
【筋肉地獄】バイク VS リン(1)
男の喉元に、少女の右手が伸びる。
リンは強烈な握力で男の喉を握り潰し、軽々と片手で宙に掲げた。
男はかすれた声で悲鳴を上げ、リンの右手を外そうと激しく暴れる。
そんな男の必死の抵抗を、リンは易々と、右腕一本で捻じ伏せている。
二人の筋力の差は圧倒的。
男が少女の戒めから自力で抜け出せる可能性は皆無。
男の腕が次第に下がり、体に力を失いはじめたそのとき。
リンの後方から、男の仲間の一人が罵声を浴びせる。
振り向くと、赤く髪を染めた男の仲間の一人がバイクに跨り、リンを睨みつけていた。
そして、男を放せ、さもなければ轢き殺すぞといった内容の、稚拙な恫喝を目前の少女へと投げつける。
呆れたように、リンは呟く。
「最初にケンカを売ってきたのはキミ達でしょ?」
「轢き殺すぅ?できるものならやってみなさいよ」
ニヤニヤと挑発的な笑みを浮かべて。
「はやくしなさいよ、弱虫クン」
リンは、男を誘惑する。

【筋肉地獄】バイク VS リン(2)
リンの言葉を聞いて、激昂した男が突進する。
それと同時に、リンは右手で掴んでいた男の体を投げ捨てるように地面へと落とし、バイクへと振り向く。
離れていた二人の距離があっという間に縮まり、両者は激突する。
ドガッ!
リンの両手は、何の苦もなくバイクの突進を押し留めた。
「はーい、ストップ~、ふふっ♪」
鼻唄混じりに、なおも後輪を空回りさせながら前進しようとしているバイクを押さえつける。

【筋肉地獄】バイク VS リン(3)
男は驚愕の表情を浮かべ、バイクから飛び降りようと試みる。
だが、その前に。
「せーのっ」
リンの両腕に、力がこもる。
筋肉で盛り上がった少女の二の腕に、更に巨大な力こぶが隆起する。
「よいしょっ!」
バイクごと、男の体が上方へと吊り上げられた。

【筋肉地獄】バイク VS リン(4)
リンは、水平に持ち上げたバイクを、縦向きへと抱え直す。
その急激な角度の変化に耐え切れず、重力に従って男の体が地面へと落下する。
腰を強く打ってうめく男を、冷笑しながら見下ろすリン。
そして、抱え上げたバイクを、壁へと叩きつける。
強烈な音とともに、バイクが壁から跳ね返る。
そこへ、リンが跳躍する。
右足を振り上げ、強烈な蹴りを放つ。
ガッシャアアアンッ!
バイクのフレームが歪み、タンクが凹む。
続けざまに、蹴る。殴る。折る。
「ほらほら、大事なバイクが壊れちゃうよっ」
リンの容赦無い暴力によって、男のバイクが破壊されていく。
だが男には、目前の少女の行為を止める手段など持ち合わせていない。
あの太い腕を押さえたとしても、逞しい脚にすがりついたとしても。
男の力では、この少女を止めることなど不可能。

【筋肉地獄】バイク VS リン(5)
地面に尻をつき、怯えた男がリンを見上げる。
リンは胸の前にバイクを抱きかかえ、地面に座り込む男の体を、跨いで見下ろす。
そして、既に原型を留めていない男のバイクを、更に腕力で曲げ始める。
ギギギギッ、と甲高い金属音が響く。
バイクのフレームは、リンの強大な腕力に屈服し、その体を折り曲げていく。
「こんな風に、キミの体も折り畳んであげようか?」
リンの言葉に、男の体が恐怖で震え出す……。