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備忘録

カタルシス

2010-12-11 05:37:38 | 人間観察
同級生のAさんは、長い下積みの末、ようやく管理職に昇格した。
十数年ぶりに、いまだに管理職になれない万年平社員のBさんをランチに呼んで、
ごちそうした。そして、
いかに自分が骨身を削って、健康を犠牲にして昇任したかを力説した。
Bさんは、最初なんで自分がランチに誘われたかわからなかったので、
単純にAさんの友情を喜んでいたが、3日くらいしてから、ああ、自慢されたのか、と
気付いた。

それで思った。

健康やいろいろなものを犠牲にしているのは別にAだけじゃない。
自分だってもの凄い犠牲をはらっている。でも昇格できない。
昇格を自分の努力のおかげで、昇格できていない奴は努力が足りないんだ、
主張するAは、やっぱり、向こう側の人間なんだよ。
こっちのことなんか、結局わからないし、わかりたくもないんだ。

Bさんは今までにない憎しみをAに持った。
でも同時に気づいていた。
Aだって苦労していた。さっきまでは、Bと同じように。苦しんでいた。
だけれども、苦しみを脱した(とAが思った)瞬間、同様に苦しんでいる同輩を
足蹴にすることによって自分の優位性を確認した。
だから「いまだに苦しんでいる」同輩は、Aの幸せにとってなくてはならない存在なのだ。
それで数十年ぶりにランチに呼び出したというわけだ。
なんて小さなあほらしい人間なんだ。
こんなくだらないAのために自分が気分を悪くするのは、おかしな話だ。

そうしたら少し腹のムシがおさまった。
ははぁこれが差別の源泉となる原理なのかな、とも思った。

また別の友人Cは、昇任した後、ある日ぽろっと言った。

僕は今までBさんは自分にないカードをいっぱい持っていると思っていた。
持ち家も、車も、携帯電話も・・・
僕がまだ持っていないうちに、全部Bさんは持っていたよね。
で、今ようやくBさんが持っていないものを持つことができた

なんじゃそりゃ?
Bさんは全く合点がいかなかかったが、あとで考えてみると、
Cが実は田舎育ちのコンプレックスと嫉みを持っていて、
万年平社員のBを足蹴にすることによって、癒されたんだなと。

Bが持つ憎しみについて、Bは正統性を感じているに違いない。
だから、BはAやCを殺害する機会があれば、躊躇しないだろう。

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