
黒い森の散歩で、主たる目的だった、2つの場所を無事に踏破。
ここまで毎日、お天気よくて、ドイツでは雨女を返上するか、と思われたのですが・・・、やっぱり来ました!雨の予報。
トートナウベルグでは、2日間を歩くための日をとってあって、予備日が1日ありました。もし両日とも晴れだったら、ユースホステルでおすすめいただいたベルシェン(belchen)まで行って、またアルプスの遠望を、などと思っていたのですが。
フェルドベルグから帰ってきた夕食時、オーナーさんに、翌日の天気予報をお聞きしたところ。
「あいにくだけど、明日は一日中、雨の見込み、ですって。どうします?」
ああ、やっぱりね、そううまく行くばかりなはずもなし、か。
まあ、そろそろまた洗濯しなくちゃだし、絵はがきもあちこち出したいし、明日はのんびりこのへんでひきこもって休息しようか、・・などという内向きな考えもふとよぎったのですが。
バスの時刻表をみると、スイスのバーゼルまでバスと電車でわずか2時間弱。そう、旅行の計画を立て始めたとき、当初、バーゼルからここトートナウベルグへバスで来ることも検討したことを思い出しました。ラインの滝やボーデン湖を見たかったので、けっきょくその案は変更したのです。
そうか、どんな街か行ってみようか、いずれまたこのあたりに来るときは、このルートを使うかもしれないし、ドイツ鉄道とスイス鉄道のそれぞれの駅も見てみたいし、まだスイスフランの小銭も残っているし、そういえば「KONUS」カードだと、交通費が無料だ?!
タダって言葉は、節約旅行者にとって、けっこう魅力的です。
日帰りだと4時間程度しかバーゼルにはいられないのですが、せっかくの休日です。
夕食を一緒にとっていた、この日の山道で知り合ったドイツ人のLさんも、明日は歩くつもりが雨ではどうしよう、と迷っていたところで、なら一緒に日帰りスイス?意気投合。
こんなわけで、道連れついでに、翌日もバーゼルへ同行することになりました。ドイツ語も英語もちょっとフランス語も分かる方で、しかもわたしのつたない英語の意図を実によく察して理解してくれるので、ほんとに助かりました。
翌朝、小雨降る中、気温も低い中でしたが、ここは標高1000m以上の場所、もしかするとふもとは曇りで雨は上がっているかも・・などと多少の期待を持って、バス停へ。Lさんもわたしも、「KONUS」カード携えて、まずはふもとのトートナウへ、そこで乗り換えてツェル(Zell)へ。ここでのバスと電車の乗り継ぎはとてもいいです。どの便も5分から10分程度で接続していました。
それにしても、路線バスが「メルセデスベンツ」か。
小さな町を抜けていくローカル列車でバーゼルに向かいます。ドイツ鉄道のエリアのはずなのですが、スイス鉄道の車両も入ってくるそうです。
バーゼル駅に着いて、国境ってなにかわかるものあるのかな、と思ったのですが、駅構内に税関かな?と思われる、だれもいないブースだけがあって、ほかはそれらしいものはありませんでした。
Lさんの話によると、ドイツなどでも、オランダなどへ国境を列車で越えるときだけは、検査員が乗り込んできて麻薬などを持っていないかとかチェックする、とか。
「日本だと、基本的に陸地に国境がないから、なんだか不思議なんですよ」、とわたしが言うと、「そうか、キミの国は島国なんだったねえ」、と気がついたようで。
お互い、へええー、って感じで、顔を見合わせたのでした。
雨もやんで、薄日もでてきました。
ドイツ鉄道のバーゼル駅からスイス鉄道のバーゼル駅は1キロ半ほどでしょうか。わたしたちは乗らずに歩きましたが、トラムで移動もできるようです。
しばらく歩くと、橋の上に出ました。橋から川を眺めながら、Lさんが、「ここでライン川がほぼ90度曲がって、北へ向かっていくんですよ」と教えてくれました。
そう、ここバーゼルは、あのライン川が流れているところなんですね。
今回の旅の初めに、ラインの滝を見学してコンスタンツまで川「上り」の船に乗ってからまだ1週間足らずでしたが、あの流れがここへ来るのか、と再会(!)に、ちょっと感動!?なんだかうれしいような、なつかしいような?不思議な気分。
今回、ドナウ川源流を訪ねたり、ライン川をたどってみたり。ヨーロッパの歴史や文化上、重要な大河と、湖や滝を楽しむのもひとつの目的だったので、バーゼルへきてこの眺めを見ることができてよかったなあ、と思ったのでした。
近くにある路地に入ったりしながら、ぶらぶら歩いて、大聖堂へ出ました。ちょうどお昼になり、あちこちの教会の鐘の音が響きだしました。古い街でこういうのを聞くのはいいものですね。
ここの大聖堂にも、おもしろい彫刻が。
ドイツ語の分からないわたしもLさんの解説付きで、内部をあれこれ見学。
なんだかふと床を見ると、不思議なものがうまっていたり。
これは異教徒に殺されてしまった司教さんの棺だとか。
写真は禁止のエリアには、エラスムスなど、人文主義の関連の人物について展示もありました。
キリスト教の話やヨーロッパの歴史について聞きながら、こんなとき、ダヴィンチ・コードを曲がりなりにも英語で読んでおいてよかったと思うのです。あの本がなければ、異教徒、とか、修道僧、なんて単語は覚えなかっただろうな・・。
しかし、どうもこういう建物見ると、つい、ホ〇ワーツ魔法魔術学校みたいだな・・とも、思ってしまうのです、い、いかん。
お昼も過ぎたので、街なかのカフェへ。トラムの走る古い街、なんだかいかにもヨーロッパの素敵な街なか風景の中で、お昼ごはんにしました。
ふと気づいたのですが、なんだか背広の人がほとんどいなくて、そして携帯電話とにらめっこする人を全然見かけない。あ、日本の日常風景と一番違う点はこれかな、と思いました。
ベジタリアン用のメニューがわたしにとっては珍しかったので、『「オーバージーン」とヤギのチーズ』のサンドイッチにキャラメルマキアートを注文。わたしはナスは「エッグプラント」としか習ったことがなかったので、当初、その正体がぴんとこなかったのですが・・。
ややくせのあるヤギチーズは、日本でどこかで手に入るのやら?
わたしはスイスフランの残りの小銭があってちょうどよかったものの、Lさんは思いがけずのスイス訪問、ユーロしか持ってませんでした。お勘定のとき、あれ、そうか、ユーロ、受け付けてくれるのかな・・、といささか心配げでしたが、聞いてみたらこのお店でも、それから他に道すがらいくつか聞いた街なかのサンドイッチスタンドとか、小さなお店でも、いちおう受け取ってはくれるとの返事だったようです。でも、清算したとき、いささか高かった、らしい。どうも両替手数料ではないが、ちょっと上乗せして請求されているような気がするなあ、とおっしゃってました。まあ、そういうこともあるのかも。そうだとしても、通貨が違うんですからあってもおかしくはないか?
店を出て、もうひとつ教会(聖エリザベート教会かな)を見たり、お店のショーウインドーをながめたり(シュタイフのテディベアってホンモノ初めて見ました)しながら、ふたたびぶらぶら歩き。
やがて、見えてきた、スイス鉄道のバーゼル駅へ。
ここは構内の端が、なんと「フランス」だった?!
時刻表にはフランスの駅名。
そう、ドイツとスイスだけでなく、ここはフランスの国境も接する、うまく歩けばきっと数時間で3カ国めぐれるってことなんですね。
そろそろ、戻らなくてはいけない時間となり、「KONUS」カードを使って帰るため、再びドイツ鉄道のバーゼル駅へ向かうことにしました。本日の目的だったスイス鉄道のバーゼル駅までたどりつけて、わたしは満足。
おつきあいして一緒に駅見物に来てくれた、Lさんいわく。
「しかし、キミ変わってるねえ?女の子(?←アジア人はたぶん年齢不詳(笑))が、買い物するでもなく、鉄道駅が見たいって?」
このあと、Lさんに、「テツ」という日本語を紹介してみました。うまく伝わったかどうか・・・。