私の世界。
会社では「お局様」(今でも言う人たちがある)という古株の
社員だ。けして目立つ人間ではないが、それなりに会社では
きちんと仕事をしていた。日課と言えば、朝起きてご飯食べて
会社に出社。お昼は自前の簡単オムスビと野菜ジュース。
定時に退社、運が良ければ、帰り道でお散歩わんこのウォッチング。
そして、たまには彼のおうちに遊びに行く(お泊りvv)
ところが、この日は会社でいろんなトラブルが起き、仕事が出来ないということで、
半日で会社から帰ったのだった。夕方には彼のおうちで楽しい夕食と
映画を見る約束だった。せっかく早く帰れるのだから、そのぶん早く彼に会いたかった。
材料買って、電話を掛けながら電車に乗り、彼のおうちの玄関の前。
開けようとしたら、

「………!!!」
「…!!!!………」

人の話し声。ドアノブに手を掛けると
がちゃり
すんなり開いてしまいました。そして中に入ると、男物の靴が……2足。

2足…………

彼の靴ではない靴が、目の前に2足。

お友達が来てるのかな?

「こんにちは~。ちょっと早いけど、来たよ」

能天気を装いながらそう声をかける。けれど、

「………!!!!………」
「…vv……vvv……」
「…………………!!!」

奥の部屋から聞いてはいけない声を聞いた。
私の手から、ゆっくりと材料の入ったマイバックが滑り落ちてガチャンと音をたてた。

ああ、中に大好物の黒豆の瓶詰が入ってたっけな……

どのくらいの時間が経ったのかわからないが、人の気配が奥の部屋からこちらに
向かてくることで、我に返ると、

「あれ???」

見覚えのある男がたばこを咥えながら立ち止った。その後ろには、やっぱり
知っている人(男)が頭を掻きながら立ち止った男の背にぶつかり

「おい、なにやってるんだよ……っと???あれ?」

立ちつくしている私を見て、彼らは息をのむと一番後ろにいるこの家の主を
振り向いて見つめた。

「………あ………」

私と彼らの間には、ただならぬ空気が流れている。

〈彼の浮気現場を目撃して彼女と乱闘騒ぎで警察ざた〉

とは、よく聞く話だが、

〈彼の浮気現場を目撃して彼氏達と乱闘?!〉

なんて、だれが想像するの???
神様……私は何か悪い事でもしたんでしょうか???

現実逃避していたい私を、容赦なく現実に引き戻したのは私の会社の
社長と私の弟の声だ。

「「宰夜!!!しっかりしてくれ!!!」」

青くなっている彼らの顔をぼんやり見ながら

『社長、会社でパソコンがクラッシュして業務が出来ないそうですよ。
 指示を仰ぎたいと上司が泣いてました。何とかしてやってください。
 それから、克己。お前の組んだシステムが原因の一つらしいぞ。
 社長と一緒に何とかして来い。』

なんでそんなことしか思い浮かばないんだろう。
泣き叫べばよかったんだろうか?キレて三人に殴りかかればよかったのか。
私の心は凍りついて、考えることを放棄した。彼らは必死に取り繕うとした。
けれども、かれらの服からかすかに見える”印”は間違う事のないモノで……

『もういいから………帰る………』

そう言うのが精一杯だった。

「「「宰夜!!!!」」」

彼らの声が追いかけてきたが、振り向くことすら拒絶した。
ただただ、私が……バカだったのだ。

社長がゲイだと言った時は何とも思わなかった。それも有りだろう。
好きな対象が同性だっただけなのだから。
弟が好きになったのが同じクラスの男の子で、私に相談した時も
愛も恋もいろんな形があるもんだと、特に反対はしなかった。
好きな相手といつまでもいられるのなら、こんなに素敵なことはないだろう。
たまたまそれが同性だっただけなのだから。
ただ、くれぐれも他人様に迷惑だけは掛けてくれるなと、彼らには言ったことが
昔あったのを、電車に揺られながら思い出していた。

いくらなんでも身内の(ねーちゃんの)彼氏を好きにならなくても………

ショックがでかすぎて、アパートの途中にあるコンビニで適当に何かを
買い、酒をいくつか(何を買ったのかもあいまい)買って家路に着いた。

部屋に入ると、電話が赤く点滅している。どうやら留守電が入っているようだ。
再生するのも面倒で、放置していると、

コロロン  コロロン

《はい。跨月です、メッセージを残してくださいな》

[ねーちゃん、帰ってるか?話がしたいんだ!!電話に出てくれ]

弟の必死な声が聞こえてきたが、私には、もうどうでもよかった。

コロロン  コロロン

《はい。跨月です、メッセージを残してください》

[跨月!!私が悪かった!!!説明したい!!電話に出てくれ!!!]

社長の声も必死に訴えかけていた。でもどうでもいいのだ。
鞄の中から聞きなれたメロディが鳴る。みれば弟の名前が表示されていた。
携帯電話から電池を抜いて、そこらへんに放り出す。ガチャンと音をたてて
床に滑って行った。

ぷしっ  ごくごくごくごくごく
ぱきん  ごくごくごくごくごく
しゅぽん ごくごくごくごくごく

買ってきたものを次々開けて、気を失うようにソファに倒れた。

チカチカ 赤い点滅 チカチカ 聞こえる声


どれくらいの時間眠っていたのか、ゆっくりと瞼を開けると、真っ暗な部屋。
冷たい空気が今の自分の心を代弁しているようだ。重い体をなんとか起こして
玄関ドアを見てみると、きちんと鍵が掛っていた。ドアチェーンも忘れずに。
どんなに心がきつくても、日常でやっていることが無意識にきちんとできるのだから
少々笑ってしまう。どうしていいのか分からないが、ひとまずこの疲れた体を
労わろうと風呂に入ろうとおもった。相変わらず点滅と呼び出し音が繰り返される
電話を見て、ジャックを引っこ抜き、冷蔵庫から缶ビールを引っ張り出して
脱衣所に無造作に置く。思いっきりシャワーを浴びて、のんびり湯船に入れば
抜けきっていない酒の酔いがくるくると体をめぐってくる。ほわほわした気分のまま

「ああ~日本のどこかに~私をつれってって~~冒険しようよ~♪」

かなり滅茶苦茶な歌を歌っていた。自分的に楽しい♪

ざばあああああん

勢いをつけて湯船を出ると、

[楽しそうだけど、悲しいみたいだねお姉さん]

どこからか子供の声がした。

[どうだい?探しに行ってみるかい?戻ってこれるかはわからないけど?]

ルームウェアとタオルを頭にひっかけて半分ぬるくなった缶ビールを持つと

『よっしゃあ!!いってくるぜぇーーー!!!』


旅立ちってこんなもんさ。










桜月夜に散りゆくは?

2011-09-10 21:45:24 | 戦国バサラ
小田原城本丸御殿

その一室に、少々変わった集まりが展開していた。
庭に面して控えているのは、戦国最強・本多忠勝。
その横に伝説の忍・風魔小太郎。
廊下を隔てて開け放たれた部屋の中には、
小田原城城主・北条氏政。
その隣には 徳川家康。
彼らと対面するように
忍べてない迷彩オカン・猿飛佐助
そして………

『えーっと………跨月宰夜と申します。』

一番後ろにちょこんと正座した彼女がいた。

「この城の主・北条氏政じゃ。」
「わしは徳川家康。庭にいるのがわしの家臣
 本多忠勝だ。その隣が、氏政公に仕えている
 風魔小太郎という。伝説と言われた忍だ。」

宰夜に自己紹介しながら、庭にいる二人のことも
しっかり教えてくれるあたり家康はとても親切だった。
彼の言葉にうなずいていると

「俺様は甲斐・武田の猿飛佐助。」

迷彩オカンはもう一度宰夜に名前を名乗った。

『はい、細腰の猿飛さんですね!』
「………細腰から離れようか………宰夜チャン?」
『はーい』

頭がいいのか天然なのか?よくわからないままとりあえず
各自名乗りを上げたわけなのだが、ここで一つ問題が出てきている。

なぜ?甲斐・武田信玄配下の忍である猿飛佐助がここにいるのか?

偵察か、偵察か……暗殺か……その帰りか(まてっ)

かしこまった猿飛は、北条氏政に懐から大事に包まれた布袋を取り出すと、

「わが主・武田信玄よりの書状をお届けに参上いたしました」

そう言って、氏政の前に差し出したのだった。

「それでここに来たのか。」
「はい」
『………おつかい………』
「なんか………子供みたいに思っていないかな?宰夜チャン???」
『いや……お疲れ様です』
「………うん。ありがとう」

気まずい雰囲気のままの宰夜と猿飛のことをぬるい目で見守りつつ

「では、宰夜よ。お主一体どうしてここにやってきたんじゃ?
 〈静岡の里〉とはいったいどこじゃ?」

氏政の問いかけに、少し困った顔をしながら

『あの………信じてもらえないと思いますが……私は……』

跨月宰夜は彼らに自分のいた場所・ここに来た経緯をゆっくりと
話し始めたのだった。

勘違いは訂正するに限る

2011-09-04 10:56:43 | 戦国バサラ
夜桜が美しい小田原<栄光門>の前。
只今極寒の吹雪で遭難警報が発令中です。その理由は……
跨月宰夜の『夫婦』発言が原因。
吹雪に体が凍りついているのは、徳川主従と北条氏政公。
本気で(佐助を)ヤッテしまおうかと刀を構えて殺気立つ伝説・風魔小太郎。
風魔の殺気と彼女の発言で自分の立場がすでに終わっているかわいそうなオカン・猿飛佐助。
そんな彼らを知ってか知らずか、彼女跨月宰夜はとりあえず泣きやんではいた。
周りの空気があまりにも凍えていたからだ。

『………えーっと………?』

もう一度周りを見回してみる。すでに缶ビールは飲みほして空っぽ。酔いも若干醒めてきつつある。
よくよく見れば、自分のいた時代(世界)からこれまた随分時が遡ったようだ。だって、目の前に
いかにも老成した武士(殿様っぽい)や、とりあえず忍者っぽい人がいる。ただ良くわからないのが、
その横に腹筋割れてる青年と、なんか某ロボットのようなモノ(人??)がいるのが、時代的に自分の
いた世界とは違う。タオルで顔をゴシゴシこすって、後ろの美声の主を見れば、

ポンチョ????
細腰
顔も良し………

なぜ迷彩柄???????

尽きぬ疑問は数あれど、それ以上に訂正すべき問題があることに漸く気がついた。

『あ、ごめんなさい。女性かと思って!』

もう一度、ちゃんと佐助に向かって宰夜は頭を下げたのだった。

「「「「……………」」」」
「どこらへんで間違えたのかな?俺様って言ってるんだけど?」

かなりご立腹な佐助に

『会話?と細い腰でしょうか………』
「女に間違えられるような会話してないよ。それに俺様の細い腰がどうかしたの?」
『いや、だって女の人でもそんな細腰滅多にいませんよ!うらやましい!!!
  それにあちらの忍者っぽい方と私のこと好みじゃないとか、浮気はだめとか??』
「言ってないから!!!!あんたのことは好みじゃないけど浮気ってなんだよ!!」
『えっ!!!あのひとがあなたをかわいいやつって笑ってみてたじゃないですか??』
「風魔の旦那がそんなこと言うはずないじゃん!!」
『あ、でも旦那さんなんですか。やっぱり』
「ちっがーーう!!!!」
『じゃあ、どうして旦那さんって忍者さんを言うんですか?』
「……俺様、そういう感じでいつも呼んでるの。」
『ああ!!私が言っている忍者さんの(さん)と一緒の意味ですね。重ねて失礼しました。』
「う………うん。わかってくれればいいんだ。」

どうやら、ようやく誤解は解けたようだ。

「誤解が解けたところで、もう一度聞くけど………あんた、いったい何?」

佐助の問いにちょっとだけ困った顔をした宰夜だったが、

『うーん……最初から説明した方がいいでしょうかね?』

苦笑しながら答えてみれば、

「是非!!!!そうしてくれる?」

佐助は満面の微笑みを浮かべつつ黒いオーラを立ち上らせたのだった。
(嘘は許さないからね。洗いざらい話してもらうから)
そんな事を感じさせるような意味を込めて。

「おお、では立ち話もなんじゃ。部屋で聞くことにするかのう。風魔、いくぞ」

氏政公……あなたに危機感はないのか?
そして、すんなり従っていく伝説。佐助をほっておいてそれでいいのか?
徳川主従も彼らの後をのんびり付いていき…………残されたのは、オカンと宰夜。

『行っちゃいましたね………一応私不審人物ですよねえ……』
「うーん……なんだかなぁ……あぁ、一応自覚あるんだ」
『まあ。』
「とにかく、行くよ」
『はい。……あ、そういえば………』
「ん?なに?」
『どうやったらそんなに細い腰になれるんですか?』
「いまそこ聞く所なの????」

猿飛佐助……彼の受難はまだまだこれから……





―◇―◇―◇―◇―◇―◇―◇―◇―◇―◇―◇―


ここまで読んでくださりありがとうございます。
もしもコメントいただけると励みになります!!
これからもがんばりますのでよろしくお願いします。
                 翡翠翔波(管理人)

助ける?タスカル?萌えてみる??

2011-08-29 21:16:57 | 戦国バサラ
さあ、役者がそろった<栄光門>前。
北条主従に、徳川主従。彼らの前には自称『器用貧乏お局様』の跨月宰夜。
そして、全国オカン連盟筆頭(まてっ)真田のオカン(こら)、割烹着
着せたら日本一(それはどうかと……)忍べてない忍代表・猿飛佐助が
クナイを宰夜の首にあてて立っていた。

チクチクチク………

なにやら、ご立腹のようだ。首には薄ら血が滲みだした。
宰夜の前にいる四人は、オカン忍者佐助の出現で警戒態勢をとっている。
といっても、警戒してるのは《最強の本多》と《伝説の風魔の二人だが……
宰夜は、首がチクチクしていてちょっとやな感じだと思っていたが、
それ以上に、後ろにいるオカンが気になってしょうがなかった。
なぜなら……………


声が思いっきり好み(そこんところ重要だよ!)
だったから!!!!



『いや、あれだよ!!もうたまらん!!!お持ち帰りしたいくらいだよ
 だってさ、こんなに好い声なんてお目にかかったことなんてないし、
 もしも神様がいたんなら、生きててよかった!!!って思うよ!!
 今までのトンでも男になびいてた愚かなさーやを許しておくれ!!!!』


まさか心の中で思っていた言葉を、しっかりと口に出しながら、宰夜の心の声(もどき)
は止まることはない。というより、すでに自分の世界にどっぷりとつかっている模様だ。
その萌えっぷりに誰も近寄れない。(というより寄りたくない)

「「「………(誰か止めてやれよ………)」」」

氏政公と徳川主従はドン引き状態ながら(毒気を抜かれた)その場に佇み、宰夜の
萌えタイムが終わるのを待つことにした。だって、彼女が萌えている相手は自分たち
じゃないのがもうわかっているから。そして、その人物と無言の攻防戦をしているのは
伝説とオカンの二人の忍だ。

「(なんなのこの子!頭おかしいんじゃないの!?どこの間者だよ!!風の旦那
  この子どうする?一緒にヤッちゃう?)」
「ふるふる(俺に聞くな。オカンと呼ばれたのはお前だろ、お前の女じゃないのか)」
「じっ冗談じゃないよ!!!こんな変な女俺様好みじゃないから!!!!」
「じとーー(ほーう…かなり悪趣味だと聞いているが?)」
「あーのーねー。いくら伝説の忍と言われる旦那だからって、俺様容赦しないからね」
「ふっ(やれるものならやってみろ)」

伝説とオカンの間に見えない火花が飛び散っている模様です。
そして萌えていた宰夜は彼らの会話をしっかりと聞いていたのだ。その会話が彼女には
こう聞こえていたらしい。

「ねえ、久しぶりに会えたのに、随分冷たい態度だね。俺様寂しかったのにさ……」
「ふるふる(馬鹿言うな、俺だってお前と同じだ。それとも、こんな女の方が?)」
「じょっ冗談じゃないよ!!こんな変な女俺様好みじゃないから!!!」
「じとー(そうか?そのわりには嬉しそうに呼ばれて出てきたではないか)」
「あーのーねー。いくら伝説の忍と言われる旦那だからって、俺様(浮気は)容赦
 しないんだからね」
「ふっ(あいかわらずかわいいやつだな)」


以上恐ろしい彼女の空耳ぷり。しかも、あんなに独り言をマシンガントークのように
言い続けていたのに、いまはぴたりと口を閉ざし…………伝説と後ろにいるオカンを
感じながら、見る間に顔色が蒼くなっていった………心なしか震えている………

「「「「「?????」」」」」

彼女の変貌ぶりにようやく自分が置かれた状態を理解したのだと五人は思った。しかも
彼女の顔色の悪さに少々心配にもなった。
宰夜の顔は血の気が失せて、目にはいつの間にか大粒の涙が今にも零れ落ちそうだ。
ますますもって、彼らは焦り始めた。

「あ………あのさ……」

一番近くにいる佐助が、少しだけ柔らかい声で宰夜に声をかけてみる。

ヒック…………ヒック………

後ろにいる佐助からは嗚咽しか聞こえない。だが、四人は彼女がとても悲しげに
涙を流し口元を両手で隠して泣いているのが見えていた。

「あ………あのさ………ごめんね。痛かった?」

佐助がクナイで付けた傷をそっとなでながら、宰夜に謝まると、

ふるふるふる

首を横に振りながら消え入りそうな声で

「………ごめんなさい………」

と謝ってくる宰夜の声が返ってきた。

「いや、こわがらせたのは俺様だからさ。うん、ごめんね」

クナイをしまいながら、佐助は宰夜にもう一度謝った。
だが、この後の彼女の言葉はここにいる全員を凍りつかせることになる。

「だって、あなたとあちらにいるあなたの旦那さんが私のせいで
夫婦喧嘩しちゃったんだもん。ほんとうにごめんなさい………」


ぴしぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃぃぃんっっっ

彼女の言葉によって、彼ら五人は極寒の雪原に放り込まれたのだった。
春なのに………

オカンは見た!?

2011-08-26 21:15:31 | 戦国バサラ
こちらは難攻不落で知られる<栄光門>の前。
そこにいるのは、戦国武将の声高き
・北条氏政
・徳川家康
そして戦国最強
・本多忠勝
伝説と怖れられたる
・風魔小太郎

と………………

『はぁ~~~桜咲いた咲いた♪』

タオルを肩にかけ、落ちていた桜の枝を左手に持ち
陽気に踊りだした跨月宰夜の姿があった。彼女は……すこぶる
機嫌がよく、右手に持っている缶ビールをマイク代わりに
熱唱しながら踊っている。

「……………!!!」
「****??」
「歌は奇妙だが、楽しそうだのう。」
「うんうん、忠勝、お前がこの楽師を呼んだのか?」
「!!!!!(ぶんぶんぶんぶん)」
「そうか、じゃあ風魔殿か?さすが伝説だなあ」
「!!!!(ふるふるふるふるふる)」
氏政公は楽しげに宰夜を見守っている。そして、家康公はこの奇妙な
娘を忠勝が連れてきたと思っていたが、彼に思いっきり否定されていた。
ので、風魔の方を見て納得したのだが、彼もまた自分ではないと必死に
否定していた。
最強と伝説が必死に首を横に振る姿………シュールだ……

そんな事など気にもせず、宰夜は見事に『桜音頭』を歌い踊りきった。

「ん~~~~~~~~、さいっこーーーーーー!!!!」
酔っぱらいは無敵だ。未だに状況を把握していない。ついでに傍観者が
増えているのを気がついていない(付いていても放置の方向で)

ぐびぐびぐびぐび………ぷっは~~~~~~

入っていた缶ビールの中身を半分飲み、喉を潤すと、

「…………んっ?」
 
四人の視線にようやく気がついたようだ。

………じーーーっ…………
「「「「……………」」」」


視線はさくさく(ざくざく?)彼女に刺さり、彼女もとりあえず
にこやかにそれを見ていた。じたばたしたって始まらないから。

「おぬし、名前は?」

最初に口を開いたのは、氏政公だった。もちろん彼や家康公を守ろうと
最強と伝説は臨戦態勢をとっている。それをみて、

「あ、はい。わたくし、生まれも育ちも静岡の里です。
  そこら辺にある川で産湯を使い、姓は跨月・名前を宰夜。
  人呼んで、器用貧乏なお局様・さーやでーーーーす!!!」

どっかの風来坊な名乗り口上を真面目に言い切った宰夜。
何を言っていいのかちょっと困り顔の最強と伝説。
面白そうに見つめているのは、家康公で、
「ふぉっふぉっふぉっふぉ!!面白い娘じゃのう!!
 さーやと呼んでもよいか?」
面白がって氏政公が聞くと
「いえ~~~っす!!かむまいねいむ!!!」
酔っぱらい宰夜は英語(かなり怪しい)で答えた。
「???なんじゃと?」
氏政公が聞き返せば
「お主、南蛮語が話せるのか?」
と家康公の突っ込み(フォロー)が……
「南蛮?………南蛮って言ったら南蛮漬け!!美味いんだな、これが!!!」
食べ物の話題にすり替わっている宰夜。


結局のところ、彼女がどうしてここに現れたのか、『静岡の里』とは
どこなのか、さっぱりわからないままだった。


そんな様子を一部始終呆れながら見ていたものがいた。
桜の木々に隠れながら緑の迷彩をチラつかせる狐面の男。

「一体なにやってるんだか…………」

五人のやり取りを隠れ見つつ、しっかり情報をゲットするため、
甲斐の忍べてない忍代表・みんなのオカン(まてっ)は
彼らの動向をしっかり監視(というよりのぞき)しているのだった。

             が

器用貧乏・宰夜の目は、しっかりとオカンをロックオン!!!していた。
彼ら四人を無視して、一本の桜の木目がけて指をさし

「おっかーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!」

叫んだ。

「オカンじゃないから!!!!!」

呼ばれて飛び出て…………日頃の彼の立ち位置が仇になった瞬間だった………






挨拶はとりあえず肝心かな?

2011-08-23 20:58:48 | 戦国バサラ
調子に乗ってやってきた場所は…………

ロボットもどきと、かっこいい武器をかまえている鉄火面の
お兄さん(お姉さんだったらどうしよう)がお出迎えしてました。


持ってる缶ビールをとりあえず一口飲んで、周りをのんびりと見回すと
とっても綺麗な桜の華吹雪がオプションで周りを乱舞中。

『いやあぁぁ~いいかんじやねぇ』

すでに、私跨月宰夜は周りの風景にまったりと見とれていた。
二人をしっかり置き去りにして(そこんところ重要)
無視された二人はかなり複雑なオーラを漂わせていた………

[こやついったいなにものだ?]
[我ら二人を前にして、まったく動じないとは……どこの間者だ?]

最強の心の声と伝説の心の声はもちろん宰夜は気が付いている。だが、
そこら辺はあえてスル―した。二人に声を掛けてしまったら、きっと
お約束な展開が始まってしまうだろうと思ったから。

お約束→1.拘束される
    2.職務質問にあう
    3.問答無用で戦闘
    4.三途の川へと強制送還(それはいや!!!)

宰夜は無視を決め込みながらも、そこからは動かずにただ、缶ビールを口に運び
月と桜の幻想的な姿を楽しんでいた。無意識に大好きな歌を口ずさみながら……

『~♪』

その歌声は、風に乗り本丸御殿の庭にいる二人の耳にも届いていた。
「ん?かすかに歌声がきこえてくるのう………」
「栄光門のほうからだ。氏政公、行ってみようではないか!」
「うむ、風魔もこの歌を聴いているのだろうて……うらやましいぞい」
「忠勝も一緒に聴き惚れているのだろう。よし、じゃあいこう!!」
「うむ……まっとくれぃ、わしゃ腰が悪いんじゃよ。」
「そうだったな……よし、わしが背負うていきましょう。」
「よいのか?」
「その方が氏政公も楽だろうし、二人一緒に行くことができる。」

ということで、栄光門まで家康は北条氏政を背負い、めちゃくちゃな
速さで走って行ったのだった。(どういう脚力してるんだろう)


相変わらずの栄光門の前。
戦国最強と伝説の前で、宰夜はすでに5曲を歌い気分は絶好調だった。
人前で歌うのはあまり得意ではないのに、この二人の前では(一体と一人)
なぜか平気だった。まあ、二人がまったく動かないからなのだが……
宰夜の方は、益々楽しくなったようで、
『よーし、踊っちゃおうかなぁ~~』
立派な酔っぱらいと化していた。ふらふらとした足取りで、門のそばに落ちていた
一枝をひょいっと持ち上げると、

『一番!静岡からやって来てみた跨月宰夜!!おどっちゃいま~~す!!』

ちょうど、家康と氏政が栄光門に着いたとき…………

跨月宰夜は元気よく名乗りを上げていたのだった…………

「・・・・!!!」
「!!!??」
「「……えーっと???」」

四面楚歌になったのは彼ら?それとも彼女か?


それは………天孤仮面だけが知っている     かも





*******************************

「まって、俺様でちゃうの?このタイミングで???」

「是非もな~し!!」

「……………俺様、泣いてもいい?」

始まりってこういうこと?

2011-08-14 16:27:47 | 戦国バサラ
ここには何もない

あったと思っていたはずなのに

けれど

それは………


『だったら…………探しに行かないか?

    ただし……戻ってこれるかは君次第だよ?』


そんな風に言われたら、つい言ってしまうじゃないか

「よっしゃ~!!!行ってくるぜぇ!!!」


そんなバカなことを言ってしまったのは、たぶんいつも以上に
酒を飲んでたせい。そして、私が思ってた以上に日常は簡単に
壊れてしまうのだということ。

後悔先にも後にもたってられないまま、私-跨月宰夜-は、
旅立つことになったのでした。


バスルームから………着替えたての状態で………


― ◇ - ◇ ― ◇ ― ◇ ― ◇ ― ◇ ―


同時刻。
桜吹雪が美しい夜の<栄光門>
そこにはなぜか不釣り合いな鎧武者。動く度に聞こえてくる電子音
と、背中に背負ってるブースター(?!)はいったい何のため?
……もちろん空飛ぶためなのでしょうね………
そして、本丸御殿から聞こえてくるのは
「北条殿、今年も見事な桜だな!!見られて嬉しいぞ!!」
「そうじゃろう、そうじゃろう。戦などなければ、このように
 のんびり桜も楽しめることだでなぁ……」
「忠勝も楽しそうだ」
「そうかの、風魔も今宵はのんびりと過ごせよう」
小田原城城主・北条氏政と、なぜか夜桜見物に来た(まてっ)
徳川家康その人だった。そして、家康いるところ必ず付いてくるのは
(お約束)本多忠勝なのだった。もちろん、<栄光門>には鉄壁の
防御力として知られる『風魔小太郎』が仁王立ちしているわけなのだが……
まあ、この二人(なのか?)が栄光門にいる以上、誰が喧嘩を仕掛け
てくるというのだろう。   よほどの命知らずだ。
とても頑丈な栄光門。開けるにはかなりの力が必要となる。
だから、一人で開けることはまず不可能。……なのだが……


ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ


戦国最強と伝説のいる前で<栄光門>はゆっくりと音を立てて開き


ばったーーーーーーん

閉まった。


「!!!!!!!」
「!!!!!!!」

槍を手にしている戦国最強と、巨大手裏剣を構えている伝説の前に
現れたのは………

「あっ…………出てきた」

湯上りのお約束。缶ビール(500cc)片手に頭をタオルでごしごし
やっているルームウェア(ルームシューズ着用)の主人公・跨月宰夜だった。