早いもので、もう3月も終わろうとしています。
怒涛のような(?)確定申告の時期も終了し、申告を終えられた方にとってはホッと一息つかれたのではないでしょうか?
また、個人で事業を営んでいる方は、確定申告された際に、
「これって法人にできるのかな…」または「法人組織にしたら、得なのかな?」
など、疑問に思われたことも、ひょっとしたら少しはあったのかもしれません。
確かに、ある一定以上の所得がある個人事業主の方にとっては、法人化したほうが税金面で有利にはなります。
ただ、法人化(法人成り、と言われます)する際、気をつけなくてはならない点も、実はあったりします。
今回は、個人事業主の方が法人組織にするときの注意点についてお伝えしたいと思います。
法人成りは、それまでの個人事業を法人が行うため、原則として個人事業は廃止することになります。
まずは、届出関係での注意点についてですが、下記のことを行わなくてはなりません。
1.廃業の日から1ヶ月以内に、「個人事業の廃業届」を、納税地の管轄である税務署へ提出する
2.個人事業を廃止した年度の事業所得は、翌年に「確定申告」する
3.「源泉所得税の納期の特例」を選択していた個人事業主の場合、事業を廃止した日の属する月の「翌月10日」までに、預っていた源泉所得税を納付する。
これは、廃業することにより、この特例の効果が消滅してしまうためです。
次に、法人成りした際に、個人事業主時代の「資産」「負債」を、引き継ぐ可能性も十分考えられるでしょう。
引継ぎの方法としては、
・現物出資
・売却
・贈与
・賃貸
の、4種類の方法が考えられます。
また、引き継げる財産の範囲ですが、基本的には、
貸借対照表上に計上できるもので「譲渡可能なもの」であれば、何でも引き継ぐことはできます。
(一部、引き継げないものもあります)
次に、それぞれの引継ぎ方法の特徴を順番に説明してゆきますと、
まず現物出資や売却の場合、何らかの対価が法人→個人へ支払われることになります。
現物出資とは、個人が金銭以外の資産を出資し、法人はその資産の時価を資本金として株式を発行することをさします。
手許にまとまった資金がなくても法人化できる方法といえますが、会社法上の規制もあり、
金銭以外の出資の「価値」について、その筋の専門家に調査してもらう決まりになっています。
その為の相当の時間と費用を法人が負担する必要が出てきます。
売却の場合、現物出資と異なり、会社に「購入資金」が必要になってきます。
贈与の場合は、読んで字のごとく、無償で引き継がれますが、
贈与時の「時価」で資産が移転したと見なされるため、
資産の時価>(譲渡資産の帳簿価格+譲渡するために直接かかった費用)
の場合に、受け取った個人側で譲渡益が発生することになります。
また、譲受した会社側でも時価に相当する「受贈益」が発生し、共に納税資金が必要となる可能性が出てきますので、資産の「時価」に留意する必要があります。
賃貸の場合、所有権は個人に残ったままとなり、会社側が毎年、「賃借料」の名目で個人に支払います。
受け取る個人側では収入が生じることになるので、個人側では所得税の申告について注意しなくてはなりません。
それぞれの引継ぎ方法には、メリット・デメリットがあります。
そのときの状況に照らし合わせたうえで、専門家へ相談のうえ、最も適した方法を選び取ることが重要になってきます。
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