陸上の第58回全日本実業団対抗選手権(毎日新聞社共催)第2日は25日、新潟・東北電力ビッグスワンスタジアムで男女計22種目(オープン種目を含む)の決勝などを行った。男子ハンマー投げは室伏広治(ミズノ)が76メートル04で9年ぶり5回目の優勝を果たした。男女一万メートル競歩ではともに日本新が生まれ、男子の森岡紘一朗(富士通)が藤沢勇(綜合警備保障)の記録を7秒余り縮める39分7秒84で初優勝。女子は川崎真裕美(富士通)が自身の記録を6秒余り更新する43分1秒60で連覇した。08年の五千メートル競歩を含め、3大会連続で日本新をマークした。男子八百メートルは横田真人(富士通)が大会新の1分48秒58で初優勝。二百メートルは藤光謙司(セーレン)が初優勝した。
◇目指すは究極の技術
室伏の記録は76メートル04と低調だった。本人は「(欧州遠征帰りで)疲れ果てていた」と苦笑したが、明るい表情に今季の充実ぶりがうかがえた。
8月29日、9月1日と欧州の国際大会で連勝し、国際陸連が初めて導入した種目別シリーズの年間王者に。この遠征では今季世界最高となる80メートル99を記録し、「ライバルに力を示すべき場所で示せた」。
室伏が初めて80メートル台を記録したのは00年だが、「当時とは体も技術も、練習の仕方も違う」という。「鉄人」も来月で36歳。長年の競技生活で腰に疲れがたまりやすくなった。体力の回復具合、練習量の多寡や内容のバランスを今まで以上に配慮している。
今季から、小型の加速度センサーをハンマーのワイヤに取り付けた装置を本格的に練習に取り入れた。効率的な投てきを「音」の違いで把握し、第六感に頼らずに感覚を科学で解明する試みだ。12年ロンドン五輪を集大成と位置づけるが、「無駄を省けばスポーツが進化する」と究極の技術も目指している。【井沢真】
◇藤光、再び高平に勝つ
6月の日本選手権で男子二百メートルを初制覇し、自信みなぎる藤光が再び高平との勝負を制した。「不完全燃焼だった」と振り返るように、第一人者の高平に先にコーナーに先着される苦しい展開。だが、得意の後半の加速で一気に追い抜いた。11月のアジア大会に備えるため、夏場は練習に専念。まだ疲労回復の途上だが「悪い中でも勝てたのは成長」と手応えを口にした。
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