第六話:非成就
***
そこにいたのは、イケ好かないオニヤンマの野郎だ。
自分では「オニのヤマさん」と呼んで欲しいらしいが、
ボクたちの間では、地獄堂の鬼をパロって「閻魔さまの腰巾着」と呼ばれている。
皆は黒いボディが気に食わないらしいが、
ボクはなんでも見透かしそうな、あのクソでかい目が特に嫌いだ。
しかしそんな腰巾着が、一体ここで何をしているのか?
普段は黒い体色が、曼陀羅の輝きを受けて七色に輝いて見える。
悔しいかな今だけは、あの腰巾着が神々しい。
アイツもその姿に魅入られているのか、一点を凝視したまま動かない。
静寂の中、生ぬるい空気の振動で、アイツの鼓動が伝わってくるようだ。
依然、繰り返されている3つのリズム。
水の静音…
曼荼羅の輝き…
トンボの上下運動…
バラバラに感じられていたそのリズムたちが、
徐々に同調して行く感覚と、周囲に拡散していく七色の闇…
『ハピッ!バースディ!!』
誰かの叫び声のような幻聴と、やがて訪れる黒の静寂…
…いま、
願いが一つ、成就した!
⇒To be continued next episode!
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そこにいたのは、イケ好かないオニヤンマの野郎だ。
自分では「オニのヤマさん」と呼んで欲しいらしいが、
ボクたちの間では、地獄堂の鬼をパロって「閻魔さまの腰巾着」と呼ばれている。
皆は黒いボディが気に食わないらしいが、
ボクはなんでも見透かしそうな、あのクソでかい目が特に嫌いだ。
しかしそんな腰巾着が、一体ここで何をしているのか?
普段は黒い体色が、曼陀羅の輝きを受けて七色に輝いて見える。
悔しいかな今だけは、あの腰巾着が神々しい。
アイツもその姿に魅入られているのか、一点を凝視したまま動かない。
静寂の中、生ぬるい空気の振動で、アイツの鼓動が伝わってくるようだ。
依然、繰り返されている3つのリズム。
水の静音…
曼荼羅の輝き…
トンボの上下運動…
バラバラに感じられていたそのリズムたちが、
徐々に同調して行く感覚と、周囲に拡散していく七色の闇…
『ハピッ!バースディ!!』
誰かの叫び声のような幻聴と、やがて訪れる黒の静寂…
…いま、
願いが一つ、成就した!
⇒To be continued next episode!