涙目筑前速報+

詰まるところは明日を知る。なだらかな日々につまずいて
向かうところはありもせず、未来の居場所だって未定―秋田ひろむ

月初と売上

2015-01-01 16:29:18 | ゲーム
新年になったが、アプリゲームや、PCのオンラインコンテンツは新年仕様の実装を一斉に行っている。
「新年位ゆったり行けばいいのに」とも思うが、ビジネス的にはそれは正しくない。

何故なら、新年とは言え今日は「月初」なのだ。
月初という言葉は消費者目線ではピンと来ないが、携帯アプリコンテンツ、とりわけAndroidアプリの運営者には非常に大きな意味を持っている。

Androidの決済方法で主流の一つが、キャリア決済という支払方法だ。
ガラケーのように、キャリアが代わりに支払いを行い、ユーザーには携帯料金と一緒に請求するという形態だ。
キャリア決済のメリットは携帯料金と一緒に請求してもらえる点である。
わざわざ毎回クレカの番号を入力したり、プリペイドでチャージする手間もない。
そもそもクレカを使える環境になければ、必然的にプリペイドかキャリア決済だ。

だが、キャリア決済にはデメリットも存在する。
月毎に決済金額の上限があるのである。
上限額まで課金してしまうと料金がリセットされるまでは課金できないのだ。
そのリセットされる時期が、月初だ。

キャリア決済を主流に使っている層は、月初のリセット開始と共に、再び課金を始める。
つまり、月初は1ヵ月の売り上げの中で、最も数字が動く時期なのだ。
一般的には月初の売上が月の20%~30%と言われており、前職の経験上、同じような推移だったと記憶している。

その為、アプリゲームの運営者にとっては、元旦と言えど稼ぎ時には変わらない。
寧ろ、年始休暇で家で過ごす人たちが多いこの時期は、普段の月初よりも数字を出しやすい時期と言えるだろう。
正味な話、3が日で特に施策を打たないタイトル(CS部門やデバッグ部門は休んでいるだろうが)は、かなり予算が少ないか、望み薄なコンテンツと言っているようなものだと思う。

予算があるタイトルは、この時期、もしくは月末に集客を行って客を定着させる。
集客の方法は、リワード広告でランキングを上位にあげたり、CMを打ったり、ゲーム雑誌にタイトルを掲載させたりと、様々な戦略がある。
そして、月初に新たなガチャを導入し、一気に数字を挙げていく。
ガチャ戦略の一般的な方法は、10連ガチャで一気に大きい数字を出していく方向のガチャと、最初だけ数十円で出来るような、「低額でもいいから課金させ、課金への抵抗を少なくしていく」タイプのガチャだ。
また、ステップガチャ等はこの2つをミックスさせたようなタイプのガチャと言っていいだろう。
もしくは、単価は高いが確定要素をつけるガチャを出すタイトルもあるだろう。
ゲームバランスを考慮し、この辺りの施策やガチャの排出率は、日々とっているKPIで出てきた数字から設定されることになる。


嫌らしい話、アプリゲームの運営全体に携わる仕事というのは、金とユーザー定着率が支配する世界である。
そこはもうビジネスの世界で、各施策のスケジュール管理と、新たな企画と、数字の分析で占められる。
併せて、ユーザーが離脱しないように、日々新しい要素を入れたり、緩いイベントでガス抜きをしていかなくてはならない。
更に、予算がないタイトルのチームでは、これを少人数で回していかなければならないため、毎日が気が気ではない。

基本無料という、遊びやすそうな背景には、碌に休む暇も与えられず、ただ数字の為に疑問を抱きつつも日々奮闘する社会人たちの姿があるのを、忘れてはならない。

この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 謹賀新年 | トップ | 【艦これ】新年仕様について »

ゲーム」カテゴリの最新記事