税理士法人AIO(アイオー)のお役立ちブログ

大阪と東京を往復する、会計士・税理士が
みなさまのお役に立ちそうな内容を記載させていただきます。

【通勤手当の非課税限度額と、その改正のお知らせ】

2011-07-28 17:17:17 | 【お役立ち情報】
従業員を雇っておられる方なら、従業員に通勤手当を支給されていることがほとんどかと思います。

この、「通勤手当」ですが、現状では、鉄道やバスなどの公共交通機関を利用している方なら、月額10万円まで非課税とされています。

月10万円を超えると、給与と同じ扱いになるのです。

マイカーを利用して通勤している方なら、片道の通勤距離(通勤経路に沿った長さです。)に応じて、

非課税の限度額は細かく定められています。(”距離比例額”といいます。 詳細は、国税庁HPを御覧下さい。)

弊所メルマガにて、これまでに何度か、H23年度税制改正の一部の法案についてが成立し既に公布・施行された旨を

お伝えしておりますが、そのうち、「源泉所得税」についても、改正がなされています。

今回はその源泉所得税の改正のうち、通勤交通費の改正についてお伝えします。


さて、「月10万円まで非課税」と申し上げましたが、従業員の方に

「月10万円以内ならどんな通勤経路でもいいんだよね?」と思われてしまうのは、

経営者としても非常に困るところでしょう。

交通費を支給する側から見れば、

「通勤に必要な時間や距離などの事情に照らし、最も経済的かつ合理的な経路」

でないと、必要以上に割高な通勤手当を支給することになってしまうからです。

国税庁でも、そのあたりの事情は把握しているようで、上記のような基準により通勤経路を選択し、また、

それによる運賃・料金の額に相当する金額(=運賃相当額、といいます)でないと非課税の適用はできない旨

定めています。


今回の税制改正により、

運賃相当額が距離比例額を超える場合に、運賃相当額の最高限度である月10万円までが非課税

とされる措置が廃止されました。

これがどういう状態を意味するかというと、、、

たとえば、通勤手当として月25,000円支給している従業員がいたとします。

この方はマイカーを利用して通勤しており、片道15km以上の通勤距離があるとします。

この方の非課税となる1か月当たりの限度額は、国税庁HP(http://www.nta.go.jp/taxanswer/gensen/2585.htm)

の表によれば11,300円になります。

この方が、仮に電車やバスなどを利用して通勤するとみなしたときの、通勤定期券1か月当たりの金額※。

これが月額20,000円とします。

今までは、25,000円の通勤手当のうち、20,000円を差し引いた残り5,000円が、課税対象でした。

今回の改正で、20,000円での控除はなくなり、25,000円ー11,300円=13,700円が課税対象になってしまうのです。

 ※この場合に、利用できる交通機関がないときは、通勤距離に応じたJRの地方交通線の通勤定期券1か月当たり
   の金額で判定しても差し支えありません。



この改正は、平成24年1月1日以後に受ける通勤手当について適用となっております。

この改正に向けて、通勤手当制度の一部を変更する企業もあるようです。

マイカーで比較的長距離を通勤されている方や、そのような従業員を雇われている経営者の方にとっては

見逃せない情報になるかと思われます。


会社設立夢工房

【消費税の免税事業者の要件が厳格化されました!!】

2011-07-21 14:53:22 | 【お役立ち情報】
前々回の記事にて、消費税の「免税事業者の要件」について税制改正が行われた旨の内容を

ほんの少しばかりお伝え致しました。

(前々回の記事:今更聞けない消費税の基本…コチラを御覧下さい


以前にお伝え致しました通り、消費税の事業者には免税点制度が設けられております。

基準期間の課税売上高が1000万円以下の事業者については、今までは原則、免税事業者とされてきました。

ところが今年6月30日に公布されたH23年度税制改正で、この、免税事業者の要件が厳格化されています。

適用時期も決まっておりますので、個人事業者の方が法人成りされたい場合や、また新規で法人設立を検討されていらっしゃる方にとっては、大きな影響があるかと思われます。

今回の事業者免税店制度の見直しでは、前期の上半期の課税売上高(または、給与の支払総額)が1000万円を超える場合は、免税事業者でないこととされました。

個人事業者の場合は、その年の前年1月1日から6月30日までの間の、「課税売上高」となります。

また、適用時期が「その事業年度が平成25年1月1日以後開始するものについて」となっておりますので、

たとえば個人で事業を営んでおられる方なら、
平成24年1月~6月の課税売上高(または給与の支払総額)が1000万円を超える場合に、

3月決算法人の場合は、平成24年4~9月の課税売上高(又は給与の支払総額)が1000万円を超える場合に、

消費税の課税事業者となります。

法人の前期にあたる期間が7ヶ月以下の場合では、そのまた前1年以内に開始した事業年度がある場合には

その前々事業年度の「開始の日から6ヶ月間」の課税売上高で判定します。

また、その前々事業年度が5ヶ月以下の場合には、その前々事業年度の課税売上高にて判定します。

前期の期間が1年を満たないと、判定がややこしいくなりますね・・・。

消費税では他にも、いわゆる「仕入税額控除における95%ルール」についても改正が入っておりますが、

こちらについてはまた別途お知らせしたいと思います。


【雇用促進税制が創設されました!!】

2011-07-14 15:52:27 | 【お役立ち情報】

前回配信した時点では、税制改正「大綱」であったため、法案の成立する可能性や、

実際の施行時期については未確定な部分がございました。

今回、正式に雇用促進税制が創設されることが決まり、中小企業庁HPでも平成23年6月22日に成立・30日に公布されたことが載っています。

雇用促進税制……初めて聞く言葉だ、という方もいらっしゃるかもしれません。

今回はこの、雇用促進税制についてお知らせしたいと思います。


前回の税制改正大綱では概要のみさらっとお伝えしましたが、雇用促進税制は「税額控除」になります。

さて、税額控除といってもあまりピンと来ない方もいらっしゃるでしょう。

身近なもので例を挙げるとすると、
「住宅借入金等特別控除」があります。確定申告で住宅ローン控除の申請をされた経験のある方もも多いかもしれません。あれも、「税額控除」のうちの1つです。

例えば確定申告の場合、「収入」-「経費」=「所得」ですが、所得から配偶者控除などの「所得控除」を差し引くと「課税所得」が出ます。

住宅ローン控除は、その課税所得に応じた税率と控除額から算出した「仮の納税額」から、直接差し引けますよね。税額控除とはそれだけ、税金を減額させる効果が大きいものなのです。

雇用促進税制とは、中小企業または個人事業主が雇用保険の被保険者である従業員を10%以上かつ、2人以上増加させた場合に、1人当り20万円を税額控除できる制度になっています。

大企業の場合は、10%以上でかつ、5人以上の増加が条件です。

ただ、やみくもに人を増やせばいいというわけではありません。この税制の適用を受けるためには、いくつか条件があるのです。

まず、適用したい年度とその前年度において、「離職者がいない」ことが条件です。適用する前にはまず、ハローワークで届出を行わなくてはなりませんので注意が必要です。

離職者には、自己都合の退職者は除かれます。逆を言えば、会社都合の退職者=離職者と定義されます。

「全体の給与総額が一定の割合以上に増えてないといけない」という条件が別途ありますので、これに引っかかると使えませんが、逆にこの条件をクリアすればパート社員の方でも該当する可能性はあります。

差し引ける税金には、個人事業主であれば所得税、法人であれば法人税が該当します。

ただこれには適用期間が設けられており、平成23年4月1日から平成26年3月31日までの時限立法となっていますので注意が必要です。

また、税額控除にも限度額があり、中小企業においては法人税額の20%が限度となります。

この制度を使う可能性があるなら、事前にハローワークに届出を出しておくことをお薦めします。


【今更聞けない、消費税の基本… 消費税の仕組みってどうなっているの?】

2011-07-06 11:05:57 | 【お役立ち情報】
消費税は、ほとんどすべての取引に対して、5%の税率で「広く、うすく」課税されている税金です。
大人の方で消費税を知らない方は、いらっしゃらないでしょう。
モノを購入すれば、消費税がかかってきます。
ただ、事業を営んでいる会社などが消費税の納付税額を計算する際には、この購入に含まれた消費税は控除されるのです。
そして、その会社が売上げた商品を購入した別の事業者は、その購入にかかる消費税を控除して納付税額を計算します。(これを消費税の「転嫁」といいます。)
なので、消費税は1ヵ所に溜まることなく転嫁され、最終的に消費者が負担することになるのです。


消費税は、消費に広く・薄く・公平に負担を求める「間接税」です。
消費税を最終的に負担するのは、一般の消費者ですが、消費税を「納める者」は、国内取引においては、
”法人、または事業を営んでいる個人事業主”になります。
ご存知の方も多いとは思いますが、小規模の事業者には免税制度が設けられております。これには、
小規模の事業者には納税負担が大きすぎるなどの理由がつけられているためです。
「小規模」の定義ですが、「基準期間の課税売上高が1000万円以下」の事業者となっています。
基準期間・・・これって何?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
基本的には、「2期前の事業年度」です。  個人事業主の方なら、2年前の暦年となります。
(2期前の事業年度が1年に満たない場合の基準期間の判定は難しいので、ここでは割愛します。
また、基準期間の課税売上高については税制改正が入っておりますのでご注意下さい。
税制改正の記事はコチラ
課税売上高は、決算書に載っている売上高とイコールではありません。年間の売上から、非課税の売上を除いたものが「課税売上高」になります。
この、課税売上高にかかる消費税から、課税仕入にかかる消費税を控除し、納付税額を計算します。
ん?課税仕入って??
ざっくり言えば、事業を営むのにかかった経費のうち、消費税の課税対象になる取引を指します。
消費税の課税対象になる取引は、国内においては、(国外取引については複雑なので割愛します)
①事業者が事業として行うこと
②「対価を得て」行うこと
③譲渡、貸付け、役務の提供を行うものであること
が、条件です。
②の内容ですが、例えば寄付金や見舞金・祝い金などは対価性がないため、消費税の課税対象取引にはなりません。また、人件費も対象外となります。
また、非課税取引も課税仕入れには該当しません。
非課税取引とは、消費税という税金の性格からして「課税仕入」になじまないもの、例えば「保険料」「支払利息」「受取利息」などや、社会政策的配慮により非課税としている取引を指します。

消費税は課税事業者の要件を満たしているなら、赤字の会社でも容赦なくのしかかってきます。
前事業年度の消費税納付額が48万円を超えると、その翌期には「予定納税」といって、一定の金額を納付しなくてはなりません。(予定納税の回数と金額は、前事業年度の消費税納税額により違ってきます)
なので消費税にいたっては、納税の準備等に気をつけておく必要があります。