中村叶の詩

中村叶の詩です。元気になれる。勇気がでる。心安らぐ。

朝の挨拶おばあさん

2006-03-02 04:15:26 | おはな詩(死の瞬間まで「生きる」)
朝の挨拶おばあさん

おんながいた
としとっていて
ガンだった
死ぬのを待つだけだった
絶望していた

看護婦に無理を言った
医者にわがまま言った
みなりはかまわず
髪もとかさず
自暴自棄な気持ちのままに

病院のまどから
ある朝
つとめにむかう人々を見た

うなだれてとぼとぼと歩く人々
絶望しているのは誰?

絶望の淵から絶望している人々を励ます使命
おんなは薄化粧して
車椅子の上から声かけた
おはようございます

はじめはとまどっていた勤め人たちも
おんなのパフォーマンスに挨拶と笑顔でこたえるようになった
おはようございます

自分の行為が勤め人たちに笑顔をよみがえらせた
その事実におんなは打たれ
あしたの朝もと思った

ある朝勤め人たちは思った
あれっ あの挨拶おばあさんは?

おんなは昨夜死んだ
勤め人たちに声かけている夢をみながら

自分の行為が勤め人たちに笑顔をよみがえらせた
その事実を生きがいにして
おんなは昨夜死んだ

あと3ヶ月といわれてから
6ヶ月が経っていた


『どんな時も、人生に"Yes"と言う――フランクル心理学の絶対的人生肯定法』(諸富祥彦著、大和出版)に紹介された実話に想を得てつくってみました。
どんな時も、人生に“YES”と言う―フランクル心理学の絶対的人生肯定法

大和出版

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それでも人生にイエスと言う

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 この世のどこかに、あなたのことをほんとうに必要としている「何か」があり、あなたのことをほんとうに必要としている「誰か」が必ずいる。そして、その「何か」や「誰か」のために、あなたにもできることがある。
 アウシュビッツの生き地獄の中で「人間の卑小さと崇高さ」の両方を見、その地獄にあっても希望を捨てずに生き抜いたVictor Emil Frankl(ビクトール・エミール・フランクル)のこの言葉を味わっていただきたいと思います。  
 ♪ あぁ~、地球のどこかに~ 
    あなたを~ 待ってる~ ひとがいる~   
      (『いい日旅立ち』より、一部改変)
夜と霧―ドイツ強制収容所の体験記録

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<私の勝手な思いこみですが、人生は「究極のやさしい人」になるための「学校」のような気がします。この「学校」で多くを学び、悲しい思いも、楽しい思いもし、友人も得て、「究極のやさしい人」を目指しているのが人間なのでしょう。>
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