この、「通勤手当」ですが、現状では、鉄道やバスなどの公共交通機関を利用している方なら、月額10万円まで非課税とされています。
月10万円を超えると、給与と同じ扱いになるのです。
マイカーを利用して通勤している方なら、片道の通勤距離(通勤経路に沿った長さです。)に応じて、
非課税の限度額は細かく定められています。(”距離比例額”といいます。 詳細は、国税庁HPを御覧下さい。)
弊所メルマガにて、これまでに何度か、H23年度税制改正の一部の法案についてが成立し既に公布・施行された旨を
お伝えしておりますが、そのうち、「源泉所得税」についても、改正がなされています。
今回はその源泉所得税の改正のうち、通勤交通費の改正についてお伝えします。
さて、「月10万円まで非課税」と申し上げましたが、従業員の方に
「月10万円以内ならどんな通勤経路でもいいんだよね?」と思われてしまうのは、
経営者としても非常に困るところでしょう。
交通費を支給する側から見れば、
「通勤に必要な時間や距離などの事情に照らし、最も経済的かつ合理的な経路」
でないと、必要以上に割高な通勤手当を支給することになってしまうからです。
国税庁でも、そのあたりの事情は把握しているようで、上記のような基準により通勤経路を選択し、また、
それによる運賃・料金の額に相当する金額(=運賃相当額、といいます)でないと非課税の適用はできない旨
定めています。
今回の税制改正により、
運賃相当額が距離比例額を超える場合に、運賃相当額の最高限度である月10万円までが非課税
とされる措置が廃止されました。
これがどういう状態を意味するかというと、、、
たとえば、通勤手当として月25,000円支給している従業員がいたとします。
この方はマイカーを利用して通勤しており、片道15km以上の通勤距離があるとします。
この方の非課税となる1か月当たりの限度額は、国税庁HP(http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2585.htm)
の表によれば11,300円になります。
この方が、仮に電車やバスなどを利用して通勤するとみなしたときの、通勤定期券1か月当たりの金額※。
これが月額20,000円とします。
今までは、25,000円の通勤手当のうち、20,000円を差し引いた残り5,000円が、課税対象でした。
今回の改正で、20,000円での控除はなくなり、25,000円ー11,300円=13,700円が課税対象になってしまうのです。
※この場合に、利用できる交通機関がないときは、通勤距離に応じたJRの地方交通線の通勤定期券1か月当たり
の金額で判定しても差し支えありません。
この改正は、平成24年1月1日以後に受ける通勤手当について適用となっております。
この改正に向けて、通勤手当制度の一部を変更する企業もあるようです。
マイカーで比較的長距離を通勤されている方や、そのような従業員を雇われている経営者の方にとっては
見逃せない情報になるかと思われます。
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