こんばんは。
お待たせいたしました。
兼題:冬
冬椿空の青さを飲みつくす 楊子
○(あちゃこ)爽やかで大らか。
○(幹夫)冬椿の捉え方に共感、面白い俳句だ。
防風の部屋あり冬の無人駅 泉
○(仙翁)無人駅に防風の部屋、どこか暖かいですね。
仮名読むは冬瓜子ガウと喰む夜中 吾郎
引きずるもの曳くには冬が頼りない 宙虫
○(吾郎)ニュアンスは伝わってくるのですが──、でも頼りない冬っていいかも。
◎(珠子)どうにもならない重いものを抱えている心。「冬が頼りない」という措辞にガツンとやられました。
◯(アゼリア)今までの常識や価値観を覆される事が次々と起こり、時々足元が揺れているような不思議な感覚になります。ー老人性目眩かもーそのような事を示唆しているのではと思いましたが違うでしょうか?
冬に入る誕生花日に向かひ立ち 瞳人
敬礼の五指に魂今朝の冬 幹夫
◎(アネモネ)指先の力強さが伝わってきます。
〇(道人)五指に冬に向かう力がある。立冬らしい句。
〇(瞳人)細部にこそ神宿る
○(まきえっと)五指に魂がよいですね。
占い師にみられたる掌や冬構え 敏
表情を見せず暮行く冬の湖 仙翁
◎(道人)冬の湖に佇つ作者の孤影。叙景句のようでありながら、心象句として頂きました。
子守した弟先に逝きし冬 多実生
○(アネモネ)切ない。作者にとってはそんなことではないでしょうが、つくづく「子守せし」と旧仮名にしたいと思いました。旧仮名なら特選でした。
山の端に小ぶりなりけり冬の月 春生
○(吾郎)きゅっと縮こまったような月が申し訳なさげに顔を出してる風情。
冬すでに川鵜は水の面を叩き アネモネ
〇 (多実生) 草加松原と並行して流れる綾瀬川でこんな光景を見ました。
冬林檎剥くや言葉を探すごと ルカ
〇(宙虫)言葉を探すが不思議に実感がある。小さなもの想い・・・。
○(仙翁)言葉を探しながら、リンゴを剥く。ありそうです。
◎(アゼリア)ドラマの1シーンのようです。
◎(ちせい)季語は「冬林檎」。剥く事と探す事。両者一如。
冬帽子頷くだけで足りる仲 あちゃこ
〇(宙虫)頷くだけで足りる仲なら良く目にするフレーズ。冬帽子がそれに深みを与えた。
○(敏)目深に帽子を被り、マスクをしていて言葉など交わせなくとも、あの人とは、軽く首肯くだけで何でも了解してしまう、そんな深い仲なのです私たちは、といったところでしょうか。
○(吾郎)ご近所の阿吽。こういった関係がもっと広がれば世の中違ってくるのに。
〇 (多実生) 親密さが漂っています。
〇(まきえっと)冬帽子の季語がいいですね。
(選外)(道人)夫婦や恋人ではなさそうです。
冬ぬくし姉の形見の服を着て アゼリア
○(アネモネ)切なさは「子守」の句と同じですが「冬ぬくし」の季語に救われます。
ピアノより解かれる十指冬茜 珠子
◎(ルカ) 中七が詩的。ピアノ弾く人の実感。ピアノに触れることで救われる瞬間、私もありました。
○(あちゃこ)演奏を終えた安堵感。瞬間の切り取りがいいですね。
◎(宙虫)指先までの緊張感が良く伝わる。冬茜のやさしい日暮れが心地いい。
◎(敏)夢中になって弾いていたピアノ曲の最終楽章のエンディング、ふっと指が鍵盤を離れ、目を窓外に移すと燃えんばかりの冬夕焼け、あたかも私の胸の中のよう、そんな一句でしょう。
〇(まきえっと)解放感が何ともいえないです。季語の冬茜がいいですね。
赤福を食べて私は冬に居る ちせい
○(ルカ)赤福が効いています。
冬桜観る会次は残念会 藤三彩
○(泉)いろいろな批判が出ましたからね。
(選外)(幹夫)総理主催の「桜を見る会」は4月の八重桜だが、来年は中止だそうな。
立冬の人差し指にかかる負荷 まきえっと
◎(幹夫)愈々指の先まで悴む冬に入った。それにしても、ボルダリング野口啓代は強い!
工房のひのきの匂い冬に入る 道人
○(ルカ)なんの工房か、想像が膨らみます。
〇(藤三彩)檜は高級木材。まな板、風呂桶、そして遷宮にも。
○(アネモネ)なんの工房かわかりませんが「ひのきの匂い」がいいですね。
○(珠子)シンプルですが初冬の雰囲気を表すのにこれ以上のものはそうない。
◯(アゼリア)身の引き締まるような寒さにひのきの匂いがして、さあ頑張ろうという気持ちになりそうです。
〇(まきえっと)冬のはじめって何か匂いがします。
テーマ:減る
外食を減らす水炊き家内無事 藤三彩
○(泉)消費税増税は家計に痛いです。
おすそ分け我が家の栗はあと少し 泉
泥付きの大根を買う明日は晴れ まきえっと
○(泉)これも消費税増税の影響か?しかし、前向きです。
〇(藤三彩)泥付きを買って土植えにして保存する。泥葱も同じ。年末の高騰避難。
○(吾郎)テーマとは微妙な距離感なれど、冬の明るさが心地よい。
○(珠子)下五の転換が心地よい。大きな大根一本を一気に使い切るのはとても気持ちがいいものです。野菜たっぷりの夕食を作ると気持ちが安定するのは私だけ?
◯(アゼリア)働き者の料理上手なお母さんが目に浮かびます。今日のお菜は鰤大根かなーなんて想像しています。
○(ちせい)季語は「大根」。天気予報と大根の取り合わせが絶妙なような気がしました。
○(幹夫)大根大好き!
また一軒引つ越してゆく冬の村 春生
〇(瞳人)イタリアの小さな村というBSの番組がすきです。皆、村を出ない
家の数減って露わな霜の道 敏
〇(宙虫)誰も歩かない道がくっきり。しんとした世界が迫る。
○(仙翁)人通りが少なくなり、道の霜もそのまま残っているのでしょうね。
◯(道人)確かに同じ霜の道でも、集落の数や密度で見え方が違います。
ガソリンが減り行く茶の花咲いて行く ちせい
○(あちゃこ)静かな生活感を感じます。こういう視点を持ちたい。ガソリンと茶の花の取り合わせがいいですね。
引いて足す人生のあり木守柿 道人
○(あちゃこ)人生の引き算と足し算色々考えてしまいます。
〇(楊子)今さらですが木守柿は見てござる。ここまでくれば感謝ばかりですね。
○(敏)三歩進んで二歩下がる、「引いて足す」もそんな一歩づつの私の人生を、木守柿のように見守ってくれている誰かがいるに違いないという安心感があります。
○(ちせい)季語は「子守柿」。そんな人生に乾杯。
回り来る牡蠣二貫笑みて分け 瞳人
鍵かけぬ峡の暮らしや木守柿 アゼリア
〇(楊子)どこにでもあった日本の暮らしも変わりつつありますね。昔の思い出でしょうか。
○(敏)鍵をかけても100%安心できない都会暮らしを重ねていると、木守柿の存在すら見落としがちになってしまいそうですね。
◎ (多実生) 昔の山村の暮しを詠み切っています。
〇(道人)古き良き日本の田舎の原風景。
○(幹夫)峡の景に共感。
枯草を燃やす媼や過疎の里 仙翁
しづけさは十一月の蟹の穴 アネモネ
◎(あちゃこ)砂にぽつぽつと蟹穴。小さないのちへの賛歌。それを見ている初冬の作者の心境が伝わってきました。
〇(楊子)具体的に読みを言葉にすることはできませんが気になる句でした。
〇(宙虫)華やかな季節の最終形は蟹の穴だった。
○(珠子)共感。潮の引いた干潟では蟹は結構忙しく動いていますが、穴は静かに動かない。
○(ちせい)季語は「十一月」。静寂を感じさせる蟹の穴。
◎(まきえっと)静まり返った様子を蟹の穴で表現しています。
行列のまた一人去る鯛焼屋 ルカ
○(ちせい)季語は「鯛焼」。一人いなくなれば寂寞感も増し。
神の留守減塩嚥下するのみか 吾郎
〇(瞳人)年寄りは、この季節、気を付けないと
人は減り空き家ばかりの紅葉村 多実生
石蕗の花故郷への橋落ちる音 宙虫
ひとつひとつ放つプライド冬の星 珠子
○(あちゃこ)プライドは星となり、自身は解放されて…減るからの連想が見事ですね。
〇 (多実生) 見上げる星の輝きをプライドと表現した作者の心が見えます。
◯(アゼリア)身軽になって肩こりが解消されそうです。
(選外)(藤三彩)星の輝きに自尊心があるとの見立て。"プライド"って某億ションの窓から放つ光のことかも。プラウドだったか
道楽を一つ減らしてヒヤシンス 楊子
○(ルカ)季語がいいですね。
〇(藤三彩)体力気力の衰えに従い従来の様にはできなくなる、水栽培のヒヤシンスは春の訪れ色と香りで告げる。厳寒を共に耐え抜いたとの思いがある。
◯(道人)道楽は程々に!ヒヤシンスが効いています。
負荷一つ分け合うふたり神の旅 あちゃこ
(選外)(道人)此方の句は前掲の「冬帽子」と違い、恋人同士を詠った句のようです。実りある旅でありますように!
蟒蛇(うはばみ)のあては菜漬の塩加減 幹夫
○(仙翁)あて、今はあまり使わないか。塩加減がいいのでしょうね。
雑詠
神無月二円切手を付け足して まきえっと
○(泉)これも消費税増税の影響ですね。複雑です。
〇(藤三彩)ハガキが一円、封書が二円の増税課税分。切手を舐めるのは当分続きそう
○(幹夫)昔は葉書5円だった。
スマホ連れ独り旅なり冬温し 楊子
一突きの嘴の痕木守柿 珠子
○(ルカ)上五がいいです。
○(吾郎)<瞬間>が<永遠>に閉じ込められた造形美。
〇(瞳人)すぐ、食べつくされますよ
紅葉かつ散る禅堂のがらんどう 道人
◎(楊子)鮮やかさと仄暗い禅堂の取り合わせが上手い句ですね。がらんどうに俳味がある。
◯(アゼリア)うちは浄土宗なのできんきらの飾り物がありますが、個人的にはがらんどうが好きです。
冬帽子ルオーのピエロ見ておりぬ ルカ
◎(藤三彩)骨太な黒い輪郭がルオーの特徴。ピエロを観ているのではなく悲しげなピエロがあなたを見ていると解釈したい。
◎(仙翁)絵を見ているのは、初老の男性でしょうね。冬帽子とピエロいいですね。
○(珠子)ルオーの絵の前には冬帽子の男が合う気がしてくるから不思議。
○(ちせい)季語は「冬帽子」。人間は互いに狼であるという箴言が思い出されます。
蟹鍋の作り手理屈述べ何か 吾郎
○(敏)どんな鍋物にも、鍋奉行はいるのでしょう。一くさり二くさり、何事か薀蓄を傾けたいのが、そんな人なのです。
○(珠子)蟹鍋の蘊蓄をうだうだ述べて「何か?」と、何も言わせない気配の料理人・ととりましたが。
◯(道人)鍋奉行は何処にもいるが、蟹鍋奉行は特別理屈が強そう。回文句の妙。
〇(まきえっと)必ず仕切られます。蟹鍋だと無口になりそうです。
コスプレの女子いてガラ系冬に入る 藤三彩
血の色に似し食前酒神の留守 敏
○(仙翁)確かに、赤ワインで血の色をしているのがありますね。食前酒が不気味にも。
◎(瞳人)最後の晩餐ですね
枯葉踊る空の青さに堪えかねて 仙翁
〇 (多実生) 木枯らしに枯葉が舞う頃、関東は晴れ渡ります。
皇后の涙うるはし小春凪 幹夫
○(泉)皇后さまも、忍耐の日々でした。
○(敏)人波の途切れを見計らって、そっと目に手を当てられた新皇后のお姿を彷彿とさせる作品ですね。
十六夜の月を道連れバス帰宅 多実生
ユーモアが心を開く秋高し 泉
〇 (多実生) 秋晴れにユーモアが飛び出し、心が洗われる気がします。
小春日や母の遺品に吾の手紙 アゼリア
◎(泉)子を思う母の愛情。胸を打たれます。
〇(藤三彩)母親宛ての手紙・・何を書いたのか?成績表や詫び状が遺されていたら背筋が寒くなりそう
○(アネモネ)しみじみ読ませていただきました。
〇(楊子)季語により母との関係が見えます。
(選外)(道人)類想はありそうですが、取合せが良いと思います。
真知子巻似合ひし人のなつかしき 瞳人
神の旅祟りを気にせず光浴び ちせい
雪ばんばバスに成田と羽田行き アネモネ
造影の子宮は白し小春かな あちゃこ
○(ルカ)ほのかな希望を感じます。
〇(楊子)意外なものをとりあわせたことでハッとさせられます。検診異常なしですね。
〇(宙虫)下五にやや不満が残るが、いい。
◎(吾郎)すみません、実感が全然伴わないんですけど、圧倒的な力に参りました。
大根干す石垣高き旧家かな 春生
○(アネモネ)奥多摩あたりの景でしょうか。構図のいい句だと思いました。
○(幹夫)旧家の景に共感。
冬銀河の動悸でぶれる観世音 宙虫
次回をお楽しみに。
最近の広島は、寒くなったり暖かくなったりで、変に体調に響きます。11月も終わりだというのに、何だか冬の様な気がしません。ローマ法王が来られましたが、偉い人は大変ですね。やはり、体力勝負です。