涙目筑前速報+

詰まるところは明日を知る。なだらかな日々につまずいて
向かうところはありもせず、未来の居場所だって未定―秋田ひろむ

『今日のユイコさん』所感

2012-12-10 02:00:57 | 書籍
先程、秀河憲伸『今日のユイコさん』というマンガ読んでたんです。
今日外出した時に何となく買った漫画で、釣り目がグッと来たっていうか、まじめすぎる彼女っていうのが良いなと思って。

内容自体はベタベタな学園ラブコメ路線で新しいことをやろうとかそういうのはあまりなくて。
系譜的には『謎の彼女X』みたいなものに近いんじゃなかろうか。
ヒロインの性質が全く異なるけど、学園モノでちょっと凸凹感あるカップルっていう点で。
キツそうな釣り目の女の子がうろたえたり悩ましくなったり一喜一憂したりするのをニヤニヤしながら楽しむタイプの作品なんじゃないかなって思います。
とにかく「こういう女性いてほしいな~」って男性の願望が一杯出てる作品で、独りよがりっちゃそうかもしれない。
あと、近い将来この漫画はアニメ化されるな。
なんかそんな気がする。


特にすごい感動するって箇所もないんですけど、さっきから結構2、3回位繰り返し読んでしまう。
何がそうさせてしまうのかって、やはり女の子の可愛さをしっかりとらえてる所が良いよねと。
そして、この漫画を一言でいうなら「身軽」ね。
それを象徴するシーンとして、下記のユイコさんの台詞。
これに意味もなくグッと来たりしている。


目的がなくたってただお買いものするだけで楽しいものよ!
男子にはよくわからないかも。
女子ってそういうものなのよ。



性格のキツいユイコさんにも女友達ができて、その友達と遊びに行くって話になった時の台詞なんですけどね。
このシーンは結構当たり前のこと言ってるだけなのに、僕にとってはなんだかやたら頷いてしまったという。
というのは、これ、僕には無い楽しみってヤツなんですね。
僕自身、外出したりするには何らかの理由がないと出ないんだよな。
所在なく外出するっつっても、何らかの考え事したり音楽聴いて気を紛らわせたいとかそういう目的があったりするもんなのよ。
でも、嫁とかもそうなんですけど、女の子にはそういうことは考えないで、友達と何も考えずにこの服可愛いねだとかくっちゃべりながら何かしてたりするのが疲れをとるというか、身軽になれる瞬間なんだそうな。

この自分が身軽になれる瞬間ってのは、とても素晴らしい事なんだなって強く思ったりします。
当たり前なことなんですけど、普段重いことばっかりだと、そういうことが凄い有難味あるよなと実感できる。
で、それがすごいよく出てたシーンなんですよ。このマンガ。
ユイコさん自身、堅物な人間なので、普通だったらこういうこと言わないと思うんですよ。
それでも実際に仲の良い友人ができて、その上でこういうことを言えるってのが何か良いよな。
どれだけ周りから中身がないだのスイーツ(笑)だの冷笑されようが、「楽しいもんは楽しいんだよ」ってのが出ていて、個人的に好感が持てる。
併せて、こういうシーンを読んでいると、なんだか自分に余裕が持ててくる。
この心持ちなら月曜日とも上辺だけでもうまくやってけるんじゃないか。
なんかそんな感じ。

僕が身軽になれる瞬間ってのは良い音楽・書籍・ゲームに触れたときや、手ごたえのあるモノが作れた時なんです。
男だからとかってわけじゃないかもしれないけど、理由もなく買い物してる時に身軽になるなんて、全く共有できる気がしない。
頭の片隅ではそういうこともあるもんだと理解してるつもりなんだけど、全く身軽になれる気がしない。
「別に欲しくもないもんを見て回ったって疲れるだけだろ」とかそういう考えになっちゃう。

なので、僕はこういうことには全く慣れてなくて、多分これからも慣れないと思う。
が、そういうことで身軽になれるってのは、とても素晴らしいことだと思うわけです。
ライブでモッシュしたり腐れ掲示板で煽り合って溜飲下げて周りを不快にさせているわけでもないしな。

僕には目的もなく買い物をする行為の良さを共有してあげることはできない。
が、それで日々のしがらみや辛いことから一時的に解放される。
そして、また明日をいい気分で迎えることができる。
よく分からんが、それはとても自由で素晴らしい事なんだ。

何か良い意味で自由になっていてのびのびしてる人を見ると、見てるこっちも何だか「こういうの、良いなあ」っていう満足感が出る時があるけど、まさにそんな感じ。
読んでるこっちまでなんだか身軽になれる。
自分が未だ持ち得ていない、人生の楽しみ方にほんわかする。コレ。


人生に悩み苦しみ、それを作品にするものも面白いが、人生楽しんでる様を描いた作品もまた面白い。
この漫画は後者の部類であり、俺の中ではそういう漫画だったなーと思いました。
なんとなく。

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