黄砂がやってきましたね。
立夏となりました。
ゴールデンウィークも終わりました。
どんどん時間がたっていきます。
次の句会も待っていますよ。
結果発表
手鏡に返す午後の日花は葉に アネモネ
○(珠子)こういう日差しはあっと言う間に過ぎて・夏来る。
〇(仙翁)手鏡に返す、が面白い表現でいいですね。
○(敏)手鏡を持つアングルを想像すると、太陽の反射光にうっとりとする主人公と、葉桜になりつつある背後の景がはっきりと浮かんできました。
〇(道人)光とともにある俳句的な暮らしが目に浮かびます。「返す」が佳いですね。
葉桜の山の向かふは爆笑中 瞳人
○藤三彩)何で笑っているの?と想像させる。若い娘らがピクニック中ならあり得る。
◎(まきえっと)爆笑できる幸せ
空からの半島ぐるりと青葉濃し 藤三彩
〇(まきえっと)裏側が青葉でなかったらどうしましょう。
○(ちせい)季語は「青葉」。空からの視点が清々しさと青葉の良さを意識させてくれました。
藤棚の上をミサイル飛んでゆく 泉
〇(瞳人)この世とは思えない現実
○(幹夫)当に一触即発の朝鮮半島の緊張状態・・・くわばらくわばら。
〇 (多実生) きな臭い世の中となりそうです。
◎(餡子)まさに、平和と戦争の図式。美しい自然が壊される事の無いように思います。この頃特に感じます。
◎(春生)物騒な世の中になりましたね、藤棚の平和とその上の不穏なミサイル。ミサイルは飛ばさない方がいいと思います。句材に新鮮さを感じました。
〇(道人)「ればたら」でないことを祈るのみ。「藤棚」と「ミサイル」の取り合せが巧い。
〇(まきえっと)世界が平和になりますように。
藤房や幻の女と出会ひたい ちせい
落人の谷のとば口雉の声 珠子
○(ルカ)詩情があります。
○(幹夫)洒落た表現でリズム佳く詠まれており共感です。
〇 (多実生) 山奥の三軒家、畑と山の境目が雉の住処です。今頃は繁殖の季節で子を守る雉の勇気に出会った事を思い起こします。
◯ (アゼリア)雉という季語が効いていると思います。
○(敏)我が家の前方の草原からも雉の声が聞かれるようになりました。一句を諳んじていますと、あたかも、隠里の住人に危険を報せる物見の合図のように聞こえてきます。
◎藤三彩)「雉も啼かねば撃たれまい」という暗示を含め、落人はひっそりと暮らしていたとさ
〇(春生)切り立った山の雰囲気が出ています。季語「雉」がいい。
〇(宙虫)雉が山里にぴったりです。
(選外)(道人)千年前にタイムスリップしたようです。日本には落人伝説がそのまま風景に残っている里は多いですね。
あばら家の主知らずや藤の花 道人
〇(瞳人)さぞかしきれいな藤であろうと
○(泉)あばら家と言うか、空き家は今後も増えてゆくでしょう。
〇 (多実生) 主のいない屋敷でしょうか?藤は健気にも花房を垂らします。
〇(仙翁)空き家になった家ですか。よくありそうですね。
〇(春生)朽ち果てようとしている家とそこの主と藤の花で、村人の歴史を感じました。
父母の出逢いし島の枇杷熟るる アゼリア
◎(ルカ)若かりし情熱。枇杷がたわわに実っている景がまさに、恋。
○(アネモネ)いいですねえ。とても微笑ましいです。
〇(瓦すずめ)物語がありそうですね。聞かせてーという気持ちになります。
○(珠子)ほのぼのしたなれそめを何度か聞いたことがあるのでしょう。しあわせのびわ色。
〇(まきえっと)父母が出逢ったおかげですよね。
○(ちせい)季語は「枇杷熟るる」。島にまつわる思い出、そして父母の若い頃。
〇(宙虫)枇杷の色合いが明るくていいですね。
藤の花裏表ある通りかな 春生
〇 (多実生) 新道の裏には旧道、良く見かける光景です。
藤房の揺れが止まらぬ地震のあと 幹夫
◎(アネモネ)これは上手い。この感覚なかなかです。
○(珠子)あれから一年。どんなに小さな地震にもどきりとする不安感。こころのさざ波は消えません。
○(餡子)風に揺れる藤房は美しいですが、この揺れは早くおさまってほしいです。
◯ (アゼリア) 余震もあると思いますが、地震の後の不安な気持がよく表現されていると思います。
○藤三彩)活断層の上に家の再建は怖い。住民のなんとかしてという切望はわかるが・・
〇(道人)まだまだ余震があるようですね。藤房の揺れが繊細です。
藤ゆらら三波春夫の碧い歌 宙虫
アルバムに収める写真春惜しむ まきえっと
○(ルカ)アルバム、懐かしいです。スマホなき時代、一枚一枚選び、貼る作業、好きでした。
○(幹夫)「春惜む」の季語が佳く詠まれており共感です。
○(敏)アルバムに収めた写真は、ついさっきまで天空を賑わせていた桜花の繚乱の中に佇む誰かさんの、青春真っただ中の姿かも知れませんね。
〇(道人)海も山も島も花も、そして想い出も、何もかもアルバムに収めてしまいたい。晩春の心象風景でもあるのでしょう。
見渡せば絶景なれど遠霞 多実生
藤棚のまたしても影吸われけり ルカ
○(餡子)藤棚の下はそんな感じですね。次々とひとが宿っていく感じなんでしょう。
〇(仙翁)何の影が吸われるのか。とにかく、藤棚は影を作る。
〇(まきえっと)影吸われるってどんな感じかよくわからないのですが、雰囲気が出ています。
藤咲かす生家に別れ国境 餡子
〇 (多実生) 掲句は屋敷の藤の花ですが、切なさが伝わります。
○(藤三彩)学業、就職や結婚等々の人生の過程で土地に根付いた実家を離れなければならない。新しい歩みを思う。
落とし物ごみ箱にあり鳥帰る 敏
○(ちせい)季語は「鳥帰る」。意外性や、「ゴミ箱」から喚起される物に俳味があると思いました。
春霞ふるさとの島遠くあり 春生
○(アネモネ)取り合わせの妙。
〇(幹夫)ふるさとはとおくにありて思うもの・・・故郷への心情が佳く詠まれていると思いました。
苦の色をゆふらり見せぬ藤の花 瞳人
○(ルカ)藤の花の本情が伝わります。
◎(仙翁)どこか苦の色を見せているのでしょうね。ゆふらりがいい。
〇(宙虫)藤色に苦を見る。わかるような気がします。
遠霞山も霞みて鳥降下 ちせい
寝釈迦めく遠き山より藤の風 道人
◎(泉)良く観察しています。大きくて美しい風景だと思います。
◯(ルカ)阿波野青畝の寝釈迦を思わせる、雄大な景。
◎(幹夫)大らかな景が佳く詠まれており共感です。
〇(瓦すずめ)荘厳というよりは包み込んでくれるような仏様の姿と、富士の風とが合っていると思います。
◎ (多実生) 立木に絡まって伸びる山の藤は遠くから見え、藤の風が希望とやる気を起こさせます。
○(餡子)この風は藤色をしているのでしょうね。
◯ (アゼリア) 本当に寝釈迦のように見えますね。藤の香りも届きそうです。
〇(仙翁)よくありそうですが、寝釈迦めく、が面白い。
◎(敏)遠山並みを「寝釈迦」ととらえた作者の感性に脱帽しました。藤浪ではなしに、「藤の風」としたところに工夫があるようです。
○藤三彩)山並みから寝釈迦の発想・発見がすばらしい。
藤浪は届くと見せて遠ざかり 仙翁
(選外)(道人)藤の浪との距離感に納得です。
妻も夫もやたらと無口街薄暑 瓦すずめ
○(泉)この街はひどく不愛想な、そんな印象を受けます。
〇(春生)暑さでも「薄暑」の頃は体が暑さになれないので特に疲れます。無口にもなりますね。
〇(道人)急に暑くなりました。我も妻も無口です。「やたら」の使い方は難しいですね。
浜に立つ海を見詰めるマリア像 アゼリア
〇(瓦すずめ)たぶん無季の句ですが、嫌いではありません。
藤棚の藤に翅音羽の音 アネモネ
〇(瞳人)熊ン蜂いっぱいですね
○(ちせい)季語は「「藤棚」。「翅」「羽」と言う使い分けが小気味よく感じました。
〇(宙虫)ふたつのはねの字がいろんな鳥たちを想像させます。
藤房に出合ひどうにか雨宿り 幹夫
朝霞光の先に島の浮く 仙翁
〇(ルカ)光の先が、よいですね。
〇(瓦すずめ)情景がはっきりと浮かびます。
藤はまだ淡い生ごみ収集日 宙虫
○(餡子)取り合せに驚きました。わが町はこのゴールデンウイークはごみ収集が無い日が多く、溜っています。
◎ (アゼリア) 日常の感想を自然に句にされていて感心致しました。
入植は曾祖父の頃夕霞 珠子
○(幹夫)入植の頃が歴史深く詠まれており共感です。
○(泉)開拓者たちの苦労は、大変だった事でしょう。苦労は実りました。
○(アネモモネ)夕霞がなかなかです。
◯ (アゼリア) この写真から入植という発想ー感心致しました。
〇(春生)なんとなく、昔の頃が思われてくる「夕霞」ですね。
○(ちせい)季語は「夕霞」。曽祖父の頃の時代に思いを馳せることができ句の良さも意識できたと思いました。
藤の花煮しめのほどよきお稲荷さん 藤三彩
◎(瓦すずめ)ほのぼのとしてて好きです。稲荷ずしではなく、お稲荷さんというところにやさしさがありますね。その優しさと藤の花もあってると思います。
○(珠子)藤の花見弁当。ちょっと濃い目が「ほどよき」だったのではないでしょうか。
◯ (アゼリア) 藤棚の下で皆でお稲荷さん食べたら美味しそうです。
◎(宙虫)重箱から飴色の稲荷寿司。家族の笑顔が見えます。
春日傘カラーコーンは翡翠色 瓦すずめ
○(アネモネ)翡翠色が鮮やか。
山からの風に色着け藤の花 餡子
◎(瞳人)風があの色になって、流れ来る、いいですね。
○(泉)藤の花は本当に美しい。風にも色が着きそうです。
○(珠子)風は藤の色と藤の匂いに染まります。一番いい季節を楽しまねば。
〇(仙翁)藤の花で風に色がつく、面白い表現です。
○(敏)「風に色着け」に感心しました。眼前が藤色に染まった気になりました。
〇(春生)藤の色鮮やかさをうまく表現しましたね。
◎(ちせい)季語は「藤の花」。風に色付けると言う発想が感覚的に首肯できました。
藤浪の遠山脈へひた寄する 敏
○(餡子)山藤でしょうか。いい景色です。
人間もだんご蜂にも藤の花 多実生
○(泉)ユーモラスな俳句だと思います。ともかく食べるのが先決です。
◎(道人)「藤の花」の魅力が俳諧味と人間味あふれるリズムで詠われている。
逝く春の鍵をなくした家ばかり ルカ
◎(珠子)「鍵をなくした家」もう自力では暮らせなくなって空き家となった家。もう鍵はなくしたので戻れないということにしてしまう。それがあちこちに。都会にも多いのですが、山村のそれはとてもとても哀しい。
○(敏)どうして「鍵をなくした家ばかり」なのか、「逝く」の文字と時事性を絡ませながら、色々と考えさせるところがこの句の狙いかも知れません。
○(藤三彩)震災で避難された方々がはやく癒されますように
〇(まきえっと)う〜ん。なんかわかるような。家の鍵ではないんだろうな。
◯(宙虫)鍵の持ついろいろな意味を考えます。
緊張の避難訓練春の昼 泉
○(アネモネ)ひとびとの少し真剣な景が見えてきます。
ゴールデンウィークも終わり、何だかホッとしています。再びいつもの生活が戻って来ました。やはり仕事があるから、休みが楽しいので、毎日が休みとなると、これはこれで問題有りでしょう。