中村叶の詩

中村叶の詩です。元気になれる。勇気がでる。心安らぐ。

きいちゃんの浴衣

2006-03-30 11:01:46 | おはな詩(障碍を乗り越えて生きる)
きいちゃんの浴衣

お姉さんが結婚するの
きいちゃんは結婚式でるのはじめて
たのしみだな
お姉さんの結婚式

お母さんが言いました
きいちゃん
お姉ちゃんの結婚式には でないでいてね

きいちゃんは小さいときの高熱で
手足が不自由な 養護学校高等部の生徒
お姉ちゃんが 肩身の狭い思いをするといけないから
だから きいちゃんは
結婚式にでないでいてね

かなしい気持ちのきいちゃん
大好きなお姉さんの結婚式
でたかったのに
たのしみにしてたのに

養護学校の 山元先生が言いました
きいちゃん お姉さんにプレゼントを作ろうよ
真っ白な布を 夕日の色に染めて
浴衣を作って
きいちゃんのプレゼント

針で指を刺して 
血で染まった練習用の白い布 
不自由な手で一生懸命に縫って、縫って

 「体をこわすわよ」「お姉ちゃんへのプレゼントだから・・・」
きいちゃんは不自由な手で一生懸命に縫って、縫って
できあがった浴衣をお姉さんに送った

二日後山元先生にお姉さんから電話
 「きいちゃんと一緒に式に出席してください」

 幸せそうなお姉さん
 でも、きいちゃんの姿見てひそひそ話する人も
 やはり 出席しない方がよかった?

「お色直しのために新婦が退場いたします」
 お姉さん 何に着替えてくるのやら

 夕日の色の浴衣着て
きいちゃんのつくった浴衣着て
お色直しのお姉さん
みんなの前に現れた

お婿さんとふたりして
マイクの前のお姉さん
みんなに向かって 言いました

 この浴衣を見てください
 手足の不自由な妹が
 こんなに立派な浴衣を縫ってくました
 妹は私の誇りです

拍手が式場包みます
 きいちゃん笑顔を見せました
 感激の 涙を流すお母さん

笑顔はじけたきいちゃんに
涙にむせぶ母さんに
幸せのお裾分けです
姉さんからの

中村叶の詩INDEX

中村叶のWEB PAGE
きいちゃん

アリス館

このアイテムの詳細を見る
情報:日本の名随筆 別巻67 子供 にきいちゃんの浴衣(山元加津子)が収録されています。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 小池恵子はトマトが苦手? | トップ | 感想・意見 きいちゃんの浴衣 »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
きいちゃんの浴衣 (hito2km)
2006-05-05 13:18:45
コメント有難うございます。



詩を読ましていただきました。

ハンディを乗り越えて生きていく。

そんな、きいちゃんの様子が目に浮かぶようです。



人は一人で生きているのではないことを

強く感じました。



映画「ゴール!」のサンティアゴにも

ハンディがあります。

障碍を乗り越える、たゆまぬ努力に、

ラストは感動の渦に巻き込まれました。

 PS.

障害を、”障碍”と 書かれていることに、

中村さんの

深い考察を感じます。
返信する
hito2kmさま (中村 叶)
2006-05-06 09:02:46
コメントありがとうございます。



障碍(ハンディキャップ)は障碍者がかぶっている帽子(キャップ)で、いかなる意味でも「害」の字をもって表現するべきものではないと思っています。



人は皆、いつか障碍者になります。加齢により、事故により、病気により、出産時のなんらかの事情により、などなどによって。

返信する

コメントを投稿

おはな詩(障碍を乗り越えて生きる)」カテゴリの最新記事